ご覧になったことがあるかもしれませんが

私の信条は「結婚は妥協なんですね」です。正確には学生時代の恩師の受け売りです。今でも恩師の声で脳内リピートされます。

＞妥協といっても、それは私の採点基準を下げるという意味ではないんです。私はどうしてもこれだけは許せませんというのを２つか３つだけ見付けて、お互いにその２つ３つだけはやらないようにするんです。その２つ３つだけはやらない代わりに、他のことはやられてもお互いに我慢するんです。これを妥協と言うんですね。そうして夫婦で妥協し合えたら、死ぬまで許し合えるんじゃない？私は愛し合うってそういうことだと思うんですね。

採点基準を増やそう増やそうとする行いは、仏教的には明らかに増幅し続ける欲の渦を回し続けているだけです。
仮に『運命の相手』に出会えて結婚したとして、どうなるんでしょう？諸行無常です。人は変わります。変わって、採点基準から外れていったら？
「毫釐も差あれば、天地懸に隔たる」（ごうりもしゃあれば、てんちはるかにへだたる）という言葉があります。角度にして一度の違いでも、最初は１ミリ２ミリの違いですが、どんどんハの字に開いていき、いずれは天と地ほども離れてしまうということです。
しかも実は評価する自分自身も変化しますから尚更です。
それじゃあご縁がご縁でなくなってしまいます。

でも、妥協し合えば、少しづつ変わっていっても愛し続けられるんです。ハの字に開いても、その都度マメに擦り合わせるということだから。その方が素敵でしょ？

採点基準というものは相手を厳選しているように見えて、実は自分の心を縛り上げて窒息させるだけの代物。
私の母方の祖母なんてお見合いで「 まぁこんな所かな」って気持ちで結婚したそうです。それでも、もう祖父の十三回忌も過ぎましたけど、今でも思い出話をすると目頭をハンカチで拭いますよ。それだけ愛し合えた。むしろお見合いの時代から恋愛結婚の時代になってから離婚率が右肩上がりになりましたわ。世の人は恋愛に夢見過ぎなんです。

相手に求める採点基準路線はどんなにハードル下げても、付き合い始めが絶頂で後は下り道。自分が受け入れる路線は受け入れた分だけ登り道。それがご縁をご縁として頂戴するコツです。

※暴力体質、借金体質、過度のアルコール体質など最低限の基準は大切ですよ。

大慈

曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家（捨戒済み）。仮面系お坊さんYouT...

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