回答 3
有り難し 65私は3歳と1歳の子持ちの女医（外科医）です。夫は単身赴任で、ワンオペ育児中なので私は子供のために仕事をセーブせざる負えません。
育児をするだけで日々が過ぎ去り、仕事をバリバリ出来ないことがとても辛いです。
最近身近な人を亡くしたことをきっかけに仏教を勉強し始めました。日本の各宗派の成り立ちや教え、仏教の伝来と他国の仏教の教えを勉強し、今は主に初期経典のダンマパダやスッタニパータ、アビダルマなどを読んでいます。
お釈迦様の教えで自分の苦悩が楽にならないかずっと考えています。
お釈迦様は人間は五蘊で構成され、どこにも自我は無いとおっしゃいました。
私は他の男性医師や独身女医のように仕事に邁進してキャリアを積みたいと思うのですが、自分が！自分が！という自我に執着した欲にまみれた状態なのかもしれません。
過剰な欲は持つべきではないとお釈迦様は言ってます。
私は仕事のキャリアアップを諦め、子供のために仕事をセーブし続けるのが人間として正しい行動なのでしょうか。
フルタイムで働けば私の方が夫より収入が多く、修めた学歴も私の方が10年長く、男というだけで思う存分働ける夫に嫉妬しそうになります。しかし嫉妬の心は人間としての成長を妨げる、持つべきではない不善心所らしいので、頑張って嫉妬の心を持たないように心がけています。それに仏教的には金銭や学歴に価値はないということも理解は出来ます。
仏教を勉強し、人が幸せになるためには、自我をなくし、慈悲の心を持ち、自分以外の存在のために生きるしかないのだと理解しました。
しかしそうなると私が医師としてのキャリアアップを諦め、育児に専念するしかないのでしょうか。
育児は手がかかります。どうあっても誰かが仕事をセーブしなければ育てることは出来ません。
一生懸命医師として努力してきましたが、女性は子供を産んだら医師の仕事に全力で邁進するのを諦めるのが人間的に正しい行動なのでしょうか？
お釈迦様は男女は平等だと説いています。育児も医療と同じように尊い行いだということも理解できます。
しかし子供を産んだというだけで、第一線を離れ続けるのがとても苦しいです。
そんな私に何か心が軽くなるアドバイス、解決法を教えてください。
お坊さんからの回答 3件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
大変な状況ですね。夫の単身赴任のときに、話し合う機会は持てませんでしたか？
出産は女性にしか出来ませんが、子育ては夫婦が協力し合うもの。あなたの不満は、本当は夫に向けられているのではないかしら。日頃の労いや感謝の言葉はありますか。
子育ては待ったなしなので、仕事との両立は本当に難しいこともありますよね。母親としての気持ちもあれば、医師としてのキャリアアップも計りたい。同時進行であれば、難しさもありますよね。
ただ、キャリアアップを諦めたと思わなくても、子を育てるという役目は親にしか経験出来ないこと（それは夫も同じ）、そしてキャリアアップは子育ての後からでも、また繋いでいける道を探っていくのはどうでしょうか。
私は、教師の道を結婚や子育てで、終えましたが。（もちろん諦めたわけではなく、自分で納得して決めました）両方を手に入れようともがくよりも、子育ての中に、また仏道への道を学びながら両立してきて、今の立場あります。
何かを諦めるのが子育てや親になるということではなく、新しい生き方に切り替えていく。自分のキャリアアップです。
人生の選択を 正しい間違いとしていくのではなく、進む道を正しいと思えるように、納得するものを見つけましょう。子どもは、今だから得られたもの。進み方は、夫婦で話し合いましょうね。
単身赴任だから、どうしようもないではなく、いろんな選択があることも、夫に知ってもらえたらね。
こんにちは。
前回にもご縁がありました。
お仕事に育児に毎日大変でしょう。
文面からあなたのお人柄を推するに、非常にアグレッシブな方だと思いました。
仕事をして、「ワンオペ育児」をして、その合間に「初期経典」を読む。一方ならぬ精神力を感じます。
また、それらの書物を読んで、ご自身で整理されて内面化されることも素晴らしいです。仏教を学問としてではなく、血肉化させるという意味で。
あなたのご質問の核心は、「女性は子供を産んだら医師の仕事に全力で邁進するのを諦めるのが人間的に正しい行動なの」かということでしょう。つまり、女性であるがゆえに、男性とは違って生まれた時点で背負ったハンデがある、そのことに歯がゆさを感じているのでしょう。
あなたは、有能だからこそモチベーションが赴くままに何でもできる、やりきる意志もある。けれども性別ゆえの限界を思う。気持ちの一端はわかります。
ただ、お釈迦様は人間は縁起の存在である、ということを説かれました。
そして、物事への見方にはバランス感覚が必要だとも。
私は3人の子供を授かっていますがもう一番上は成人に近いと年頃です。今も当然可愛いですが、幼い無邪気の頃の可愛さもまた格別でした。
あの日はもう帰ってこないと思うと少し寂しいです。
もちろん子育ては心身ともに大変です。可愛さはもちろんですが、面倒を見るのが大変という思いが勝るときもあるでしょう。
しかし、娘さんがいるからこそ、あなたは母親になれたのです。母親としての縁が起こったのです。
世界広しといえども子供さんのお母さんはあなた一人です。そして、あなたは一番近い特等席でその子供さんの成長を見られるのです。
あなたはお医者さんであり、お母さんです。両方の縁をバランスよく楽しめれば楽しめるほどあなたの人生は豊かになるでしょう。
二度と来ない今日を、これまでと同様に大切にしていっていただけたらなと思います。
追記
ご返信ありがとうございました。
お役に立てれば何よりです。
前回に引き続き、真摯な問答ができて嬉しいです。心が触れ合えるようなやりとりができた、こういう瞬間に回答僧をやっていて良かったと思えます。
ご丁寧なご返信が何よりの励みです。
こちらこそ、ありがとうございました。
再追記
おきもちをお供えさせていただきます。
有難うございました。
まごさんのご心痛お察し申し上げます。
又、日々のご仕事、そして育児とご苦労様です。お疲れ様です。
外科医として、そして現在置かれているご自身の様々な状況をお察し申し上げます。
さらに、ご自身の苦悩を仏教を通じて乗り越えられる努力には頭の下がる思いです。
話は少しずれますが、ここ数ヶ月間、入退院を繰り返し、最終的には消化器外科にて開腹手術を受け、今は、抗がん剤治療中の身です。入院中は多くの医師、看護師さんに助けられ励まされ、今日があります。ただ感謝しかありません。
まごさんの今の状況でのご苦痛はご理解できますが、しかし、人としてお子さんを育てられる事にも、とても大きな意味があると思います。子育てを通じて、その経験をしたことがない方の苦労も分かります。
何を言いたいのかと言えば、今は、もちろん仕事も人の命に係わることですから、手は抜けません。でも、それ以上に子供を育てることの重要性も将来、絶対に必要な課題かと思います。
今は、その時期であるということです。
観念と現実。頭で考えることと、現実のギャップ。でも、今は現実を見つめる時であり、現実を逃避して本来の姿が見えてこないと思います。
子供が泣き叫ぶ現実を、そのまま受け取ることで真理が見えてくるのではないでしょうか。
現実を無視して、仏教の真理を追えば追う程、矛盾が生まれてきます。
夜中の三時にお腹が空いたと泣く子供に神性を見る・・今のまごさんの課題です。
釋さま
この度はご回答いただき誠にありがとうございます。
前回も大変お世話になりました。前回のオンライン面談では釋さまの言葉に感銘を受け、あれからずっと仏教を勉強しています。
お釈迦様の教えを勉強することで毎日の悩みはかなり減りました。悩みそうになってもその理由を考え、それを滅するためにどう行動すべきかがわかってきました。人生に対する考え方が理解でき余計なことを考えなくなったので、以前よりずいぶん頭の中がすっきりしています。
それでも、この育児vs仕事の問題はお釈迦様の教えを使っても自分の中でうまく噛み砕けませんでした。今回の釋さまの回答はズドンと私の心を打ち、目が覚めた思いです。
バランス感覚を持って物事をみる、全ては縁起、まさにその通りです。
初期経典で読んだことですが、私は本当の意味は理解していませんでした。釋さまのわかりやすい解説でやっと理解できました。お釈迦様の数々の教えが、私の悩みのどこにつながるのかは自分ではわからないことも多く、まだまだ勉強不足です。
今の状態を悲観せず、バランス感覚を持って正しく物事を見定め、今この瞬間にしか得られない可愛い我が子たちの成長をしっかりと見届けたいと思います。
無理しない程度にゆっくりと仏教の勉強を続けたいと思います。
この度は誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
＞鈴木さま
ご回答いただきありがとうございます。
おっしゃる通り育児も重要な仕事であることは理解できます。
『観念と現実』『子供が泣き叫ぶ現実を、そのまま受け取ることで真理が見えてくる。』
どんな真理が見えてくるのか私には難しくまだよくわかりませんが、今ある現実だけに目を向けて、子供をじっと観察してみたいと思います。
フルタイム、残業、当直、オンコールと思いっきり仕事をしながらも子供を持てる男性医師が羨ましい・・・という嫉妬の心がまだ完全には捨てきれません。
しかし今は仕事のことはあまり考えないように子供のことだけを見つめて、そこに何か真理が見つけれないか期待をしながら頑張ってみます。
抗がん剤治療がうまくいくようお祈りしています。どうぞご自愛ください。
この度は誠にありがとうございました。
お忙しい中ご回答いただき心よりお礼申し上げます。
＞中田さま
ご回答いただきありがとうございます。
結婚する前からいずれ夫は単身赴任になるかも、私も帯同しないかも、というのはわかった上で結婚を決めたのでこの状況は自己責任かなと思っています。
私自身が仕事を減らすことを良しとしていないため、夫に仕事を減らせ！とは言えない気持ちがあります。
”自利他利”の精神で、私が育児に努力する姿を見て夫が何か感じてくれたら・・と思い、夫を責めないようしていました。肩の力を抜いて夫に相談してみます。
新しい生き方に切り替える・・全ては変化していくことは理解できます。子供がいない頃の私と同じように働けないことも理解できます。自分の納得する生き方を見つけるのは今の私には難しいですが、とりあえず目の前のことに努力しながら少しづつ模索してみたいと思います。中田さまのように子育てと子育て以外を納得できる形で両立できるようになりたいです。
この度は誠にありがとうございました。
お忙しい中ご回答いただき心よりお礼申し上げます。
釋さま
ご丁寧に追記して頂きありがとうございます。
釋さまが仏教の勉強はお寺に行かなくても出来る、インターネットでYouTubeの法話聴講や法話のアーカイブを見ることも出来る、と教えていただいたので、自宅で育児をしながら勉強することが出来ました。最近はもっぱらAmazon Kindleで仏教の本を読んで学んでいます。大変便利な世の中です。大乗仏教から初期仏教までなんでもあるKindleは凄いです。
皆さまが私のために時間を割いて書いていただいた回答は大事に保存しておきます。時間が経つにつれ、その解釈がより深まっていくと思います。
この度は本当にありがとうございました。一日一日日々を大切に頑張っていきます。
ご健康ご多幸お祈りいたします。
