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両忘の考え方を互いにできない場合

回答数回答 1
有り難し有り難し 7

家族とこの間揉めました。

相手「普通はこうだからこうすべき」
私「別にそうしないのが悪いことじゃなく柔軟に変えても良い」

このようなものでした。
悩み悩んで両忘という言葉にたどり着いたのですが、二元的な考え方をやめ揉め事を終わらせるのは自分だけで成り立つものじゃ無いと感じました。

自分が妥協点のようなグレー部分を見つけようとしたところで、相手が頑なに自分が正しいとしてる限りは難しいと思うのです。

この場合、相手を変えるのは難しいと思いましたが今後も関わる家族の話なので自分の中でもやもやが残ることがストレスとなります。
どのように考えると良いでしょうか?


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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

答えとするか、問いとするか

ご相談拝読しました。

恥ずかしながら「両忘」という言葉を初めて知ったので調べてみましたが中々難しいですね。おっしゃる通りお互いにその立場に立ててこそ成り立つ部分は大きいのかもしれません。

しかし相手が両忘に立てずとも自分はどうなのか。結局自分にとって問われるのは自分がそれをできているのか・いないのかということではないでしょうか。相手が立てなきゃ自分も立てないというのは両忘ではなく取引根性であると思います。

ですがこれがなくならないのですよね…相手が引けば私も引けるのにと思う事は中々やめられません。私自身も家族に問題を抱えているため痛感するところです。

今お抱えのモヤモヤはストレスとのことですが実はそれも大事な感覚なのだと思います。そこにはモヤモヤ=悪という二元論、つまりは両忘の立場ではないところに立っている私がやはりあるでしょう。その私をどこまでも知らされ続ける中でモヤモヤを引き受けて生きてはいけないでしょうか。両忘=善という答えを握ることによる迷いがあるのです。両忘を答えではなく問いとして生きるということです。

今あるモヤモヤを今すぐに自分の思う通りに排除しなけれないけないというのは短絡的なのかもしれません。今はそうとしか捉えられないモヤモヤが時を経て昇華されたり、熟成されて人生の深さともなったりするのではないでしょうか。

生活を共にする家族だからこそ逃げ場がなく、今何とかしたいと考えてしまうかもしれませんが、家族であっても逃げていいのではないでしょうか。今この問題については保留させてくれという勇気ある撤退でもいいと思います。大事なことは自分の頭に引っ掛けて置く程度に持っておいていいのです。

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はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生経験も仏法聴聞も、まだまだ未熟な私ではありますが、皆様のお悩みに対し真摯に向き合い、共に悩み共に考えたいと思います。 お話しする内容は「こたえ」ではありません。仏法を聞いてもお金が儲かるわけでも、人間関係に恵まれるわけでも、病気が治るわけでも、何ものにも左右されない心の持ち様が手に入るわけでもありません。 仏法の救いとは悩みが私の思い通りに解決することでなく、どんな悩みも私の現実として引き受けて、悩みながらも生きていけることだと私はいただいております。 悩みを救う(解決する)のではなく、悩む人を救う(悩む私という存在を引き受けていける)のです。 「こたえ」ではなく、「問い」を共有することで、悩み苦しみを引き受けて生きていける一助となれれば幸いです。 【回答について】 後から読み返し、誤字脱字に気づいた際は訂正を入れます。訂正ではなく、お礼コメントへの返信のため追記する場合はタイトルに〔追記あり〕と記載します。 なお、タイトルも本文も字数制限があるため際限なく追記できないこともご承知おきを。
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質問者からのお礼

吉武文法 様
回答を下さりありがとうございます。
そして、わざわざ言葉を調べてくださりありがとうございました。

回答を読んでみて「その角度の考え方があったのか」と目から鱗でした。
まさか自分のモヤモヤ=悪が両忘の考えが出来ていないと考えてすらいませんでした。
それどころか熟成されて人生の深みになる可能性を秘めたモヤモヤを自分自身は引き出しにあるゴミの扱いをしてしまっていました。

今後は、ひとまずこのモヤモヤを片隅に置きながら生きてみようと思います。
自分一人ではたどり着けなかったです。回答を下さりありがとうございました。

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