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身近な人の死
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ペットの安楽死に罪悪感。許してもらえますか?お坊さま教えてください

ペットは、かけがえのない家族の一員。
言葉を発しなくても仕草や声で気持ちが通じるペットに、どれだけ幸せをもらって暮らしているか計り知れませんね。
けれども、必ずやって来るのがペットの死。
亡くして初めて後悔の念と深い悲しみに触れ、その存在の大きさを突きつけられるものです。

今回の相談は、愛猫の安楽死で深い悲しみの中、罪悪感も入り混じり許してもらえるのかと悩んでいらっしゃる40代女性あさがおさんのお話です。


お坊さま、愛猫の安楽死を選んだ私を許してもらえますか?

先日、私たち夫婦で大切にしていた猫を安楽死させました。
私は猫を胸に抱き、猫の心臓が止まる瞬間を感じました。
「許してね、許してね、お疲れ様」と泣き叫びながらの瞬間でした。
猫の心臓が止まった時、私は確かに「救われたい」と感じ、罪深いと痛感しました。心から懺悔し、猫の死を無駄にしないよう、私にお坊さまのお言葉をいただけませんでしょうか。


ペットの最期において治る見込みのない状態で安楽死を獣医さんから提案されることも、少なからずあります。
飼い主の決断で「これ以上苦しむのを見ているのがつらい」こともあり、安楽死を選んでしまっても、それが人間の傲慢だと感じることもあります。
あさがおさんは、無償の愛を与えてくれた愛猫に許して欲しいという気持ちでいらっしゃいます。
何とかこの気持ちを落ち着けたいという気持ちは、ペットの死を経験された方であれば、尚更通じるものがあるのではないでしょうか?
お坊さんは、どんなお言葉をかけられたのか見ていきましょうね。


善悪の答えを掴むのではなく念仏で自分の姿を教えてもらえます

おっしゃる通り、人間はわからないものをわからないものにしておけない弱さがあり、自ら善悪の判断をつけ、それで苦しんでいく存在でもあります。
その私が善悪を判断し答えを掴むのでなく、私はただ念仏する。念仏するとは「仏様の正しい教えに私の姿を教えられる」ということ。
(法覚寺 吉武文法)

こちらのお坊さんは、猫ちゃんは病気の苦しみも苦しみとして、安楽死をそのまま引き受けたとおっしゃりっています。
相談者さんには、善悪を判断するのではなく、念仏することにより自分の姿を教えてもらえるとアドバイスをくださっていました。
全てをありのままに受け止めた猫ちゃんだったと受け止められれば、おのずと気持ちも静まって来られるかもしれません。


猫ちゃんは恨んでいません!お祈りをしましょう

決してあなたの心が弱かったから間違えての選択をしたわけではないと思います。猫さんもそれを選んで欲しかったと思います。

ですから猫さんは恨んではおりませんのでご安心ください。それどころかあなた達ご夫妻とともに命を歩めたことを感謝していると思ってもいいと思います。

今あなた様にお願いしたいことは、どうぞそのご家族の猫さんが阿弥陀如来さまのお導きの元に極楽浄土に生まれ変わってくださることを祈って欲しいのです。
(光永寺 憲章)


こちらのお坊さんは、猫ちゃんがご家族と命をともにできたことに感謝をしているとおっしゃっています。
そして、仏様の導きにより極楽浄土への生まれ変わりを祈ることをアドバイスして下さっています。
愛猫の死後にご自分がやれることが胸にストンと落ちれば、猫ちゃんのためにも、ご自分のためにも光が見えて来るような感じがして来ませんか? 


相談者あさがおさんのお礼から

自分で自分を許す道のりを少しずつ歩みたいです。引き受けることのできる動物から、本当に色々なことを身をもって教わることができた私たちは幸せですね。

あれだけの楽しい日々をくれた猫に「ありがとう」と伝えながら、楽な世界に向かってくれることを祈ってみます。「極楽浄土」という文字を改めて見直すと、きっと素晴らしい世界ですよね。そんな素晴らしい世界へ行けるように憲章さまに祈っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。

あさがおさんのお礼からは、猫ちゃんに対するこれまでの幸せな暮らしを与えてくれたことへの感謝と、猫ちゃんが極楽浄土の世界へ向かうことを祈ってみたいと、何とか前向きに立ち上がろうとされている姿が伝わって来ました。心からホッとした気持ちになりますね。


ペットとの別れはいずれはやってくるものですが、お坊さん方がおっしゃるように、飼い主として善悪を判断することに固執せず、ありのままを受け止めて旅立ったペットに改めて感謝の気持ちを持つことが大切なのですね!
そして、ペットは旅立ったあとも飼い主の幸せを願っているという気持ちに気づくと、尚更、愛おしいものです。

ペットの死で罪悪感に苛まれるとき、今回のお坊さんにいただいたお言葉を意識してみると、仏教の導きにより気持ちの切り替えが自然にできるようです。
今回も、大変ありがたいお話でした。


元の問答:できることならば、許して欲しい。

文・hasunoha編集部
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