亡くなった人に会いたい。私たちは時に苦しいほど、そう願ってしまうことがあります。
死んだおじいちゃんに会いたい。死んだ母に会いたい。など、とくに身近な人への会いたい思いは切実ですよね。

しかし現実では、もう会うことはできません。「それなら、せめて夢で会いたい」と願うのは、自然なことなのではないでしょうか…。でも、なぜか願うほど、夢に見ることができなかったりもしますよね。

hasunohaにも、「亡くなった人に夢で会いたい」と願う女性から、相談が寄せられていました。その中でお坊さんは、亡くなった人への思いと“どう向き合えば良いか”を教えてくださいました。

亡くなった人に会いたい。せめて夢の中でいいのに…。

毎日思い出すほど大切な人を亡くしてしまった、相談者のブルーアイさん。「亡くなった人に夢の中で会いたい」と願うひとりですが、その人は全く夢にでてきてくれません。

亡くなった人が全くといっていいほど夢にでてきません。
その人の事は毎日思い出し、せめて夢の中で会いたい、夢に出てきてほしいと切実に願っているのですが全然でてきません。
お墓参りも行っているし、こんなに思っているのに夢にでてこないのはなにか意味があるのでしょうか？
もう忘れてほしいとか…。
私はどうすればいいでしょうか？

願っても夢にでてきてくれないのは「忘れてほしい」というメッセージ？と戸惑うブルーアイさん。“夢は潜在意識からのメッセージ”なんて言われますが、夢にでてこないのも何かのメッセージなのでしょうか？どうして、夢に見ることすら叶わないのでしょうか？

亡くなった人への強い思いが夢を遠ざけてしまうこともある

もしかすると、あなたが亡くなった人に会いたいという強い思いがかえってあなたの心に作用して夢に見る事から遠ざけている可能性もあるのかもしれません。
～中略～
あなたはその方を忘れる必要はないと思います。その方との思い出を大事になさって下さい。そして何よりもあなたの日々の生活を大事になさって下さいね。 そうしているうちに、夢に見るかもしれませんよ。
（西禅院　悟東 あすか）

お坊さんは、“強い思い”が夢に見ることを遠ざけている可能性があると教えてくださいました。夢は、無意識が働いて見るものだと言われますよね。お坊さんがおっしゃるように、「会いたい」という意識が強すぎると、夢に見ることを無意識に避けてしまうのかもしれません。

とはいえ、「忘れる必要はない」というお坊さん。この言葉には、なんだかホッとしますよね。ブルーアイさんも前を向くことができたようで、お礼の言葉が届いていました。
その方のことは忘れずに一緒に過ごした思い出を大切にして、私自身が一生懸命毎日を過ごしてちゃんと生きていくことが大切ですね。その方もそれを望んでいると思いますし、何よりの供養になると信じています。

ブルーアイさんのように、亡くなった人に会いたい思いが強いほど…苦しい思いを抱えますよね。亡くなった人にはもう会えないことが分かっているからこそ、どうすることもできなくて辛いのです。

私たちは、こうした現実にどう向き合えば良いのでしょう？もうひとりのお坊さんが、仏教の真理を説いてくださっています。

「思い通りにならない」ことを知ると、夢に見ることもできましょう

お釈迦様の教えに「一切皆苦」という真理があります。
～中略～
あなたは今、自分の思い通りにならないことを自分の思い通りにしようとしているから、苦しみが抜けない。だから、その自分のエネルギーを控える、抑える事によって、世界が開かれます。
～中略～
自分の思いや願いもワタクシしないでお過ごししてみてください。 いつかちゃんと正覚、悟りという、正夢、真実の夢を得る事ができましょう。
（安穏寺 （天岑寺）　丹下覚元）

一切皆苦とは、“人生は思い通りにならない”という真理だと言われます。

世の中には、どうしようもなく、思い通りにならないことがあるものですよね。人の死や、大切な人との別れ。亡くなった人に夢で会いたいというのも、思い通りにならないことのひとつなのでしょう。

お坊さんは、自分の思い通りにならないことに苦しむよりも、「その苦しみから自分を解放してあげること」が大切だと教えてくださいました。

どちらのお坊さんも、一切皆苦を受け入れ、今を大切に生きることできっと、亡くなった人を夢に見ることもできるでしょう。と、前を向かせてくださいました。

誰にでもいつか、大切な人との別れが訪れます。そのとき、苦しみから自分を解放してあげられるのは、自分なのです。でも、私たちはひとりではありません。hasunohaにも、生きていくためのヒントをくださるお坊さんたちが、待っていてくださいます。亡くなった人に会いたくて苦しいときは、あなたも、お坊さんの知恵を借りにいらしてくださいね。

元の問答：亡くなった人が夢に出てこない