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無欲すぎる

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有り難し有り難し 12

無欲すぎることに悩んでいる25歳社会人(8月末退職)です。
新卒で入社した会社を8月末で退職し、次の仕事を探している段階なのですが「やりたいこと」「働く上で興味があること」がなかなかでてこない状況で、自分について考えてみることにしました。
 
小学生のころから「おこづかいあげる」と言われても「いらない(今の私には必要ないから)」と言って断るので家族から驚かれるような子供でした。
また年頃の友達は「かわいくなりたい」「痩せたい」「メイクしたい」「おしゃれしたい」といった欲から自分磨きに励んだりしていましたが、私は友達のように熱心に自分に向き合う人間ではありませんでした。
 
私は他人のためなら頑張れたり行動したりできるタイプの人間でした。困っている人は助けたいし、私を頼ってくれた人には全力でこたえたいと思っています。究極の利他主義で友達からは「お人よしすぎる」「自分の利益を考えた方がいい」と言われる始末でした。
 
確かに、他人に時間を割きすぎて自分を顧みる時間がなく心身が疲れてしまったり、もう少し自分のことだけを考えてもよいのではないかと思うことが時々あります。でも誰かの為になっていることが巡り巡って自分の幸せにもなっていると思います。
 
長くなりましたが、なかなか自分のこと「だけ」を考えて損得感情をもったり、自分自身に興味や欲望の「矢印」が向いていないのではないかと思っています。

人間は煩悩が誰しもあり、その煩悩を取り去ることが悟りへの道だと思いますが、私はそぎ落としてもいないのに欲望の熱がほかの人より低いと感じます。年を重ねてそぎ落とされ悟るのであればよいと思いますが、25歳の段階でこの具合だとこれからの人生に彩りがなくなってしまうのではないかと感じます。
 
「お金を稼ぎたい」「キャリアアップしたい」「誰かのために働きたい」こう言った「欲」は良い欲だと個人的には思います。「欲」がないと指針がなく、熱もなく、前向きに頑張る原動力がなくなってしまうからです。
 
相談する相手が違うと言われればそうかもしれませんが...
欲を見出すにはどうしたらいいのでしょうか?
それともこの無欲の状態は人として健全な状態なのでしょうか?

難しいことを聞いてしまって申し訳ありませんが、できるだけ多くの方のお考えやご意見をいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。

2022年9月3日 4:51

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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

欲とは外から来るものではない。

ご相談を読ませていただき、まず最初に“無欲は決して健全ではない”と言う話をします。

仏教では“欲に囚われること”を“煩悩”と言います。
欲望はコントロールするものであり、無くす対象ではないのです。

欲とは、人間の持つ自然な心の働きです。
先に心身に満たされない所があり、そこを埋めようとする心の働きです。
もちろん、食欲や睡眠欲のように、時間の経過で欠落するものを埋めるための欲もあります。

しかし、おそらくあなたの言う欲は『育てる欲』なのではないでしょうか。

勉強、仕事、スポーツ、音楽。
何でもいいですが、最初に“打ち込み、捧げること”をしましょう。
好きだから熱中するのでも、欲に駆られて進むのでもないのです。
物事に熱中するから好きになり、自分の中で段階が進むから欲が生まれるのです。

欲というのは自分の外からやってくるものではないのでしょう。
きっと内側から湧き上がってくるものなのです。

自ら道を積み重ねていれば、恐怖が生まれ、嫉妬が生まれ、欲が生まれます。
そして、そのよくない感情をコントロールし“足るを知る”ことが大切なのです。

もちろん“今の自分で満足”というのも悪くはありません。
しかし、私としては利他主義を標榜するなら、自分を鍛え上げ、より大きなパワーでたくさんの人を大いに助けてほしいと思います。
一緒に困っている人の力になって生きましょう!

2022年9月3日 9:04
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日蓮宗の僧侶、啓誠(けいじょう)と申します。 修行に失敗し、一度は腐...
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質問者からのお礼

ご回答いただきありがとうございます。
打ち込むことのお話、とても腑に落ちました。
まずは「やってみる」ことで自分の小さな心の動きに目を向けて、前向きに取り組んでいけたらと思います。

今までは頼ってくれた人や身近な人の役に立つことで考えていましたが、お言葉をうけて視野が広がりました。元を考えれば退職した会社も「人々の暮らしを豊かにしたい」という熱い思いから内定を決めました。

自分にはより多くの人の役に立つことができるのかと思うと少しワクワクしました。この気持ちを大切に、自分に向き合って取り組んで磨きをかけていきたいと思います。

本当にありがとうございました。

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