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ブッダ(お釈迦様) | 教えと名言・逸話

仏教の祖であるブッダを知る

 世界中でたくさんの信者がいる「仏教」。一説には4億人を超えるともいわれています。その仏教の開祖、いわゆる創始者がブッダです。日本ではお釈迦様というほうがなじみ深いでしょう。本名はガウタマ=シッダールタといい、インドにある小さな国の王子として生まれたところから彼の物語は始まります。

 彼が生まれたときに、父である王様は占い師にブッダの将来を鑑定させました。するとその結果は「世界最高の王になるか、出家して世界最高の悟りを開く人になる」というものでした。それを聞いた王様は「出家をして跡を継ぐ王子がいなくなると困る」と思い、ブッダに何不自由ない暮らしをさせました。

 ところがこの生活がブッダに出家を決意させる原因となります。小さなころから恵まれた環境で育ったブッダが遠出をしたとき、老人や病人や死人を初めて目にしたブッダは大きな衝撃を受けました。

「老いや病気や死はだれにでも平等に訪れる」ということを知ったブッダは、思い悩んだ末に未来の国王の座や妻子を捨て、29歳の時に出家をして修行の道に進みます。

 そこから厳しい修行を経て36歳で「悟り」を開いたブッダは、彼に教えを求める人々に自分が悟りによって手に入れた教えを広く伝えました。彼の元にはその教えを身に着けたいと弟子たちや人々が集まり、さまざまな悩みを相談しました。その教えはブッダの死後も弟子たちを通じて多くの人々へと伝えられました。

ブッダの教えと現在の仏教の違い

 ブッダの教えは現在の仏教と知られるものとは厳密には異なります。現在の仏教は彼の死後に各地に伝わるなかで大きく2つにわかれました。

 ひとつは「上座部仏教」、かつては「小乗仏教」と呼ばれたもので、ブッダが弟子に伝えた内容を残しており、古い時代に作られた経典(教えを記したもの)を守っているのが特徴。タイやミャンマーなどで信仰されています。

 もうひとつは、「大乗仏教」と呼ばれるもので、中国や日本に伝わったものを指します。こちらはブッダの教えを元にして数々のアレンジがされたもので、多くの宗派があり、それぞれで教えも異なることがあります。

しかし、現代の仏教が最初のブッダの教えと異なる部分があるとはいえ、元となるブッダの教えは同じ。そのことばや考え方は脈々と受け継がれています。多くの人に伝わる中でアレンジされていったのは、それぞれの場面・時代で分かりやすく・実践しやすくするように伝えた結果であり、決して間違えているわけではありません。

たとえば、いかにも仏教的なことばである「煩悩を捨てる」というのは、ブッダが伝えた「現在の自分との差を求めるのは苦しみのもと」ということばを起源とするもの。ブッダは悟ったことで他との比較をやめ「自然体でいること」を手に入れました。後世の人は悟りを開くことが難しく、それで「できることをやりましょう」というアレンジが加えられた結果なのです。

現代にも通じるブッダの普遍的なことば

ブッダが悟りを開いたすごい人物であることはよく知られていますが、そこに至るまでに彼も大変な苦労をしました。その方法は苦行と呼ばれる肉体的・精神的に厳しい修行でした。当時、「真理」に近づくための方法として多くの修行者が行っていた方法でしたが、ブッダは「肉体的・精神的な苦しみでは悟りへ至れない」と知り、自分の内面を見つめる“瞑想”によって「真理=悟り」へと到達したのです。

 偉大な聖人とされているブッダですが、それでもわたしたちと変わらない一人の人間でした。人としてブッダが到達した「すべての苦しみから解放された精神」への道すじは、彼が残したことばに散りばめられています。そのことばを知り、その考えに近づくようにすることは、現代のわれわれにとっても無理なことではありません。

 ブッダが残した「ことば」。それは2500年前も現代も変わらない、私たちが日々感じる苦しみから解放される方法が記されたものです。この先に紹介していく「ブッダのことば」に耳を傾けることで、知らず知らずに抱え込んでしまっている苦しみの原因からきっと解放されることでしょう。

ブッダの名言・逸話と仏教おすすめ本

hasunohaでお坊さんの回答にあるブッダの教えやことば、仏教のおすすめ本、お釈迦様の名言や逸話を紹介します。

お坊さんに聞くブッダの生涯・教え

ブッダの生涯

Q:仏教の開祖であるブッダはなぜ地位や妻子を捨ててまで出家したのですか。


A:お釈迦様は、王家の跡取りを生むという最低限の責務を果たしたから、出家に踏み切れたのかもしれません。まぁ、結果的にはその息子も出家しちゃうんですが。結果論ですが、ブッダは家族と和解していますから、ハッピーエンドです。また、お釈迦様は出家したと言っても、父王が派遣した5人の出家仲間が一緒だったので、消息不明になっていたわけではありません。お釈迦様は、世俗の生活(娯楽、結婚、子供)を一通り経験されています。だからこそ、お釈迦様の教えには説得力があるのかもしれません。

元の問答:ブッダの生き方について

自灯明、法灯明

Q:お釈迦様が入滅の前に弟子のアーナンダに自灯明、法灯明を教えましたが、私は今の世の中こそ、この教えをとても大切にする必要を感じてます


A:「自灯明」とは、本来、自分を救えるのは、自分でしかないということになります。自分の行い(業)の責任は、他の誰も取れません。「自業自得」ということになります。「法灯明」とは、その「業」を善くするための方法論ということになります。
迷い苦しみを無くすための教えとして仏法があるわけですが、それを実践するかどうか、善き行いに励むことで、善き業を調えられるかどうかは本人でなければどうにもできません。

元の問答:法灯明について教えて下さい

釈迦力

Q:生き抜くために一番必要なのは何の力ですか?


A:何とかシャカリキに頑張って生きて参りたいものでございます。このシャカリキの語源は、「釈迦力」と言われています。お釈迦様が、迷い苦しむ人々を救おうと、とにかく懸命に頑張っておられたことから産まれた言葉となります。

元の問答:何力

天上天下唯我独尊

Q:天上天下唯我独尊というのは、本来どのような意味なのでしょうか。


A:仏教用語には誤解されるものが多く、「天上天下 唯我独尊」もそのひとつです。字面を見ると「この世の中でオレさまが一番偉いんだ」というように見えます。しかしこの言葉には、下の句があります。
三界皆苦 我当安之(さんがいかいく がとうあんし)
上の句だけでは誤解されやすいこの言葉も、下の句を加えることで理解が深まります。
上:この世の中で、私は最も尊い存在である
下:なぜなら、世の中は苦しみに充ち満ちていて、私はそれを安らかにする者だからである
つまり、お釈迦さまが後に「さとり」を開かれ、多くの人々に仏教を説き広めていくことを表した言葉です。

元の問答:天上天下唯我独尊の意味

ブッダ・仏教のおすすめ本

読みやすい仏教入門本

Q:お釈迦様のお話を素人でもわかりやすく読める本など教えてください。ちなみに手塚治虫先生の『ブッダ』は読みました。


A:増谷文雄先生の「仏教百話(ちくま文庫)」あたりはライトで読みやすいです。「ブッダ いのちの言葉」ナガオカ文庫、宮下真著、などは法句経の中からいくつかをピックアップして分かりやすく解説していますよ。 また、子供向けですが「ブッダがせんせい」ナガオカ書店、宮下真著、などもおすすめです。もっと平たくいくなら漫画の(里中満智子『ブッダをめぐる人々』中公文庫)。単行本なら全1巻、文庫版なら全2巻です。

元の問答:お釈迦さまについての本

わかりやすい仏教の本

Q:皆様のおかげで仏教に興味が湧いてきたので、一から勉強してみたいと思っているのですが、この本が面白い、わかりやすい!というおすすめがあれば教えてください。


A:『知識ゼロからの仏教入門』長田幸康、幻冬舎、『日常から精神へ』仲野良俊、教育新潮社 が最近の一押しです。
仏教の起源はインドですから、お釈迦様やお釈迦様の説いた教えについて書かれた本。中村元先生が書かれた岩波文庫の本を何冊か紹介します。『ブッダの生涯』『ブッダのことば―スッタニパータ 』『ブッダの真理のことば・感興のことば』

元の問答:仏教を学んでみたい

仏教観や思想がわかるマンガ

Q:仏教をテーマにした、お坊様オススメのマンガはありますか?


A:『火の鳥』は、仏教そのまんまが出るわけではないですが、仏教観がテーマになっているので、ぜひ読んでいただきたいです。あくまでも入門書としてですが、「もしリアルパンクロッカーが仏門に入ったら」架神恭介氏著・イカロス出版。漫画とは言えないかもしれませんが、イラストと解説で、意外に難しい仏教における思想を分かりやすく説明されていて、面白く読ませてもらいました。

元の問答:仏教についてのオススメ漫画はありますか?

仏教の成り立ち・変遷がわかる本

Q:仏教についてなるべく簡単にわかりやすく書いてある本が欲しいです。仏教が成り立った経緯とかも知りたいなと思っています。


A:佐々木閑先生の「ゴーダマは、いかにしてブッダとなったのか」がおすすめです。お釈迦様のご生誕以前の時代背景などから書いてあり、変遷がよくわかると思います。専門用語を嚙み砕いて説明されていますので、読み易いです。これを読み終えたら、中村元先生の「原始仏典」を読むと理解が深まるのではないでしょうか。

元の問答:仏教がわかる本

仏さまを主人公にした漫画

Q:仏ゾーンという少年漫画をご存知でしょうか。お坊さんとしては、ああいった仏様を主人公にした漫画をどう思われますか?罰当たりでしょうか。


A:仏ゾーンとシャーマンキングの2作品(同じ作者)は好きでした。 仏ゾーンは、本来の仏教の設定をわかったうえで作られていると思われるので、奥が深く感じるのです。シャーマンキングも、少年漫画の主人公はキレて(怒って)力を発揮するオチが多い中、おだやかな心でないと力を発揮できないという仏教的な感じの物語でした。

元の問答:仏ゾーンという漫画を知っていますか?

ブッダの逸話・名言

悪口は 受け取らないと 相手の元に戻る

あるところに、お釈迦様が多くの人たちから尊敬される姿を見て、ひがんでいる男がいました。

「どうして、あんな男がみんなの尊敬を集めるのだ。いまいましい」

そこで、男は散歩のルートで待ち伏せして、群集の中で口汚くお釈迦様をののしってやることにしました。

「お釈迦の野郎、きっと、おれに悪口を言われたら、汚い言葉で言い返してくるだろう。その様子を人々が見たら、あいつの人気なんて、アッという間に崩れるに違いない」

そして、その日が来ました。男は、お釈迦様の前に立ちはだかって、ひどい言葉を投げかけます。

お釈迦様は、ただ黙って、その男の言葉を聞いておられました。

弟子たちはくやしい気持ちで、「あんなひどいことを言わせておいていいのですか?」とお釈迦様にたずねました。

それでも、お釈迦様は一言も言い返すことなく、黙ってその男の悪態を聞いていました。

男は、一方的にお釈迦様の悪口を言い続けて疲れたのか、しばらく後、その場にへたりこんでしまいました。

どんな悪口を言っても、お釈迦様は一言も言い返さないので、なんだか虚しくなってしまったのです。

その様子を見て、お釈迦様は、静かにその男にたずねました。

「もし他人に贈り物をしようとして、その相手が受け取らなかった時、その贈り物は一体誰のものだろうか」

こう聞かれた男は、突っぱねるように言いました。

「そりゃ、言うまでもない。相手が受け取らなかったら贈ろうとした者のものだろう。わかりきったことを聞くな」

男はそう答えてからすぐに、「あっ」と気づきました。

お釈迦様は静かにこう続けられました。

「そうだよ。今、あなたは私のことをひどくののしった。でも、私はそのののしりを少しも受け取らなかった。だから、あなたが言ったことはすべて、あなたが受け取ることになるんだよ」

元の問答:人が信じられない。自分で自分を追い込んでしまう

999人を殺した悪人アングリマーラも悟りました

お釈迦さまがおられたときに、アングリマーラという悪人がいました。彼は、だれかれ構わず出会ったものを殺すという残虐な殺人者でした。

999人を殺し、1000人目として彼が出会ったのがお釈迦さまでした。アングリマーラは、お釈迦さまを殺そうといきり立ちます。しかし、いくらナイフを振りかざしても、お釈迦さまに指一本触れることができなかったそうです。

そして、お釈迦さまにこう叫びます。「ええい、止まれ!」するとお釈迦さまは不思議なことをいいます。「わたしはずっと止まっているよ。止まっていないのはお前の心の方じゃないのかな?」

それを聞いた途端、アングリマーラは膝をつき、地に伏せて今までのことを懺悔したそうです。きっと、心のどこかで自分が恐ろしいことをしていると気がついたのでしょう。それ以降、アングリマーラはお釈迦さまの弟子になります。頭を丸めて、僧侶の姿になりました。

しかし、町の人々は彼がかつてのアングリマーラだとすぐに気が付きます。ある人は彼に石を投げて、ある人は襲い掛かってきます。しかし、アングリマーラは復讐せず、じっとそれに耐え続けたそうです。そして、ついに悟りを開きました。

元の問答:自分のせいで多数の人に多大なご迷惑をかけてしまっています

うでんうでん うたくうたく

お釈迦さまの言葉で「有田憂田 有宅憂宅 無田亦憂 欲有田 無宅亦憂 欲有宅」というものがあります。田んぼが有れば田んぼの心配をし、家が有れば家の心配をする。田んぼがなければ「田んぼ欲しいな」と憂い、家がなければ「家が欲しいな」と憂う
という意味で、つまり人間はどんな状況でも憂う存在だということです。

元の問答:結婚、出産は何のためにするのか

死んだ子を生き返らせる方法

昔、母親が小さい我が子を突然亡くし、どうしたら生き返れるか色んな人に聞くが方法が分からない。その時お釈迦さまにワラをもすがる想いで相談すると、お釈迦さまはこの村で一度も死人を出した事のない家を探し、一粒のケシの実を持って来たら貴方の子供を生き返らせる事ができます、とお話をされます。

それを聞き母親は村中を探します。がケシの実は何処でもあるが一度も死人を出した事のない家は何処にもありません。ほとほと疲れ果てた母親は仕方無くお釈迦様のもとへ帰り「そんな家などあろうはずがない事に気付き、私は悲しみばかり考え何も見えてませんでした。お釈迦様のお陰で大事なことがわかりました」と言い、これより仏道を志されお釈迦様に帰依されたと言うお話です。

元の問答:小心者の嘘

文・hasunoha編集部
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