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仏像オタクニストSALLiAの「仏のトリセツ」vol.17「祈りは誰のためにある?」

今年もまた、お盆がやってきますね。当たり前の日常が去った今年。今までと同じ行事があることが、例年以上に嬉しく感じます。

みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

私にとっての8月の大きな出来事が、今日のコラムのテーマです。

お坊さんのプロモーションビデオが作りたい

8月1日、私は自分のYouTubeチャンネルに一本の動画をアップしました。

「史上初!お坊さんプロモーションビデオ」というタイトルの通り、お坊さんしか登場しない映像作品です。

まだリリースをしていないけれど、作詞・作曲・編曲の全てを手がけ、ライブなどで大切に歌ってきた「Face to」という楽曲。

それを用いていますが、私は一切登場しません。

この楽曲ができたのは、昨年の3月ごろ。元々は、日本最大の寺社フェス「向源」さんでのライブのために、作った楽曲でした。

「諸行無常の世の中を生きることは、誰もみな苦しい。」

「だからこそ自分の中に、その希望の灯火を灯して生きるしかない。」

「そうすればそれが希望となり、救いとなる。」

これが音楽アーティスト SALLiAとして伝えたいメッセージであり、仏教の教えを音楽という芸術で表現してみたいと思った前提でした。

シルクロードを通って日本に伝播した流れと、常にフレキシブルに時代や人々のニーズに応え、変遷し、進化を遂げてきたその「最先端であったコンテンツ」としての仏教を、音楽で表現するために日本や中国の古典的な楽器を使い、かつEDMを彷彿とさせる、機械的なサウンドと融合させるという手法をとりました。

そしてこの曲をお寺のライブなどで歌ううちに、一つの考えが浮かびました。

この曲で、お坊さんとコラボした映像が撮りたい、と。

神聖な祈りは、日常の中にこそある

そう思っていたタイミングで、ご縁をいただいた京都の龍岩寺の池口龍法さんに、ここぞとばかりに相談したのが最初のきっかけ。

最初は、この曲で仏の教えをお坊さんが踊りで表現するという映像を撮りたいです!と言い、池口さんも面白いですねと乗ってくれました。

そうして具体的にスケジュールも決めて動き出そうとしていた矢先に起こったのが、新型コロナウィルスの感染拡大だったのです。

池口さんは「もう少し待ってみましょう」と言ってくれました。でも、だからこそ今しか表現して、受け取ってもらえないものがあるのではないかと思い、私は粘りました。

「お坊さんの日常と、祈りの神聖なシーンを撮った映像を作りたいです。」

私がそういうと、池口さんはしばらく黙った後に「僕の中で、お坊さんの日常の部分と祈りの神聖さは結びつかないです。」と仰いました。

お坊さんとしてのあり方と真摯に向き合ってきたからこそ、出た言葉だな。

と真っ先に感じた、私。

だからこそ、そんなお坊さんにこそ分かって欲しい、伝わって欲しいと思い、さらに私は勇気を出して伝えました。

「お坊さんが、一生懸命、お坊さんとしての自分のあり方を悩みながら、必死で向き合って、そしてみんなと同じように日常を生きている。

その延長線上に、祈るという行為があって、初めてお坊さんの「祈り」は神聖なものになると思うんです。」

長年、仏教と数多の命や人生に向き合ってきたお坊さんに、小娘が偉そうなことを抜かしている。私は言いながら、そう思いました。

分かってない、と怒られるかも…とも思いました。でも、それでもいい。どうしても伝えたかった。お坊さんの中には、自分の人間らしさを恥じる方もいるし、悩んだりモチベーションがなくなることを良くないことだという方もいらっしゃる。

もちろんそれも分かります。2500年という歴史をかけて受け継がれてきた仏教を大切に思えば思うほど、その神聖さを無くしてはいけないと思う気持ちは大切です。

でも私は、もし自分が死んだ時にどんなお坊さんに弔ってもらいたいか考えた時に、お坊さんとしての自分に悩み苦しみながら、もがきながら、それでもお坊さんとして一生懸命、目の前の命や人生と向き合っているお坊さんがいいな、と素直に思ったのです。

自分の苦しみから生まれたものが、誰かを救いますように

そして私の言葉を聞いた後、池口さんは「なるほど…そうですね…うん。そうかもしれないですね。」と噛み締めるようにおっしゃってくださいました。

その後、池口さんが浄土宗のお坊さんに声をかけてくださり、湯川寺の筒井章順さん、蟠龍寺の吉田龍雄さん、光源寺の山崎聡志さん、そして池口さん自身も出演してくださることとなりました。

みなさんボランティアで協力してくださり、撮影も、お寺によく出入りしているごく普通の女性たちが中心となって行ってくださいました。

私がこのお坊さんPVを通して、伝えたかったものは「祈りの本質」です。

それを私に、一番最初に教えてくれたのは、音楽活動でした。

祈りは本来、自分以外の誰かのためのものであったと私は思います。

自分以外の、誰かの平安を願う。それが祈りの本質だったと思います。

それがいつしか、自分がよりよく生きることのためだけに「祈り」は消費されていると私は常々感じていました。

それは私たちにとって、生きることが当たり前になるぐらい、平和に生きることができていたからです。

本来あるべき「祈り」の本質的な姿とは、日常の中にこそ存在しています。自分の内側から見出すものであり、自分の外側に求めてしまったら、それは「依存」になります。

私はいつも曲を作る時、詩を書く時、歌う時、この曲を受け取る人が少しでも幸せになってくれますように、という祈りと共にあります。

そうでなければ、自分だけのために曲なんて作る気もしません。

音楽を仕事なんかにしたくありません。

自分がもがき苦しんだだけ、いい曲が作れる。自分の不甲斐なさと向き合うたびに、響く歌が歌える。そうであってほしい。

だからこそ、そんなアーティストの歌う姿はかっこいい。そうありたい。

そしてそれはお坊さんも同じことだと思うのです。

完成した「お坊さんPV」を見るたびに、私はいつも思います。

お坊さんの祈る姿って、かっこいい、と。

そして出来れば、全宗派バージョンがみたいなあ、とも(チラッ

【史上初!】お坊さん プロモーションビデオ〜浄土宗ver〜【SALLiA】


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文・hasunoha編集部
SALLiA(サリア)

歌手、音楽家(作詞・作曲・編曲家・音楽プロデューサー)、仏像オタクニスト 。

「歌って作って踊る」というスタイルで話題を呼び、2016年11月USEN1位を獲得。さらに4週連続トップ10入りを果たした。さらに音楽家(作詞・作曲・編曲家)として楽曲提供を行ったり、県域ラジオ局のラジオパーソナリティ、全国のフリースクールでのボランティア活動等、その活動は多岐に渡る。

幼少期よりいじめ、不登校、家庭内の不和など、様々な生きる苦しみを感じながら成長し、20歳で「仏像」と出会う。そこからずっと感じていた「どんなに過酷な状況でも穏やかに、幸せに生きる方法」を本格的に模索し始める。

そしてUSEN1位獲得の翌年、足の事故に遭うという人生最大の危機が訪れる。しかしその人生最大の苦しみがきっかけとなり、仏像だけでなく本格的に「仏教」の勉強をし、「自分で自分を救っていく方法」を発信する「仏像オタクニスト」としての活動を始めることを決意。2018年4月、本名の畑田紗李から「SALLiA」に改名。

2018年12月3日、「生きるのが苦しいなら~仏像と 生きた3285日~」を出版。紀伊国屋週間総合ランキング3位やダ・ヴィンチニュース1位など、話題を呼んでいる。

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