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仏像オタクニストSALLiAの「仏のトリセツ」vol.15 「自分なんか消えてしまえと思っているあなたへ」

緊急事態宣言が解除されましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

ここ数ヶ月、テレビもネットもコロナの話題で持ちきりでしたが、そんな中、ショッキングが出来事が起こってしまいました。一人の若く美しい女性プロレスラーが自死を選んでしまった出来事です。

ネットでの誹謗中傷を苦に、という報道のされ方もあってか、芸能人だけでなく一般の方も誹謗中傷による死に対する憤りや、許せなさを同じように発信されていたと思います。

その時、私は次のコラムについて思案しているタイミングでした。そして同時に、ずっと書こう、書きたい、書かねばと思っていた「死にたい」という希死念慮をテーマにしたコラムをそろそろ書いてみても良いのではないか、とも思っていたタイミングでもありました。

正直私は、誹謗中傷を苦に命を立ったことよりも、どんな気持ちで一人でその選択をし、実行したのか、それだけをずっと考えていました。

どんな経緯で死にたいと思ったかよりも、死んでしまったという結果と、てんこ盛りな想像で繰り返される報道、ネットのリアクション。

それにほんの少し、傷ついている自分がいました。

なぜなら、私も本当に死のうと思って、実行しかけたことがある人間だからです。

 

自分という害悪な存在を、この世から消さなければ。

私が初めて、本気で死のうと実行に移そうとしたのは2016年10月のことでした。今まで人生で2回ほど死んでしまいたいと思ったことはありましたが、ここまで強く「死にたい」「消えたい」と思ったことはありませんでした。

当時のことは、初著「生きるのが苦しいなら」に詳しく書いていますが、その時の私はとにかく「私という害悪な存在を、この世から消さなければ」という思いに取り憑かれていました。

その時、私に起こっていたのは、とある現場でのいじめ(ブースに閉じ込められる、ミスを自分のせいにされて怒鳴られる、味方なってくれる人が誰もいない、人格を否定するような言葉を言われるetc…)と、

ネットでの心ない言葉(死ね、ブタ、消えろ、うざい、コメントに返事をしないと文句を言われてブロックされるetc…)の攻撃でした。

毎日毎日そんなことが続くと、いつしかそれに抗う気持ちも薄れて、次第に「こんなことを言わせてしまう私が悪いんだ」と思うようになりました。

今でこそ、言われる方に問題があるのではなく、言う方に問題があるという風に思えていますが、その当時は心の底からそう思っていました。

誰かのせいにして死んでいこうとしていただけの私

では何故、あの時私はそう思っていたのでしょうか?

きっかけはもちろん、他者からの心ない言葉や行動によってです。でもそれはあくまで「きっかけ」に過ぎませんでした。もっというと、他者から触発されているだけに過ぎなかったと今ではそう思います。

一見、他者からの言動によって死にたいと思い、行動に移そうとしたように見えますが、実のところは違います。

この世の誰よりも、私は自分で自分のことが嫌いでした。

幼少期のいじめや、家庭環境により自己肯定感が低く、自分など消えるべきだという思いを抱えながらずっと生きてきました。その感情に、時には蓋をしながら、見ないようにして生きてもきました。

だからこそ、ちょっとしたことで、その蓋は簡単に開いてしまう。

心ない言葉がたくさん飛び交うようになってから、傷つきながらも同時に私は、どこか安心を覚えていました。

死ね?消えろ?ブス?うざい?

だよねだよね。私もずっとそう思ってたんだ。丁度よかった。今もし死んだら、それを言ってくれた顔も知らない誰かのせいや、あの人のせいにして、死ぬことができる。

心のどこかで、そんな風にも思っていたのだと思います。

死にたいという人に対して、「あなたが死んだら悲しむ人がいる」という言葉を目にも耳にもよくします。

死にたいとネット検索すると、そんな言葉がたくさん溢れてきて、逆に死にたい気持ちが増したこともあります。

確かに悲しんでくれる人もいるだろう。でも、そんなことはどうでもいい。

だって、私は私が死んでも全然悲しくないから。それが死にたいと思う理由の、全てでしょう?

それが当時の私の本音でした。

人間は簡単に死ねないようにできている。

そして、私はとある一冊の本を買いました。色んな自殺の仕方と、メリットデメリットが載っている、マニュアル本です。

正直、その本を読んでまず最初に思ったのが「簡単に死ぬ方法なんてこの世に存在しないんだ」ということ。

何故なら、人間の体は簡単に死ねないようにできています。自己防衛本能という機能が備わってしまっているからです。

たとえ心が「死にたい」と思っていても、体の反応は別であり、体の反応は必ず「死にたくない」という反応になります。

だからこそ、どの自殺方法も「失敗するかもしれない」リスクが伴います。

そしてどの死に方をみても、確実に死ねる方法もありません。

万が一、上手く死ねずに生き残ってしまったら、後遺症が残ります。今よりもっと苦しい状態で、生きることを強いられてしまいます。

実際、救急センターで働く友人が言っていました。自殺未遂で運ばれてくる人がたくさんいる。それを間近でみてると、自殺は本当にやめた方がいいと思う、と。

ある人は自分の喉に包丁を突き立て、声を失ったまま、自分でうまく嚥下もできずに生きていかなければならず、またある人は睡眠薬を大量に飲んで、体の各臓器がまともに機能せず、たくさんの薬を飲みながら、働くこともできずに大変な日々を送っていると言います。

身も蓋もない言い方にはなりますが、私が自殺を思いとどまれたのは、

・もしうまく死ねなかった場合のリスクを考えると、今のまま生きていた方がまだマシかもしれない。

・死んでも「必ず」楽になれる保証はない。

というこの2点。

どんな綺麗事の言葉よりも、私に自殺を躊躇わせたのはこの事実のみです。

まず、冷静になって考えてみると、生きている間に幸せになる努力もしていない人間が、死んで幸せになれたら理不尽だし、だったらそれこそ何のために人間として生まれて、生きてきたんだよってことだよな、とも思いました。

そして、死んだら無になれる=楽になれるというならば、何故「お墓参り」や「お葬式」があるのだろうか?私たちは「無」に向かって手を合わせているのか?

であれば、自殺した後、必ず楽になれる保証はないよなあ…とこれもまた、冷静に考えてみることで思い至ったのです。

自分が自分の命をどう思っているのか?

そしてその後、大切なのは、人に生きたいと思わせる力を何より与えるのは、誰かから大切に思われている自分ではなく、自分から大切に思われている自分だ、と気づきました。

私は長らく、自分という存在や自分の人生というものに意義を見い出せずに生きてきた人間でした。

生きてるだけで十分に価値がある、なんて言葉もよく見かけけど、私は生きてるだけでいいなんて、全然思えませんでした。私がこの世界に存在してもいいと、誰もが認めてくれるようなそんな生きる理由や意義を、ずっと探していました。

だけど、そんな答えなど誰も出せません。世界中のどこを探したって、見つかるわけがありません。

そしてある日私は気づきます。自分以外の誰かやどこかから与えてもらおうとする限り、この問いの答えは見つからない、と。

同時に、そうしている限り、私はいつまで経っても自分の人生を生きる覚悟ができず、誰かのせいにして生きようとしたり、死のうとしたりを続けてしまう。そのことにも気づきました。

自分という命にどんな意味を見出すのか?何かを答えとして定義づけるのか?それは自分にしかできません。

本当は、なんとなく生きてたって全然いいし、生きることに意味なんかなくても全然いいのです。

生きる上で、誰かに許してもらえるような崇高な理由など必要ありません。

仮にもし、あなたの命を軽んじ、あなたが生きていることを責める人がいるならば、それはあなたに対して言っている言葉ではないと思ってください。

その人が、自分に対して言いたい言葉を、あなたを通して言っているだけです。

ただ生きているだけで自分の命を良しとできるか。

生きる理由を求めること、誰かに求められる命でいたいと思うことを一度、捨ててみる。

ただ、「生きてみる」。

それがいつしか、「生きたい」に変わる日が来るかもしれません。

そして、ただ生きてる「ついで」に、それが人の役に立てたらもう最高じゃん!って思って、私は今生きています。

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文・hasunoha編集部
SALLiA(サリア)

歌手、音楽家(作詞・作曲・編曲家・音楽プロデューサー)、仏像オタクニスト 。

「歌って作って踊る」というスタイルで話題を呼び、2016年11月USEN1位を獲得。さらに4週連続トップ10入りを果たした。さらに音楽家(作詞・作曲・編曲家)として楽曲提供を行ったり、県域ラジオ局のラジオパーソナリティ、全国のフリースクールでのボランティア活動等、その活動は多岐に渡る。

幼少期よりいじめ、不登校、家庭内の不和など、様々な生きる苦しみを感じながら成長し、20歳で「仏像」と出会う。そこからずっと感じていた「どんなに過酷な状況でも穏やかに、幸せに生きる方法」を本格的に模索し始める。

そしてUSEN1位獲得の翌年、足の事故に遭うという人生最大の危機が訪れる。しかしその人生最大の苦しみがきっかけとなり、仏像だけでなく本格的に「仏教」の勉強をし、「自分で自分を救っていく方法」を発信する「仏像オタクニスト」としての活動を始めることを決意。2018年4月、本名の畑田紗李から「SALLiA」に改名。

2018年12月3日、「生きるのが苦しいなら~仏像と 生きた3285日~」を出版。紀伊国屋週間総合ランキング3位やダ・ヴィンチニュース1位など、話題を呼んでいる。

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