仏像大好き芸人みほとけの「おぼうさんずラブ」vol.6鳳林寺・光禪(こうぜん)住職
こんにちは。みほとけです!
hasunohaおぼうさんずラブ、第6弾、今回は静岡県にやってきました〜
静岡県・草薙駅で下車。やってきたのが、こちら、鳳林寺さん!
ここの住職である光禪(こうぜん)さんに突撃取材です。
毎日のように積極的にhasunohaの回答を続ける方。
回答僧侶のお坊さんからは「門番」という異名をもっているそうです。
そしてかなりITに強かった・・・IT門番僧侶らしい。
なんじゃそりゃそりゃ。
早速いってみよ〜!
閻魔さまに惚れ込んだ住職
建て替えたばかりの綺麗なお寺には、たくさんの仏像さまが。
仏像大好きな私。もう興奮ですわ。
そんな私を横に「僕も仏像好きなんですよ〜」と微笑む光禪さん。
み 一番好きな仏像はなんですか?
光 やっぱり閻魔さまですね〜
そう!
ここ鳳林寺には大変男前な”閻魔大王”がいるんです!!
それがこちら。
時は遡り、西暦2000年。
とある地元の仏像調査隊が鳳林寺・光禪さんの元に閻魔さまを調べたい、とやってきました。
これが運命の出会い。
その人たちによると、かつて(戦前くらい)ここの閻魔さまの縁日は屋台が出たりして、境内が人でパンパンになるぐらい人気があったそう。
閻魔さまといえば、地獄に落ちた人が出会う裁判官。
光 嘘ついたら舌を抜くような人が人気だなんて!
と、興味を惹かれ調べ出したら、これが面白い。
光禪さんも独学で研究を開始。(足を動かし、本を読み漁り、地道な努力が続きます。)
自作で全国の閻魔像の情報を網羅するウェブサイトを作り上げました。
み ものすごい情報量でよすね。
光 そうなの〜。HPにおける閻魔調査はここが一番なんじゃないかなぁ!
これを見てお寺に来てくれる方や、情報提供してくれる人もいるんだとか。
み それにしてもどうして地獄の王である閻魔さまが大切にされ、拝まれているのでしょうか。
光 小さい頃、うそをつくと閻魔さまに舌を抜かれる、とか、悪いことをしたら地獄に行く、などと言われたことがあると思います。
閻魔さまが拝まれるのは、生きているうちに閻魔さまにごめんなさいを言っておいて、自分が死んだ時に閻魔さまに許してもらおう、という意味があります。
さらに、亡くなった肉親がもしかしたら地獄にいるかもしれないから、それを許してもらおうという意味もあるそうです。
でもね、仏教で地獄を説くのは、悪い人を地獄に落とすことが目的ではなく、悪いことをしないように願うがゆえだと思うんです。
閻魔さまが恐い顔をしていて、地獄図が醜悪に描かれていれば、悪い事はやめておこうってなるよね?それが地獄とか閻魔さまの存在意義だと思います。
み つまり「気をつけようね」ってことですね!
光 そう。あと、「閻魔王を拝むと子宝に恵まれる」という伝承があって。ここの閻魔さまも本当にご利益あるんですよ〜!高確率で良縁に恵まれ、お子様を授かりますよ!
み な、なにぃぃ!!!!
住職さんが言うんだから間違いない。。。
婚活中のアナタ。これは行くっきゃないですよ。
光禪さんのITの使いっぷりに驚く
み 趣味は閻魔調査以外にありますか??
光 お寺の写真をInstagramにアップすること、HPを更新すること、プログラミングで何か作る事かな。
み ((お、おおお???))
急にカタカナたくさん出てきて焦った私。
先ほどの閻魔のページもそうですが、鳳林寺のHPも…
『インターネット始まったばっかのやつーー!』
という昔ながらの仕様に懐かしさを覚えた人も少なくないのでは?
これは住職である光禪さんが、直接HTMLで作っているそうです。
光 HPはサクラダファミリアのようにちょこちょこ発展させて、楽しいですよ。
例えが秀逸。さすがお坊さん。あえて古風なところも美学なんですね。
リレーショナルデータベースとやらで、檀家さんのデータや戒名を紐づけて、いつでも引き出せるようにするシステムも構築。
お寺用にこのようなソフトは市販であるけれど自分で作っています。マイクロソフトアクセスで。(えっと、ちょっとわからない。。。)
PC作業が趣味という光禪さんのデスクを見せていただくと
こんな感じ
デュ・・・デュアル画面!!!
(2つの画面を使うこと)
ここまでPCに親しんでいるには、理由がありました。
元エンジニア、僧侶に転身。
光 あまり積極的でない理由でお坊さんになりました。
このように語る光禪さん。
そもそも光禪さんは某大手IT企業に勤めていたんです。
仕様書通りにプログラムが動くか…とか、POSシステムが…とか言って。セブンイレブンやイトーヨーカ堂、吉野家などのシステムに関わったそう。
(だからネットに強いんですね。)
光 頭を丸めるのが嫌で、外に勤める父親も見ていて、お坊さんにはならずに生きていこうとしていました。
しかし、家庭の環境が変化し住職にならざるを得ない状況に。
頭を丸め、お坊さんとして働き始めます。
み でも今はお坊さんとして腰を据えてやってる。どう変化していったんですか?
光 ん~たいへんな中でも楽しいことを探していくタイプ。
閻魔様のこと調べたり、コンピューターのことやったり。
楽しいところを見つけてやってたから、すぐ「これでもいいかな」と思った。
頭を丸めるのは悲しかったけど、「しょうがないよな」って。
ネット上の駆け込み寺hasunohaの回答もとっても積極的なのはそこからも来ていそうですね。
全質問に目を通している「hasunohaの門番」
そんなPCネイティブの光禪さん、hasunohaでももちろん活躍しています。
なんと、寄せられる質問にはほぼ全て目を通しているそうなんです!
(閻魔堂の前でえんまの顔真似をする我々)
光 法要と法要の合問とか、卒塔婆の裏面を書くために表面が乾くのを待っている時間など、まめに質問を見て答えるようにしています。
み すごい!なぜですか?
光 自分が答える事ができる質問にはなるべく答えを入れたいと考えているから、かなぁ。
時に、システムのバグも見つけて運営に報告することもあるんだとか。
さすがIT住職さん。
正真正銘の門番ここに。
これを読んでいるアナタ。
たとえ自分がした質問に返事がまだ来ていなくとも、読んでいるお坊さんはココにいます。
全てに回答は、体一つじゃできないけど、見ている人はいてくれるんですね。
み たくさん読んで、回答を重ねて、感じることはありますか?
光 自分と似てる人が質問してると感じます。
(質問を読んでいる様子)
光禪さん自身も人に言われたちょっとしたことで落ち込んだり、自分の取った行動で誰かに迷惑をかけたかもしれないと気になったり。
質問読むと自分と同じことで悩んでいいるな、と思うそうです。
光 そうそう。ちっちゃいことは気にするな!って書きながら自分にも言い聞かせてる。
「ほっとけない」という気持ちが「もよおす」
み 1日に何件も答えたり、回答が多いですが、そのモチベーションは何ですか?
光 なんと言うか、ほっとけない一面というのがあって。。。
曹洞宗の開祖・道元禅師の言葉に、「ただひとへに利行にもよほさるるなり」とあります。
「利行」とは「見返りを求めない人助け」といった意味です。
それが「もよおす」のだと。
これは誰にも備わっている本能みたいなものだと思います。
私はその本能にしたがっているんだと思います。
それにさっきも言ったように、答えを書くことがそのまま自分の救いにもなっているんですよね。
なるほど。自然と湧き出てしまっている。
光 「もよおす」ってうまい表現だと思いませんか?おしっこみたいで。したくて我慢できなくなっちゃう感じ。
み おしっこ!いや、確かに、人助けの気持ちが理由なく湧いて出てくるってのにぴったり。。。
”おしっこ”と言うフレーズに頭が固まりそうになりましたが、言いたいことはとっても解ります。
きっかけは「スッキリ」を見て
光 丹下さん(おぼうさんずラブvol.1参照)がスッキリ!に出ていたのを見たのが、hasunohaを始めたきっかけです。
そして初めてみたら…
光 そしたら一番初めの回答に「有り難し」がたくさんついた。
光 これはいけるんじゃないかな?と思いました。
(鳳林寺にいる考えるポーズの弥勒菩薩像)
「回答は苦行じゃ無い」
光 もともと書くことが好き。だから回答は苦行ではないです。
み それに回答に知識がすごいですよね。
光 そー!思ってくれましたか??嬉しいです~!
光 字を読むのも好きで。月に一回、お寺の掲示板の文言を書き換えているんだけど、今まで読んだ本の中から書いてみたり、フェイスブックやツイッターなどから言葉を探して書いたりしています。
回答の中の知識はちょっとずつ頭の引き出しに蓄えているのだそうです。
み 回答で心がけていることはありますか?
光 質問者さんはどんな気持ちで書いているのかな、悩みの種になっている相手はなぜそのような行動を取ったのかな、と考えるようにしています。まったく的外れの事もあるけどね。
光 あと私は、「悩みを書いてみる」事で、悩みの内容が整理され、すでに問題点が浮かび上がった状態になっていると考えています。
つまり質問を書いた時点で、質問者さんの悩みは8割方片付き整理がついている、と。
「死にます」という結論を出している場合は別として、質問の中に答えがあるんじゃないのかなぁ、と質問の中に答えを探してみることもします。
み 質問者の人と近いところに立って答えているんだなって。回答を見ていて思います。
光 やっぱ自分と似たところがあるから、質問者さんにもうちょっと頑張ってみようかなという気持ちになってもらえたら。
寄り添ってる反面、間違ってることはちゃんと訂正している。
イサギがいいな。と思いました。
話をするのは苦手〜と言いながら、私の無茶振りの質問に、緊張しながらも、一生懸命答えてくださっていました。
時に知識で、時に寄り添い、時に冷静、無骨な回答。
光禪さんの愚直さが伝わってくるよさがありました。
中3で体験していた「因果」の悟り
ここで、光禪さんの仏教観に繋がる原体験はあるか?
と聞いてみたところ、面白い話が聞けたので最後に発表します。
光 中3の高校受験の時。
合格を祈願して般若心経を読んだり書いたり、太宰府の天満宮までお参りに行ったりとかしたのですが、不合格でした。
その時は、神様も仏様もいない、と思いました。。。
でも実は、「拝んだら願い事が叶う」なんて仏教の考え方とは全く正反対なんだよね。
勉強せずに拝んでばかりいたから不合格だった、という”因果の教え”を、身をもって学びました。
勉強しなきゃ受験って受からないよね…
全ては縁・因果関係でつながっている、と言う悟りを、受験勉強の失敗(祈りパワーに任せすぎた)ことで学んだのです。
ものすごく初歩でみんな気づけることなのに気づけていない。
最後は一般の人じゃたどり着かない悟りの境地に達している。
こんなちぐはぐさ。正直、愛しく感じてしまいます。
み この仏教の話はわかりやすいですね!
光 わかりやすいね〜〜。
ニコニコ〜〜と笑う光禪さんの笑顔は癒しそのものでした。
み 最後に、読者の方にメッセージはありますか?
光 そうですね。手短すぎたり毒舌だったりすることがあってごめんなさいね。
み そんなことあるんですか?!
光 短くまとめることを心がけているのでね。
だからこそ、短い文面だけでは伝わらないお坊さん・光禪和尚の温もりが、この記事を通じてアナタに届いてくれたら本望です。
心優しい閻魔データベースを作りしIT僧侶さん。
皆さんも光禪さんに会いに、はたまた、男前の閻魔さまに会いに
鳳林寺を訪れてはいかがでしょうか?
「閻魔さまに会いに来るときは事前に連絡してくれたら管理的に嬉しいです~」とのことでした!
今回も最後まで読んでくださりありがとうございます!
また次回もお楽しみに。
なむ〜