西遊記に出てくる羯諦という仏様
以前、西遊記を読んだ時、「羯諦さん達が守ってくれる」という表現があったという思うのですが、羯諦という仏様はいらっしゃるのでしょうか?
色々調べても分からないので質問しました。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
こんにちは。回答がつきませんね。「羯諦」という仏様というのは、私は聞いたことがありません。
「羯諦」という言葉でまず思い浮かぶのは、「摩訶般若波羅蜜多心経」の最後の方に出てくる真言「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶」の一部ですね。
「摩訶般若波羅蜜多心経」は、西遊記にも出てくる、三蔵法師(玄奘)が訳したお経で、大乗仏教の神髄が説かれているとされています。そして、その中でもこの真言部分は特に大切な部分と言われています。
ですので、ピンチの時には、仏教の力が助けてくれる、というような意味合いで「羯諦さん」という登場人物(神様?)が生まれたのだと思います。
よくわからずごめんなさいね。
憶測の域を出ませんが…
祥鳳さん こんにちは
シマダイッセイと申します。西遊記のご質問に回答します。
「羯諦さま」という神様についてですが、僕からの回答は2つあります。
①は深沙大将(じんしゃたいしょう)という神様説
②経文による守護を期待した説
どちらも憶測の域を出ませんが、宜しければお付き合いください。
先ず①の、深沙大将についてのお話です。
深沙大将は三蔵法師(玄奘三蔵)が、天竺からお経を授かり唐へ帰る道中の砂漠で出会った神様です。
深沙大将は三蔵法師に以下の事を告げます。
・三蔵法師が過去世6回にわたって仏教の布教の旅をした事。
・深沙大将はその6回の旅でことごとく三蔵法師を殺した事。
・この旅は7回目である事。
・三蔵法師の不屈の志に感激し、悔い改めたい事。
・過去世6回の殺害の罪を許して欲しい事。
これを聞いた三蔵法師は過去世で自分を6回殺した深沙大将の大罪を、あっさりと許します。深沙大将は喜びのあまり感涙し、三蔵法師の旅に同道して護衛に努め、ついには三蔵法師が命を懸けて運んだお経(般若経典群)の守護神(護法神)となったのでした。
…というのが、羯諦さま=深沙大将のあらましです。
ただし、この説には大きな問題があります。この深沙大将は、沙悟浄のモデルにもなった神様なのです。ですから辻褄が合わないのです。
(もちろん西遊記という物語そのものに、色々なパターンがあるのですが…)
さて②の説です。この羯諦ですが、般若心経の中で大神呪や大明呪と呼ばれるパートの経文です。この「呪(しゅ)」という言葉は「呪文」などというように、それを唱える事でご利益(神仏の加護など)を得られると信じられてきました。
いわば、お経の中に登場する「呪文」なのです。
西遊記の中で「羯諦さん達が守ってくれる」という台詞があったのであれば、この呪のご利益を期待しての事だったのかも知れません。
…難しい話をしてしまいましたが、①②の説の中で祥鳳さんの中で合点がいくものを選んで頂く形で、私からの返答に替えさせていただきたく思います。
また、このhasunohaには様々な僧侶の方が返答を書いてくださいますので、
ぜひ、他の方の意見も聞いてみてください。
それでは、失礼します。
【参考文献】
早川いくお『カッコいいほとけ』
藤丸智雄・鈴木健太『「般若経典」を読む』
質問者からのお礼
光禪様、回答有難うございます。
スッキリしました。♫♫♫♫♫
シマダイッセイ様、返答有難うございます。①と②の話があるのですね。勉強になりました♫
自分は①の深沙大将の話が面白いと思いました