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忘れなければいけない人を忘れられない

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有り難し有り難し 16

数年前に好きだった女性を未だに忘れられません。

その時の僕は自信を喪失していて、自分の人生も投げやりになっていました。そんな時にあるサークルで出会ったのが彼女でした。彼女は控えめで物静かだけど、とても芯が強くて、優しくて、しっかり者でした。

僕は彼女の生き生きとした姿にすっかり一目惚れしてしまいました。けれど、彼女は好きになってはいけない相手でした。当時はまだ未成年だったし、彼女が僕に気がないことも薄々気づいてました。

僕は自分の気持ちを隠して彼女と接していましたが、やがて第3者の口から僕が彼女に気があることが本人にバレてしまい、自分が知らない間に周囲にそういった噂をされていたことに彼女は強いショックを受けました。当時は知りませんでしたが、彼女は元々男性恐怖症なこともあって、僕に対する激しい拒否反応を覚えてしまったようです。

以後、彼女と僕はお互い必要以上に会話せず、ぎくしゃくしたままの関係が続き、やがて彼女は僕の前からいなくなりました。密かな心の支えだった彼女から拒絶され、当時の僕もひどいショックを受けていましたが、そもそも誰かに彼女に気があることを話したのが悪い…と、必死に諦めようとしていました。

それから数年後、偶然SNS上で彼女を見かけ、迷いましたが、思いきって声をかけてみました。本当は声をかけるべきではなかったのかもしれませんが、彼女が僕のことをどう思ってるのか気になって仕方なかったのです。

はじめは普通に会話が進んでいたのですが、一年くらいにわたって数度、やりとりするうちに、「やっぱり今でも怖い。もう連絡しないで」という返事が返ってきました。

ただ、彼女はそれだけでなく、「昔の仲間として連絡くれることは嬉しいけど、今の関係をずるずる続けるのは、お互いのためによくない」「これからは別々の場所で頑張ろう」と言ってくれました。僕に対する配慮を忘れなかった。

僕は彼女の勇気と優しさに応えなければいけない。そう思って、もう連絡しない旨を快諾しました。だけど、やはりまだどこかで彼女のことを考えている自分がいます。

彼女のことはすごく好きだった。だから昔、はからずも傷つけてしまったことをずっと引きずっていた。そして、今でも忘れられない。忘れなければいけないと頭ではわかってるのに…

長くなってすみません。この気持ちをどう整理すればいいのでしょうか…?


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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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区切る

ご相談拝読しました。苦しいですね。切ないですね。数年もこの思いを抱えてきたのですね。

さて、「忘れなければいけない」とのことですがそんなことはありません。あなたに課せられたルールで守らなければいけないのはただ一つです。

「彼女に連絡してはいけない」

これだけです。

で、「忘れなければいけない」というのは自分で自分に課しているルールです。別に上記の彼女とのルールを守りさえすれば忘れる必要はないのです。

人は自分の記憶をコントロールはできません。また、自分の気持ちをコントロールはできません。それらは様々な縁(条件・環境・対象)によって湧き上がってくるものです。

それを思い通りにしたいと苦しむよりも、苦しみながらも抱えて歩めるようになる方が現実的かもしれませんね。

彼女のSNSを見たりはしていませんか?写真が残っていたり、思い出の日記が残っていたりはしませんか?一切の接触・記録は断ちましょう。少しでも思い出すことを減らすにはそうした方がいいでしょう。

あとは忘れられなくとも抱えていくしかありません。連絡してはいけない、彼女に求められてはいないという事実を事実として受け止めるしかないのです。

現代社会はあらゆる物事が対処療法的に何とかなる、コントロールできる、緩和出来るという方向性で考えがちですが、何ともならないことを何とかするのでなく、何ともならないことを何ともならないと受け止めるのが仏教です。

最後に、優しい気休めの言葉をかけたところであなたの記憶がなくなるわけではなく、あなたの苦しみに代われるわけでもありませんので、こう言う他はないのかもしれません。

忘れられないままでもやることをやって日々を誠実に歩みましょう。過去に囚われ、どうにもならない事ばかりを考えているよりは、今を精一杯生きる方が良縁が結ばれる可能性は高まることでしょう。

親友に愚痴りながら飲み明かすでもいい、海で夕日に向かって叫んで思いを置いてくるでもいい。なんらかの区切りの儀式をおこなって、新しいあなたとして生きてください。

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有り難し
おきもち

はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生...
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質問者からのお礼

丁寧なお返事ありがとうございます。

そうですよね。忘れられなくても前向きに生きていくしかないんですよね。悲しみに浸ることなく、辛い記憶がいつかいい思い出に変わることを信じて、今を精一杯生きるしかないんですよね。

写真や思い出の品は捨てるのはちょっと難しいですが、目に見えないところにしまうことにします。彼女のことを抜きにしても、大切な思い出の品もありますから。とにかく連絡はしないし、SNSもチェックしません。それが彼女の望んだことだから。

まだしばらくは思い出してしまうこともあるかもしれませんが…僕は僕の今を生きるよう努力します。この気持ちが整理できたら、新しい出会いも探したいですね。

気持ちに寄り添ってくれてありがとうございました。踏ん切りをつけられるよう、頑張ります!

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