仏像アイドルみほとけの「おぼうさんずラブ」vol.5教善寺・中田三恵住職(浄土真宗本願寺派)
こんにちは!みほとけです!
今日は~~~こちら!
和歌山県。橋本市。
駅の周りには名物・柿の葉寿司のお店がたくさん。そこに迎えに来てくれたのは小柄でなんとも可愛いらしい女性。
じゃん。このお方が今回インタビューする教善寺の住職・中田三恵さんです。
hasunohaを使っている方は、中田さんを見かけたことあるのではないでしょうか?
だって中田さん、総回答数 2714(6月15日現在) 有り難し 53576 と、すごい数。
現在も精力的に回答に励んでいる、今hasunohaで最もアクティブなお坊さんの一人だからです!
実は中田さん、住職であり、一児の母であり、さらには終末期ターミナルケア、自死、グリーフケア、トラウマPTSD、傾聴、手話、要約筆記者などなど…幅広い分野で活動されているんです。
一人何個の顔を持っているんだ…
十一面観音もびっくりよ。
さぁ、みほとけとともに紐解いてゆきましょ〜
”要約筆記”のこと。ボランティア活動のこと。
中 今日はな、”要約筆記”の帰りやからこんな格好でごめんな!
と語る中田さん、確かに可愛らしいい格好。お坊さんには見えない。
”要約筆記”(聴覚障害者への情報保障手段の一つで、話されている内容をその場で要約し文字にして伝える通訳者)
耳の聞こえに不自由な人でも、手話や筆談や要約筆記のサポートがあることでコミュニケーションが可能となり、地域、社会での孤立を防げる。老人性難聴の方へも配慮が必要。どのような立場にある人とも楽しくお喋りしたい。お寺にも遠慮なく参っていただきたいのです。とのこです。
(見晴らしがいいのどかながら活気もある和歌山県橋本市)
中田さんは加えて、手話、小学校の放課後の子供達の居場所づくりなど、精力的に橋本市のボランティアにも参加しています。
さらに、京都にある京都自死自殺相談センターで相談員もしている。
そこは、死にたい気持ちを抱えた人や、大切な人を自死により亡くされた人の苦悩に寄り添いながら、心の居場所を大切にしている、そうです。
中 「なんかあったの?」と気軽に声をかけられる身近な存在って必要だなと思うし、みんなで関わるって大切なこと。
中 繋がっていたいなと思う。きっとね、インターネットが唯一繋がれる場所で、hasunohaでのやり取りが唯一・・・と言う人もいると思う。
文面だけだし、タイムラグもあるし、これで十分とは思わないけど、繋がりは大事にしたい。
さて、豊富なボランティア活動に相談員、かつ住職にして、一児の母でもある中田さん。この後、みほとけは中田さんのストーリーと器量に驚かされるのでした。
住職・中田三恵、誕生!
さて、せっかくだから僧侶の格好になってもらい、インタビュースタート。
(本当にお坊さんや~(みほとけ心の声))
それにしても、こんなお若くして女性のご住職というのはまだまだ珍しいご時世。
中 お坊さんになったのは、このお寺にお嫁にきてからです。
『奥さん(私)じゃなくてお寺の人いますか?』と言われるのが悔しくて、自分で勉強しだしたら楽しくなっちゃったんです。
まだ乳飲み子の息子を育てながら、通信制で勉強して、
子供を寝かしつけ、夜な夜な仏教書を開いたり、お経のCDを聴いて勉強に励んだそう。深夜に片耳でお経を聴き、夜泣きの子供に授乳して寝かしつけ、また勉強し。
中 子育てを中途半端にはしたくなかったんよ。
み 信じられないほどハードな日々…
中 実家の両親から「大丈夫か?」と心配かけたけれど、ここは弱音言われへんと思って頑張った。
そして晴れて僧侶に。
(す、すげぇ・・・)
ただ、どうしてそんなに急いで頑張ったのでしょうか…?
先代の住職と、中田さんの決意
み 何も大変な時に急がず、子供がもう少し大きくなってから勉強しても良かったのでは、と思うのですが…
中 実は義父の住職が病により長い間寝たきりで。息子である連れ合いは、会社勤めをしていたため難しく。私が継承して安心してもらいたかった。
教善寺の門
そして、先代のご住職が往生なさる半年前に、住職継承が出来たそうです!
中 お寺に参られた方が、『三恵さんいてよかったなぁ。』と言ってくださったり、前住職の話を聞かせてくださる門徒さん方に出会うと、住職継承が間に合ってよかったと思っています。
み 中田さん自身はしんどくないんですか?
中 自ら目標を立てて頑張るタイプ。
ふふふ。
(かっっっけええええ。)
ご住職さんと家族、門徒さんの想いを汲んで決意した”住職”という立場。
中 先代の住職はね、身体が麻痺して言葉が話せなかったのだけれど、最後は『ありがとう』と口が動いているような気がした。
そう語りながら、10年以上、ご門徒の皆さんと協力しながら、教善寺(もう一つ代務寺がある)を護持されているのでした。
中 (この経験から)お別れをする時に「これでよかったんやろうか?」と後悔の念に駆られる。臨床の現場でのケアや、家族のケアも大事やなと思える。だから「苦悩を抱えた人に、僧侶として、いや一人の人間として何か出来ることは」と思って、ターミナルケアやグリーフケアを学び、傾聴活動に取り組み出した。
そして浄土真宗本願寺派が長年にわたり取り組む、終末期医療や福祉、また日常の生活の身近にある「いのち」に向き合う「ビハーラ活動」が、念仏者の生き方だと深く感じたからだそうです。
中 死生観『死んだらどうなる?』って言う命の問い。そのときに訪れる不安や恐怖感へのケアって、医療福祉従事者だけでなく、宗教者も必要だと思っている。
決して宗教観・信仰心を押し付けることではない。その想いを聞いていくというのは、宗教者だからできるところもある、とのことでした。
hasunohaで8年の古参選手!
み この想いがあっての回答数。毎日のように答えていますが、母親・住職・多くのボランティア活動、一体いつ答えてるんですか?!
中 日課になってしまってる。寝る前とかね。1〜2時間かかるけどね。携帯でやっているよ。
み ま、まじですか
代表の方にも「マジで!?」と言われるそうです。(PCで回答している僧侶が多数派らしい。)
み だからこの回答数なんですね。
中 8年やってるからねw
hasunohaのサービスが始まった時に、女性の立場からの回答が欲しくて誘われたそう。
中 初めは(hasunohaが)「何の団体〜?」って思ったけどね。(笑)蓋を開けたら教義のことより日常の質問が多くて!人間関係、子育て、家のこと、生きづらさ、そうなると女性からの回答も欲しいという流れで。
だから中田さんの元には、女性からのお悩みがとにかく集まるそうです。
中 どうしようもない想いを抱えている人の気持ちを、受け止めたいなぁと思う。
み そこで使命感に燃えたのですか?
中 いや!使命感があると怖いなと思う。独り善がりになるからね。苦悩してきた人へ、私に何ができるの⁉︎と思うから。ただ、目の前で泣いている人がいたら、ほおっておけないってだけ。
「徹底的に聞く」力、ここに。
中田さんの回答の特徴はとにかく「受容と共感」から始まることです。
『わかるよ〜』『そうなんだ〜』など。
お姉ちゃんに背中をさすってもらえるような、そんな回答。
(その優しさに胸がぎゅっとなるみほとけ)
中 アドバイスしてあげようじゃなくて「大丈夫かなぁ〜?」ってことの方が大きいよ。
自分がさんざん悩んだ末に「何でこうなったんや!」っと言う人に「こうやからやで!」と責めたり原因追求しても、黙ってしまうことが多い。そりゃそうよね、本人が一番悩んできたことなのだから。こんな聞き方では、気持ちが離れてしまう。
ハスノハは文字のやり取りだから解釈が難しいけれど
「何でこの人はこんな風に言うんだろうか〜?」と想いを巡らせながらね。
言おうとしている気持ちや、悩みを打ち明けた覚悟を、そのまま受け止めたいと思うの。
み 言葉尻を捉えて、つい答えを急いでしまうけど、そうじゃないんですね。
中 そうそう。で、文面を追ってくと、言いにくいことがあるのかな〜とか、もっと伝えたいことがあるんじゃないのかな〜と感じるから。「直接メールをくださっても構わないですよ」と伝えるの。そうするとだいたい個別でくるよ。
み え!
中 「話し聞いてよ!」って人は文面からわかる。
なんと…学びとフィールドでの経験値の相互作用でなせる、中田さんの技、ここに。
ネットからリアルへ。和歌山の駆け込み寺。
み なん人くらいの人が訪れたことがあるんですか?
中 継続しているのは30人以上!
さ…30人…!!
中 特に女性は性の悩みは人に見られたくないし、書いてても胸がつまるでしょ。
確かに。だから直接会いに来るのか。
中 自責の念がある人に、そもそもなんでしたん??とか、そこを責めてもしょうがない。(相談者さんには)今この瞬間の気持ちを受け止めることが大事かなって思う。
み 受け止めるって簡単なことじゃないですよね。
中 だからとことん向き合う。そこまで覚悟して、個別相談を受けている。
一回聞いて解決するなんて、そんな甘くない。
感情も波があるから、また聞いて、また聞いて、って。
心配はしてるけど、こっちから深入りはせず、喋ってくれるのを待つ。
月日が経っても、助けてってきたときは、「どうしたん?」ってまた関わる。
変わらず待つと言うスタンス。
中 あとね自分の中の価値観や経験で、目の前の人の苦しさを計らないようにしている。
み それが気持ちい距離感なんですよね〜。
み 数ある相談者さんを継続してみるにはどうしているんでしょうか?
中 次来た時に「誰?」ってならないように自分だけがわかるメモしてるよ。あとだいたい頭に入ってる。
覚えててくれてるなんて!!!ものすごい安心感。
家族じゃない、友達じゃない、何も縁がないからこそ、打ち明けられる話ってありますよね。
中 私が聞いたところで解決しないのはわかってるから、しんどいやろな〜とは思いますが、私がちゃんと繋がってることは、(質問者さんには)忘れないで欲しいですね。
(ったぁぁ!!おかぁ!!お母さん!!))
お花の秘密
そう語る中田さんの傍で咲いている一輪の花。
中田さんが傾聴でお見舞いに訪れる時は必ず花を一輪持っていく、その花だそうです。
中 病院や施設、また在宅でも身体が不自由だったり、一人暮らしで家にこもっている人もいらっしゃるでしょ。枯れてしまうから縁起が悪いって声もあるけど。私は花が枯れそうだな、という時に次の花を持ってまた訪問するんです。
「そろそろ来てくれる時やと思ったよ〜」という声もあるとか。
お花の寿命の周期、花を持った中田さんがまた現れる。
この花が枯れてしまうのは悲しいけど、次また中田さんが来てくれるんだって思うと、悲しさは半減、次のワクワクに変わります。
優しい発明家でもあったんです。
中田さん、しんどくないの??
毎日、やることもたくさん、悩みを受け止めると心もきっと疲労する。
み 中田さんはしんどくならないんですか?
中 そんなにはあまりならないかなぁ。阿弥陀さまに聞いてもらったり、家の生活に戻れば嫌でも母親と言う現実に戻るから。時間の作り方はうまいんかなと思う…
中 あ、私、毎日スポーツクラブに通ってるんです!
嘘でしょーー!!
中 頭と心がしんどいから、ちょっとでも時間できたら体を動かしてリフレッシュ!
み 過密スケジュールなんじゃ・・・
中 だから私、メモ魔よ。
ToDoリストをメモしてこなしたら消して。
中 それをこなしている自分にやりがいを感じて・・・変態やね!
み Mですねぇ!
はははは
中 でもお嫁に来る前の10年間保育の仕事時の方が忙しかったからね〜時間は有効に使えてる。
充実したプライベート、効率的な仕事ぶり。
キャリアウーマンでもあったようです。
み 活動の中で感じることはありますか?
中 傾聴もトレーニングが必要やから、実践で身についたこともあるかなぁ。やっぱり人は人と向き合ってこそ、通じ合うと思うよ。だから宗教者は、耳を傾けてこそなんじゃないかなぁ。
夕暮れの教善寺
文面が可愛い!
中田さんの回答の特徴の一つ
文面に小文字や絵文字が多いのです。
中 応援したいとき『いいじゃん!』みたいなのがどうしたら伝わるかな〜と思ってね。
回答に温度が伝わればいいなって思う。
メールや電話の個別相談もあるし、LINEを教えてあげるときもある。個別相談が夜の時間帯になるときは、それまでにスポーツクラブで汗を流したりね(笑)
この温もりを求めて人は中田さんに集まるのかもしれません。
中 県外、遠方からも「中田さんに聞いてほしい」と会いに来てくださる方がいらっしゃる。また、自信が持てなかったりする人には、「大丈夫大丈夫」と背中を押してあげたい。
みんなのお姉さん、中田三恵さん。
想像を絶する働き者のお姉さんでした。
さてさて、今回も長くなりましたが、教善寺・中田三恵住職の魅力が少しでも伝わっていただけたら嬉しいです。
孤独が生む、悲しいニュースが絶えない最近で。中田さんのような人が求められていると思ってしまいます。
みほとけも、この接し方で、寂しい思いをしている人に寄り添えてる日があればいいなと、思うのです。
では、今日はこれにて。
読破ありがとう!なむ〜
教善寺(きょうぜんじ)浄土真宗本願寺派
お悩み相談(あなたの苦しみ 聞かせて)
誰にも言えない 苦しさ 悲しみ を抱え、孤独を感じているあなたへ。 お寺で、お茶を飲みながら、ゆっくり話してみませんか。打ち明けてくださる あなたの思いを大切にします。聴覚に障害をもたれている方も、安心してお越しください。筆談や要約筆記をしますので、ゆっくりお話しましょう。 ここでは、宗旨を問いません。 まずは、ひとりで抱え込まないで。
中田三恵住職のプロフィールと問答一覧