仏像アイドルみほとけの「おぼうさんずラブ」vol.3長松寺・吉井浩文副住職
こんにちは、みほとけです。おぼうさんずラブ第三弾!今回突撃する埼玉県・長松寺にやってきました!!
長松寺・吉井浩文副住職
JR蓮田駅から徒歩10分と便利な立地。
今回突撃する回答僧侶はコチラ、吉井浩文さんです!
おっと。私の方が大きな顔で写ってしまいました。
吉井さん、こちらです。
まだお顔が見えないですねぇ。
もういっちょ〜!
ん〜ピアノ弾いてるーーーぅ!
えっと…突然の展開に頭が追いつきません、と言う声が聞こえます。
スミマセン。
”ピアノ弾き語り”とゆう吉井さんの特技をいの一番に知って欲しかったんです。
吉井さんにはハンバートハンバートの”虎”を歌いながら演奏していただきました。
感動的でした。
ではきちんとこちらを向いていただきましょう。
長松寺副住職の吉井浩史さんです。好青年!若い!
実は、私は吉井さんと初対面ではないんです。寺社フェス向源というイベントでご一緒したことがあって。
本当は5つぐらい吉井さんが先輩なのですが、その時お互い勘違いして、同い年だと思っていたんです。だから今回は同世代だと思っていた者同士の気軽な対話をメインにお送り。ありのままの吉井さんのお話を届けられたらと思います。
では、いざ
ピシッ
み ってかしこまってみましたが。
吉 やりにくいですねww
み インタビューなんでね。
吉 いや僕普通の人間なんで
キリスト教の大学をでてお坊さんになった理由
み 大学、青山学院大学ですよね?青学ってキリスト教の大学ですよね…?
吉 はい。受かった大学がたまたまキリスト教だったんです。
み たまたまキリスト教。
吉 行きたい大学に行けてたらお坊さんにはなっていませんでした。地図が好きで、地図を作る仕事がしたかったんですよね。
み 地図。
吉 うん。地学地理の勉強ができる大学に入りたかった。でも、お坊さんもちょっと興味があった。迷ってるとこで。だから地理地学の勉強ができる大学に入れなかったら、お坊さんになろうと決めていました。
だから合格するかどうかで運に身を任せた形に。
吉 で、結果は見ての通り。
立派なお坊さんになりました。
み キリスト教大学からお坊さんが生まれるとは。
吉 はい。お坊さんになるつもりでしたが、キリスト教にも興味があったんです。
み ほお!実は私もキリスト教の学校出身で毎日お経…じゃないや、お祈りしてました。
吉 ワードの変換難しいですよねw 例えば”礼拝”。僕らは”らいはい”と読むけど、あっちは”れいはい”と読む。 そんな(キリスト教と仏教の)共通しているところとかを自分で探るのが楽しくて。図書館で受験勉強してる時とか、息抜きがてら宗教のコーナー足運んでました。
息抜きに宗教コーナーいくほど宗教学に興味があったって、知的好奇心旺盛!
ここで吉井さん流、宗教学の楽しみ方の紹介!
吉 お経も聖書も、最初は興味が出てくるところから見ます。だんだん一貫したみ方がしたくなってくるのでそこで初めて誰が書いてて、こういう問題意識があって、こういうことを解いてる、と知るとわかりやすいです。仏なら、亡くなったら弟子たちが地方に広がって〜中国や東南アジアにこう伝わって〜日本にこう伝わって〜変化があって〜とか。そう見ると楽しくなってくる。
み おおーーそうやって勉強すればいのかーー!頭いい!!
しかしまだ自分の宗派(曹洞宗)の禅についてはまだわからないそうで…
吉 坐禅は坐禅が教えてくれる。僕もまだ教わっている側だから、一緒に勉強してみましょう、と思ってます。自分で好きな本読んでみて、一緒に座ってそこで何を感じたか教えて、という感じ。
まだこれが禅だ!をわかってないことを自覚してらっしゃる。
だからこそ謙虚。そんな吉井さんです。
吉井流回答法〜シャットダウン・即答〜
hasunohaの回答で心がけていることはありますか?
吉 他の人の回答はシャットダウンして答えます。面白そうだなって気持ちもあるけど、他の人が気になっちゃうと考えがまとまらなくなるから。
シャットダウン!
吉 あとは言葉にできないときは一回座ってみるとスッキリする。
すわってみる!?
み 坐禅してみるってことですか?
吉 はい。僕らは理想を追い求めてしまって考えが遠くへ言ってしまう。 遠くに行ちゃった考えをどうするかというと、、、、等身大の空間はここにしかないから、、、どっかに行っちゃてる思考が、、、、うーん、ここに、、鎮まる!! 鎮まるっていいですね!
お〜言葉が見つかった
吉 坐禅で考えが自分の等身大サイズに鎮まるんです。
思考が飛んでいきがちな人、坐禅をお試しアレ!
み 他にも回答のこだわりはありますか?
吉 あと、10分くらいで答える。
10分!!!はや!!!
み 結構な質量を答えてると思うんですが。
吉 もちろん教本の引用を調べることはありますが、僕が質問者だったら早く答えが欲しいから、とにかく早く答えたい。
み どうして早く答えられるんですか?
吉 うーん、お悩みは仏教のどんなキーワードを何を拾っても答えられるんじゃないかと思うんです。
例えば、布施・中道・空と言う仏教の教えを表す言葉があります。一つの悩みに対して答えようとするとき、布施・中道・空のどの観点からでも答えられるのだそう。
み じゃあ、一つの悩みに、一つ観点を見つけたらそこから答えに向かってピーっと線が引かれるような感じなんですね?
吉 そうそう
”安心(あんじん)”を見つけるのが人生
み hasunohaをやってよかったってことはありますか?
吉 もちろん”参考になりました”って返事は嬉しいです。ただ、その人のことを考えた結果、自分に言い聞かせてる部分も大きい。
自分自身の気持ちも落ち着いてくる感じがするそうです。
吉 悩みを抱えて相談してる人にアレかもしれないけど、究極、これが仏教で言うところの”安心(あんじん)”だと思ってます。それぞれが自分のあんじんを育てることしか、やれることはないんじゃないかて思う。そういう意味で僕のためにもhasunohaがあって、ありがたいです。
み 質問者さんにはどんなメッセージを伝えるんですか?
吉 その人にとって仏教がどう映るかを想像します。で、僕は仏教の入り口に立ってるだけ。すごい人は上にいますよ、どうぞどうぞって言ってるだけ。
入り口案内人ですねぇ。
そして、吉井さんの回答頻度は週に一回くらい。頑張りすぎず、サボりすぎず、自分で見つけた一番ちょうどいい塩梅らしいです。
吉 これが中道ですね〜
み 出た!仏教用語ですね〜!
いざ修行で鼻っ柱をバチボコに折られる。
吉 永平寺での修行は最初の3ヶ月が一番辛かった。
吉 僕は『誰かの救いになってくれれば、誰かの役に立ちたい』と思って修行に行ったんです。
ところが、仕事覚えが遅く先輩にこっぴどく叱られた時「お前は何のために修行に来たんだ!」と聞かれ「世の人を救う為です」と答えると
先 救うってなんだ!世の人は救われてないとでも思ってるのか!
吉 ・・・(答えられない)
先 ほら!お前がここにきたのはたまたま修行に来る時期が来ただけだ。いかに適当に生きてきたかがわかるよ。
吉 衝撃。どーーん。何かを得るために行ったつもりが違ったんです。そこで無駄に気負ってたものを削ぎ落とされましたね。
そんな修行を乗り越え帰ってきてからも苦しいことがあったんだとか。
吉 修行から帰ってきて、永平寺での価値観とこっちの世界の価値観が大きく違いすぎて、そのギャップに苦しみました。
み どんなギャップなんですか?
吉 こっちだと”社会の役に立たなきゃいけない”でしょ。永平寺は日常の行動自体に意味があって、お風呂はいるだけで修行だし、必ずしも”社会の役に立たなきゃ”ではないんです。
み その差は大きそう。どうやってそのギャップを埋めたんですか?
吉 お坊さんをやりながら仏教の本を読んで、hasunohaで回答をして、修行を終えて3・4年した時にきっかけがあったわけじゃないけど、なぜかポンっと楽になりました。
み ほう。
吉 ”靴脱げた。”みたいな。楽になったんです。誰だってあると思います。苦しいなって思いながらもがいてるとある時ふと楽になることが。
私にはこのふとした瞬間がまだないのです。だから目の前のことを必死にもがかなきゃですね。靴が脱げる時のために。
かえってくる場所【座布(ザフ)】
先輩にドーンと気負ってたものをそぎ落とされても、煩悩だらけのこの世の中、すぐに気負って余計な感情が住み着いてしまいます。そんな時吉井さんは…
吉 座ってみるとわかります。
また坐禅だ!!
吉 そう。坐禅てそんな懐の広いところがあるんですよ。
フトコロ…?
すると吉井さんはおもむろに坐禅するときの心境のようなものを語り出しました…
吉 あのね、好きに立って動いて、また帰ってきてねって言ってくれるんです。「ココ以外本当の自分はないんだけど、外に行きたくなっちゃうんだ」って言うと「わかる、いいよ行ってきて、また戻っておいで」って言ってくれる気がして。
み えっと・・・?・・・誰と話してるんですか?
吉 ザフです。
ざ・ふ!!!
※坐禅するときにお尻に敷くクッション
なるほど。つまり、この坐る場所がありのままの自分の居場所。
坐禅は自分をリセットしてくれるもののようです。
全てを支えてくれる存在、それが座布さんです。
懐の広いやつのようです。
吉井さんと坐ってみたくなったら。
吉 坐禅会を月一で昭和60年からやってます!
4月から12月まで。70歳代中心ですが、近所の人も遠方の人も、子供も若い人も来るそうです。
吉 みなさんマイペースです。黙って帰る人もいれば、きた人同士で交流することもある。僕は準備して、初めて来る人に軽く説明するだけ。
吉井さんの目標
吉 いま歩んでいるこの道を振り返った時に、この歩みが目標だったって思えるようでいたい。
み 外の仏教のイベントに積極的に参加してるのも、次の一歩?
吉 そうですね。修行の3・4年後にポンっと腑に落ちた感覚が大事だったのかも、それ以来、外に関心が外に向くようになりました。僕はお手伝いできることがあればって。 あと、たまにキリスト教の牧師さんと触れ合えたりするから好きです。色々教えてもらいます。
どこまでも宗教学が好きなんですね。
吉井さんのように宗教を学問として深めるのも、楽しいかもしれませんね。
みほとけのお悩み相談コーナー!
みほとけはどうしても語り口調が上から目線なんです!どうにかして治したい!
吉 誰かに言われるの?
み Yes。
吉 自分でそう思うこともある?
み Yes!!自覚はしてる!
吉 うーん別にいいと思うけど!
え!
吉 きっと、個人で解決される問題じゃない。 仏教でも言うけど『それは果たしで自分だけの問題なのか、人と人の間に発生している問題なのか』を見極めることが大事です。 そのためには、自分のせいじゃないってどっかで思ってるのが一番いい!
み そういうこと?私悪くないの?!
吉 そう!自分のせいじゃない分、他人のせいでもない。関係性のせい。相手との関係性をきちんと見つめてみては?
ほーーーーー!
解決策に向けて思考が動き出せるようになったみほとけでした。
吉井さん、宗教の勉強に勤しみ、必死に考え、一緒に歩もうと寄り添ってくれるお方。まるで心を宿したSiriのようなお方だ〜。あれ、全然うまく例えられてない〜。まあいっか〜
皆さんも吉井さんに質問をしてみては?
10分で返事が来るかもしれませんよ!(というのは冗談。)
長くなりましたが最後まで読んでくれてありがとう!
みほとけでした。
なむ〜
長松寺(ちょうしょうじ)
建立されて400年の歴史をもつ寺
坐禅会(4月~12月 第一土曜日) 午後6時半より。
吉井浩文副住職のプロフィールと問答一覧