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なりきり回答僧 - 高校生が真剣に悩み相談に乗ってみた [愛知県東海学園高等学校]

hasunohaが高校の授業に!

愛知県名古屋市にある東海学園高等学校の澤田和幸教頭先生より、「宗教の授業でhasunohaに投稿されている相談を使いたい」とご依頼がありました。

授業で宗教の起源や信仰について扱う中で、生徒さんから「自分が宗教に興味なくても、人間には何らかの信仰が必要なのではないか」という意見が多数出るようになったとのことなのです。

元々「宗教の授業における主体的学び」を実現すべく試行錯誤されていた澤田先生は、自分達が信仰を必要だと考えるならそれについて悩んでもらおうと考え、hasunohaに注目されました。実際に寄せられた相談の回答を生徒さん自身に考えてもらい発表。現状の知見で信仰に関する悩みにどこまで回答し得るのか体験してもらったあと、hasunohaの回答僧の回答を紹介したり、プラスで仏教的知見を伝えたりして、仏教を身近に感じてもらうという試みです。

今回の取り組みを澤田先生は「いかにして生徒達の脳をアクティブにし、自分事として考えさせるか」というご自身の問い立てに対する回答と位置づけられており、期待の強さが感じられました。

現代に宗教をどう生かすか

ご依頼をいただいて、これは素晴らしい取り組みだと感動し、是非お願いしたいとhasunohaからもお返事をしました。歴史の授業で宗教は出てきますが、何年に誰が何を建立したというようなことしか習いませんでした。宗教とは何なのか、なぜ1000年単位で続いているのか、何もわからずにいるのです。

科学技術が恐ろしく発展する現代、宗教という軸がなければ人類は破滅の方向にも向かってしまう。hasunohaはそう考えています。現代社会に宗教がどう影響すべきなのか。それを今現在の我々の目の前にある問題に即して考える。これこそが最もやるべきことなのです。

なりきり回答僧 ~高校生が真剣に悩み相談に乗ってみた~

授業は3年生約100名に下記の進め方で行われました。

・先生がhasunohaの相談をピックアップ(相談者を特定できないように配慮)

・グループディスカッションを経て、各自回答を記載

・グループ毎に発表。質疑応答

・hasunoha回答僧の回答紹介。先生から仏教的知見の追加

先生の予想を遙かに超える生徒さんの真剣な取り組み

終わってからの先生の振り返りには下記のように記されていました。

生徒達が、限られた情報の中から相手の人物像や心情を慮り、意見を交換し討論している状況を見ていると、彼らにとって有用な時間を提供することができたと感じた。生徒達は必死で悩み、必死で回答を作成してきた。正直こちらの予想を遙かに上回る取り組み状況であり、総じて主体的な取り組みであったと評価できる。生徒達に聞くと、「また取り組みたい」という声も多かった。

一方で先生側も、授業前に設定していた目的や想定にはなかった気付きを多く得られたとも記されていました。

「正解のない問い」に取り組む生徒を指導する際の大原則を、彼らの真摯な姿勢が再認識させてくれた。

他に類を見ない独自の「宗教の授業」へ

澤田先生は、このたびの取り組みを大変有意義であったと評価され、今後の展望を結ばれています。

困っている人に寄り添い、一緒に悩み、解決方法を探る、という仏教本来の目的を生徒に体感させられることは、この上ない教化方法ですし、それこそが仏教校の価値であると思います。

まだ私も手探りではありますが、確かな手応えを感じた今回の取り組みが広がってくれるならば、社会から求められるような人材育成が可能であると考えています。

東海学園高等学校として今後も継続して取り組むことができれば、他に類を見ない独自の「宗教の授業」が完成すると考えています。

hasunoha編集部でも、生徒さんたちの回答を読ませていただきました。そこには、相談者さんの悩みを自分ごとのように捉え、ともに悩み、真剣に寄り添い、何度も書き直したであろう手書きの回答がありました。

困っている人に寄り添い、一緒に悩み、解決方法を探る。今の世の中を見渡すと、現代社会に最も不足していることかも知れません。hasunohaが、そのような人材を育成する支援になる。今回ご一緒できて大変うれしく感じました。

hasunohaはこれからも様々な取り組みに協力していきたいと考えています。

ニッポンを優しく - hasunoha



東海学園高等学校

共生(ともいき)

自分と他者、自分と社会、自分と自然。すべてが共に生き、共に生かされていることを自覚する。自分の存在に感謝の念をもち、同時に他者への深い慈悲をたくわえた生き方を追求する。
浄土宗の教えによる、この「共生(ともいき)」の精神のもと50余年間、生きる力・人間教育に重点をおき、しなやかな知性と豊かな感性をそなえた人間の育成に努めています。

文・hasunoha編集部
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