回答 1
有り難し 12お守りを持つことで守られることはないのでしょうか？
厄除けで有名なお寺で厄除けお守りをいただいたのですが、電車で痴漢にあったり、付き纏われたりと、厄と言えるような出来事が多々ありました。
それ以来電車に乗って外出することが怖くなっています。夜道も怖くて、1人では出歩けません。
仏様に守ってくださるようお願いしたり、お守りを持ったりしても、結局苦しまなくてはならないのでしょうか。
持つだけで終わりではなく、お寺に足を運んで仏様に挨拶をしたり、お守りにお願いしますと言ったりもしています。
家族も同じお守りを持っていたのですが、財布を盗まれることがありました。これは家族の不注意もあるので、お守り、仏様を責めるような出来事ではないかもしれませんが、心に引っかかります。
仏様のことはそばにいてくださるだけでもありがたいと思っているんです。けれど、苦しみが次々と起こり、辛く、悲しいです。
お坊さんからの回答 1件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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浄土宗を開かれた法然上人のお言葉に、こうあります。
「宿業かぎりありて受くべからん病は、いかなる諸々の仏神に祈るとも、それによるまじき事なり。祈るによりて病もやみ、命ものぶる事あれば、誰かは一人として病み、死ぬる人あらん。」
要約しますと、「神や仏に祈ったとしても、病にかかります。祈ることで病が治って寿命が伸びることあれば、誰一人として病にかかる人も死ぬ人もいないでしょう。」
まさにそうですよね。しかし、その後にこうも続けています。
「本当はもっと重くなる病が、軽くなっている」
これを「転重軽受」といいます。
この世は様々な関係性の中で成り立っています。
車で目的地に行くのに、安全運転すれば安全にたどり着けます。しかし、暴走車が横から突っ込んできたら、安全運転してても事故になります。
安全運転を「因」、暴走車を「縁」と呼び、2つが合わさって物事が成り立つことを「因縁生起」と呼びます。なにも2つだけではなく、細かく見れば信号機の配置だったりとか、それぞれの心の機嫌であったりとか、多くの因縁によって事故が成り立ちます。因は自分の努力で変えられますが、縁はどうすることもできません。
キリスト教における神は、人を作った創造主ですので、人の行動を自由に操作できます。善人にしようと思えば善人の行動をさせ、悪人にしようと思えば悪人の行動をさせます。しかし、仏は創造主ではありませんので、人の行動を操作することはできません。
仏様は、なるべく私達に悪縁がふりかからぬよう動いて下さいます。しかし、因はどうすることもできません。それは人間それぞれの問題だからです。
仏教ではこの世を苦しみの世界と説きます。何故なら、私達は知らぬ間に苦しみが起きる原因を作り続けているからです。悪気なく悪口を吐いた、知らぬ間に人を誘惑した、気の緩みで義務を怠った。原因は常に私達の方にありますが、仏様はなるべく良い縁を結べるように動いて下さいます。なので、悪い結果が緩和されているだけなのです。
ですので、お願いします。どうか今までと変わらず、仏様には感謝を続けてください。
なにも、仏様はあなたに意地悪をしているわけではありません。あなたの見えないところ(陰)で、悪縁と戦って下さっています。それを「お陰様(おかげさま)」というのです。
そのお陰様で私達は生かされているという事を、忘れないよう、お願い申し上げます
浄譽祐慧 さま
ご回答ありがとうございました。
いただいたお言葉がとても暖かくて、涙が出ました。
お陰様という言葉がこんなにもありがたい言葉だとは知らなかったです。
因縁生起のお話もとてもわかりやすく、心のモヤモヤが晴れやかになりました。
家族にもいただいた回答を見せたところ、心が軽くなったと言っていました。
辛いときは読み返して、また元気をいただこうと思います。本当にありがとうございます。
