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泉鏡花「高野聖」について

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有り難し有り難し 13

質問ですが泉鏡花「高野聖」で主役の一人、上人が「高野山に籍を置く」「六明寺の宗長という大和尚」とされております。ところが、六明寺というお寺が見つからず、架空の寺と断言できますか。また「お寺の名前に六は使わない」など根拠があればお願いいたします。

2022年6月21日 23:59

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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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こんにちは。なかなか回答が入りませんね。
 泉鏡花の「高野聖」の主人公、宗長大和尚が「六明寺」というお寺の出身という設定だが、「六明寺」は見つからない。「六明寺」は実在したのか、実在しないとしたらその根拠は、という質問ですね。
 これはネットを頼るしかないですが、確かに出てきませんね。もし実在したりモデルとなる寺があったら、また現在はなくても過去に実在していればその跡地が、ネットにヒットしてくるはずです。泉鏡花の「高野聖」は有名な著作ですからね。過去に多くの研究がなされているはずですし、ファンが探し出していても不思議ではないでしょう。しかし全く引っかからないところをみると、やはり泉鏡花の想像上のお寺であると考えるのが穏当でしょう。尚「ないことの証明」は「悪魔の証明」とも言われ相手を追い詰めます。「断言できますか」という聞き方はこの場にはふさわしくないでしょう。
 尚、数字の違う「三明寺」でしたら静岡県や愛知県にあります。「五明寺トンネル」というトンネルが新潟県にあります。また数字の「六」を使ったお寺は京都府に「六波羅蜜寺」静岡県に「蔵六寺」徳島県に「丈六寺」などがあります。

2022年6月26日 18:30
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有り難し
おきもち

・曹洞宗/静岡県/50代 平成27年鳳林寺住職。平成28年hasunoh...
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質問者からのお礼

 まず、ありがとうございます。その後の調べで「高野聖」は矛盾が多い作品であることがよく分かりました。飛騨山中を歩くのですが、別の地域の峠の名前が出たり、そのとき知るはずのない情報を、この上人が事前に知っていたり、「参謀本部編纂の地図」と「徴兵制」という完成した年代が特定できる物が、時間的に共存できない状況であったりと数え上げればきりがありません。「六明寺の宗朝」も、存在が確認できず、仏教語大事典にも「六明」の見出しがないのですが、現職のお坊さんなら「六明は不吉とされ寺の名前に使うとは思えない」のような情報をお持ちかもと思いまして、ここに投稿させていただきました。「宗朝」もそれらしい人物が見つからず、「具体的にしながら矛盾が多く、それが幻想性をこの小説に与えている」と授業で発表しました。なお、お坊様のお名前を勝手に論文に使うようなことはしませんのでご安心ください。
 お忙しい所、誠にありがとうございました。

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