仏教は生き方を指南する教えです。それは「良いことをしなさい。悪いことはしないでね」というもの。なので。
①堕ちます、と答えたら、大概の人は「もう私は地獄堕ち決定だ」と思うでしょう。そうであれば、「もう決まっているんだから、もっと悪いことでも、やってしまえ」と、悪を厭わなくなるでしょう。それは仏教の目的とそぐいません。
②堕ちません、と答えたら、「なんだ、なら悪いことしても大丈夫」となりかねず、これまた悪事を肯定することになるでしょう。
　だから、「可能性がある」が私からの回答です。

「じゃ、どうしたらいいの？」という疑問が浮かぶことと思います。「できるだけ悪事を行わず、すでにしてしまったこと、取り返しのつかないことは仏様に懺悔しましょう。それでも足りない分は、南無阿弥陀仏と称えて、この人生が終わってからも仏様のもとで修行できるよう、祈りましょう」となります。
　今を含め、どの時点でも、死後どうなるかは決定ではないのです。生き続けている限り、その後のことは変化し続ける。それが仏教の人生観です。
　なお、「また人間に生まれたい」とのことですが、他にどんな選択肢を念頭にしての「人間」でしょうか。六道と呼ばれるものでしたら、仏教は「その他の道」を指向しています。
　「何に生まれ変わるとしても、年老い病にかかり死んでゆくことは同じだ。それらの苦しみからの脱却を目指そう」というのが仏教なのです。

佐藤良文

光圓寺

一般大学（一般的でもないが…）から大正大学の史学コースへ。そののちお寺。坊さんに限らず、二足のわらじを履くことで、話に幅が出るはずだと考えて、はき続けています。子育てとか家族論とか考えつつ、でも仏教って個人のものだなぁと感じたりします。

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