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この苦しみは前世の罰?

回答数回答 2
有り難し有り難し 34

愛する人を喪いました。
私は今年で30歳、相手は29歳でした。
その方と今後の人生を歩んでいくことがまさに私の生きる目標であり、糧でした。

いまは生きる意味を見いだせず、目標も何もありません。
愛する人を喪った方は私だけではないことはわかっています。人が生きていく以上、死別に必ず直面することも理解しています。
しかし、順当に寿命で大往生した方と死別する場合と、急に大切な方を喪ってしまうことでは、やはり苦しみの大きさは違うと思っています。

なぜ、私はこの経験をしなければならなかったのでしょうか。前世でよほど悪いことをしでかしたからですか?
私の人生がこのような波瀾を含んだ人生となっていた為に、私の大切な方は亡くなってしまったのでしょうか。

周りにはまだ若いからと、他の人を探すよう勧められますが、愛する人というのは探して見つかるものなのでしょうか。
仮に別の愛する人を見つけることができたら、この苦しみは減るのでしょうか。それは故人への裏切りにあたるのではないでしょうか。

文章がまとまらず申し訳ありません。
これから先を生きていく意味、目標、何もわからなくなってしまいました。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

愛-悲しみの深さは関わりの深さ

ご相談拝読しました。謹んで哀悼の意を表します。 南無阿弥陀仏

さて、あなたは理性的でしっかりした方なのだとお見受けします。

だから

・生きる意味を今は「見出せない」のであって、それが「ない」わけでも「今後もそうである」わけでもないこと。
・愛する方を失ったのはあなただけではないこと。人は必ず死ぬこと。

を頭では理解しておられます。しかし苦しみと言うのはその理性を超えた所からやってきます。わかってはいるけど納得できない、受け止めきれない、そういう不条理さ・厳しさがあります。
あなたはその原因を前世に見ておられますが、そうではないことは頭ではよくおわかりなのではないでしょうか。

あなたの「苦しみの大きさ」の原因は「前世」ではなく、あなたの「愛」です。愛しているから苦しくて悲しい。
その悲しみの深さがあなたとあなたの愛する方の関わりの深さです。

あなたは今被災地で亡くなった誰か一人の死をここまで悲しめるでしょうか。
発展途上国で飢餓で亡くなったある一人の子どもの死をここまで悲しめるでしょうか。
ニュースで見た虐待で失われた幼い命についてここまで悲しめるでしょうか。

きっとどれも悲しいことには変わりないけれど、あなたが愛する方を失った悲しみには到底かなわないのではないかとお察しします。

それは悪い事ではありません。その悲しみの深さがあなたと愛する方の関わりの深さです。

そして仏教はそこを見つめます。なぜ関わりの深さが悲しみの深さになるのか…そこには「愛」の問題が見えてきます。

「私はあなたのもの」「あなたは私のもの」

それを妄想妄念と言ってしまえばあまりにもドライであり冷たいものです。ですが事実としては同じ一人の死であってもそこに「関わりの深さ―所有-執着」というように苦の原因を見出す。良い・悪いではなく、原因・構造を見抜く。それが仏教です。

あなたがお相手を愛したことはけして悪い事ではなく、素晴らしいことです。でもだからこそ悲しみは増します。
お相手が命を終えてしまったのはその方のそれまでの様々なご縁があっての結果です。だからあなたの前世の問題ではない。

あなたが再び誰かを愛することはけして裏切りにはなりません。あなたは相手のものではないのですから。ただその「愛」という関係に人間が大きな意味を見出す事も事実です。

愛の深さが悲しみの深さです。

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おきもち

はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生...
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今は泣いてください。
その涙が彼女を愛していた証です。
彼女は自死とありましたが、そうではありません。心の病による病死なのです。
病が原因なのです。
ですから、ご自分を責めてはいけません。
いつかは気持ちが落ち着く時が来ます。
それまでは悲しくなったら泣いてください。
ただ、車の運転中に泣きそうになったら、ハザードを点灯して、ゆっくり車を路肩に止めて、サイドブレーキをしっかり掛けてから、泣くのですよ。
きっと彼女は浄土からあなたを見守っていることでしょう。
他の人を愛してもいいのか?
それはあなたが愛するに値する良き相手なら、浄土にいる彼女も応援してくれると思いますよ。
でも、今はまだそんな気になれないですよね。
ただ泣いてください、今は。

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有り難し
おきもち

私は浄土宗の坊さんです。 少しでも何か参考になればと思って回答しています...
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質問者からのお礼

お答えいただきありがとうございました。
いずれは誰もがそうなると理解しつつも、愛する人を喪うことは辛いです。
この辛さは私が死ぬまで続くでしょう。
しかし、きっとこの辛さが私の中にあり続ける限り、私の大切な方は私の中に存在し続けるのだと思いました。

彼女という存在は、この世に生きる人間の心の中から消えた瞬間に完全にいなくなってしまいます。
今の私には明確な生きる目標はありませんが、彼女という存在をこの世から完全に消してしまわないよう、とりあえず生きるということだけを考えてしばらく過ごそうと思います。

ありがとうございました。

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