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初めて彼氏ができた

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今世で解脱をしたいと決めて、仏の教えを受け入れ実践して生きてきたのですが、人生で初めて彼氏ができました

恋人やパートナーの存在は快楽であるとして良くないものとされてしまうでしょうか?
解脱から遠のきますか?

また、その様な事柄について書かれている書籍などはありますか?


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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

マハーヤーナ(大乗仏教)の見解

五戒の第3番目、「不邪婬戒」をどう解釈するか。
充ちるさんのご質問は、こう言い換える事ができると思います。

釈迦が教えを説いた後、仏教は時を経て世界に広まっていきました。
現在の仏教は、大きく3つに分類することが出来ます。

インドから中国へ伝わり、主に東アジアへと拡大した「大乗仏教(マハーヤーナ)」
ミャンマー、タイ、スリランカといった主に東南アジアに拡大した「上座部仏教(テーラワーダ)」
チベットで独自に育まれた「チベット仏教」

日本の仏教にもたくさんの宗派がありますが、これらは総じて「大乗仏教」に分類されます。
上座部仏教の僧侶は妻帯しません。これは、不邪婬戒をもって妻帯を否定しているためです。対して大乗仏教では、不邪婬戒をもって妻帯を否定しているわけではありません。
誤解を恐れず噛み砕いて表現するなら、
「上座部仏教では性交渉そのものを悪しきものだと考える」
「大乗仏教では性交渉の中で特に逸脱した行為は悪しき物だと考える」
と言えます。

日本の仏教の現状は、ほぼ全ての寺が世襲制の形で存続しています。
僧侶が結婚するのはむしろ当たり前で、在家の人々と同じように恋愛をし、同じように結婚します。
各派の指導的立場にいる僧は妻帯していない場合が多いですが、これは、妻帯が禁止されているというよりむしろ、その生活スタイル上妻帯する事が難しいためであると思われます。

妻帯しないことを己への戒めとする上座部仏教の僧侶の生き方も、それは敬意を払い尊重すべきであると思います。しかしながら、人間も他の生物と同じく命を繋ぐことでしか種を存続させることができませんから、皆が妻帯を否定しては種が滅んでしまいます。

これは私個人としての意見ですが、人を好きになり、やがて共に家庭を持ち、子どもを育てる、というのもまた、人としての大切な学びであると考えます。
昨今では、当初の釈迦の時代には考えられなかったような多様な生き方を自ら選択する事ができるようになりました。その意味では、仏教の教えに生きる中でも、現代には現代に相応しい仏教観があって然るべきだとも考えます。

「釈迦が今の世の中にいたならば、どう教えを説くだろうか。」
私自身も仏教の僧侶として、己にそう問い続ける毎日です。
長くなりましたが、少しでも参考になれば幸いです。

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有り難し
おきもち

宗派は臨済宗、前職は自衛隊員。 京都の専門道場で7年の修行生活を送りました。 禅僧として生きる中で学び得たこと、古則から学んだことを糧として、少しでも多くの方の心の支えになれればと思っております。

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