前を向いて生きる為に
お坊様、はじめまして。
夫婦共働きの妻です。
結婚して7年程経ちますが、生まれ持っての障害で子供を授かることはできませんでしたので、養子を迎えるご縁がないかと夫婦で道を探して参りました。
様々な方とお会いし、お話を伺い、必要な訓練や手続きを経て夫婦で子供を迎えようと奮闘致しましたが、わたくしの両親の反対がネックとなり最終的にこれを断念する判断を致しました。
両親とは、対話を重ねる中で決して聞きたくなかった言葉も投げかけられ、これまで愛を注ぎ育んできてくれた両親か、迎えようとする子供かどちらか一方を選ぶしかない局面に至り、わたしは子供を捨てて両親を選ぶ事を決めました。逆を選ぶことが出来ませんでした。
両親は「良い判断が出来たね、子育てなどではない人生の御役目を果たせるね、これから前向きな楽しい人生になるね」と喜び以来数年が経ちますが、未だに全くその様に受け取ることができません。
他責せず、自分達の判断を背負いながら前を向こうと、子供を迎えていれば出来なかったであろう多くの事をしてまいりました。新たな交友関係を広げたり、旅行をし美しい自然や歴史に触れたり、美味しいものを食べたり、趣味の世界を広げたり、ゆっくりと読書をしたり、ひたすらに仕事に打ち込んだり。子育てに奔走する同世代の旧友が見たら何と気楽で羨ましいと思うだろうという日々です。
しかしそれら全てに一抹の哀しさが混ざり込み、迎えると一度は決心した子を見捨てた犠牲の上の愉しみなのだと思うと何をしていても虚しい気持ちが溢れます。何と贅沢不遜な、足るを知らぬ受け止めだろうと思います。しかし毎日が虚しく哀しいと感じてしまうのです。根気強く寄り添ってくれる主人にも申し訳なく感じます。
お坊様、どうすればここから前を向く事ができるでしょうか。お知恵をお貸し願えませんでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
どうぞ今を生きていきましょう…
あなたに贈りたい言葉は唯一つ…「今を生きること」です。それこそが仏教的な生き方です。
人は二つの人生を生きることが出来ません。歩めるのはたった一つの人生だけです。そして同じように過去に戻ることは出来ません。未来もあるかないか分かりません。
ただ確実なことは、今あなたは生きているということです。それは誰にも否定されない尊い事実です。過去にこだわらず、今を大切に生きていきましょう…。
そして、あなたが今後10年生きていらっしゃれば、あなたは「10年後の今を生きる」ことになります。その時の「今のあなたの人生」を誰も否定する権利はありません。
10年経てば、あなたも あなたの心も あなたを取り巻く状況も全てが変わります。
もし、その時のあなたがどうしてもお子様を迎えたければ、夫君と話し合った上で、そうなさっては如何でしょうか…。
もちろん子育ては「バラ色」ではありません…思い通りに行かないことばかりです。子は思ったようには育たない…そう思っておけば間違いありません。ただ可愛いがりたいのであれば、犬猫の方がよっぽどその思いに応えてくれるでしょう。
随分と失礼を申しましたことをお許し下さい。
多分、お子様に関して深く深く考え、またご両親のことも考え抜かれた上での結論であったのだと思います。あなたのその思いを尊重致します。
今後、お子様との出会いがあるかどうかもご縁と申せるかと思います。
どうか、お子様だけでなく、多くの方とのご縁を大切に日々お過ごし下さい。
仏様はあなたの日々を見守り続けて下さっています。
ご多幸を心より念じ申し上げております。
拝読させて頂きました。
あなたが一抹の不安を感じることもわかる様に感じます。あなたのお気持ち心よりお察しします。
人生には幾つもの選択肢がありますし、分岐点もあるものです。あなたや旦那さんがご両親さんとお話しなさってご判断なさったことなのでそれは一つの選択肢ですからそれは自分達のことですから尊重されるべきことだと思います。とはいえ人生にあれもこれも求めたとしても現実的にはムリがあります。
子どもたちを育てていく為には様々なことをやっていかなくてはなりませんから自分達が過ごしていきたい様には過ごすことはなかなかできません。
ですからあなたがその様に選択なさり有意義に毎日を過ごすことができるならばそれは素晴らしい人生だと私は思います。
人生の喜びや楽しみや豊かさを感じることは多岐にわたるでしょうからね。子どもを育てる中でも喜びや楽しみもあると思います。それはそれぞれに素晴らしい人生ですからね。
逆に人生は不安だらけでもあります。一つね不安がまた新たな不安を呼びそしてまた新たな不安が大きくなっていきますからね。心配や不安も人生の中の部分ですからね。
自分達が志して生きてきた中でもやは後悔することもあるものです。そんな中でも自分達が生きてきた痕跡は一つ一つ残っていくのです。それら一つ一つのことはとてもかけがえのないことです。
どうかこれからも旦那さんとのつながりを大切になさっていきましょう。きっと素晴らしい人生と思い生き抜いていくことができるでしょうからね。
あなたが旦那さんと一緒にこれからもずっと仲良くお互いを思いやり尊重し合いながら、心から豊かに幸せに生き抜いていかれます様に切に祈っています。
質問者からのお礼
お言葉ありがとうございます。
大切に胸に刻みたいと思います。
自らの未熟さ故に、ないものをねだり隣りの芝の青さに目が行ってしまっているのだと気付かされます。
様々の果てに選び取った今をこそ大切に思えるよう、精進して参りたいと思います。