天台宗のお経について
天台宗では念仏は唱えられるようですが、浄土系の経典、浄土三部経「仏説無量寿経」「仏説観無量寿経」「仏説阿弥陀経」は唱えられるのでしょうか。
また、大悲心陀羅尼は唱えられるのでしょうか。
また、教義上唱えられない場合は、唱えても良いものでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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どの道に行っても・・・!
■念仏
一般的に念仏は「阿弥陀仏」を唱えて西方極楽浄土に往生することを指しますが
「念仏」の字を見ても、仏の有り様や神妙さを念じて仏の救済に預かることが本義です。
念仏はいづれの仏でも差し支えません。
天台宗では、極楽世界は私たちが住む娑婆世界と同じであり
凡聖同居士にあって別個の国土とは見ていません。そして、天台宗では阿弥陀仏を
釈迦牟尼仏同様の応身仏として見ております。
一方、浄土系宗派は極楽世界は娑婆世界を超えた別個の国土(報土)としており
阿弥陀仏も報身仏です。そのため、凡夫である私たちが往生は出来ず、ひとえに阿弥陀仏の四十八願の願力にすがって往生するため願力が強いです。
■浄土三部経の質問
ー阿弥陀経を特に唱えます(浄土系は呉音、天台は漢音)
呉音:なむあみだぶつ
漢音:なもあびたふ
『往生要集』を著した天台僧 恵心僧都源信は、中国浄土門僧に影響を受け天台で浄土化が広がりました。その浄土化において法然上人が念仏義に導かれて、浄土宗を開宗されております。この浄土思想において、阿弥陀仏の記述がされているものが浄土三部経ですので恵心僧都の時代からこの三部経は重宝されております。
その恵心僧都が、往生要集巻下において「日常の読誦は小阿弥陀経如くはない(それが最もよい)」とあるので読誦する経典は阿弥陀経です。
■大悲心陀羅尼
ーはい、唱えます。
日常良く使う陀羅尼は
・仏頂尊勝陀羅尼
・宝筐院陀羅尼
・大悲心陀羅尼
・阿弥陀仏根本陀羅尼
・金剛寿命陀羅尼 です
■教義上唱えられない場合
ーほぼないかと思います。理趣経くらいでしょうか。
天台宗の根本となるお経は法華経ですが
日本の天台宗においては、総合大学のように
円(法華経)、密(密教)、禅(止観)、戒(円頓戒)そして念仏とほぼ網羅しているので
教義的には、どこかでつながると存じます。
熱心で詳しい方なのかと存じますが
仏教の大目的は「幸せ」なのかと思っております。
色々な山の登り方はありますが、自分に適した道を歩めばよいのだと思います。
宗派は一本の大きな道かもしれません。
そしてどこかで繋がるかもしれません
自分のフィットする道を探せられればこれ以上よいことはないですが
どの道に行っても大丈夫だよ!
という懐の広さが日本仏教だとも思っております。
素敵な道が見つかることを願っております。
質問者からのお礼
大変詳しくご説明して下いまして、誠にありがとうございました。
自分の疑問にこれだけ詳細かつ的確、また、自分の見識が広まるような回答を頂いたことは、これまでの人生において初めての事でありましたので、大変感激しております。
興味本位的な質問と受け止められない内容でしたので、多少気恥ずかしさもありましたが、大変ご親切に回答して頂いて感謝致しております。重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。