実家が浄土真宗ですが、宗派を変えることはできるのでしょうか?
日本国憲法では、信教の自由が認められているため、自分の好きな宗教を選ぶことはできます。ただし、基本的には先祖が決めた宗派であることが多く、離檀となれば先祖を供養していたお寺を変えたり、親戚付き合いが変わったりなどの問題が出てくることでしょう。
今回hasunohaへ寄せられた相談は宗旨替えについてです。このテーマに対し、さまざまな宗派のお坊さん方からたくさんの回答をいただきました。それではさっそく、相談者mochivationさん(30代男性)からの質問を見ていきましょう。
宗派は変えられますか?
私の宗派は浄土真宗なのですがもっと自分の考えに近い宗派があるのではないかと考えております。宗派を変えることはできるのでしょうか?また、宗派を変えるにはどうしたらいいのでしょうか?
仏心は宗派という外の中にあるのではなく自身の中にあります
宗派は「ああ、本当に私は一生救われた」それに確証、自信を持つための方便だと思って、適度な距離感をもって接していればよいでしょう。あなたはあなた。そういう意味では宗派色に騙されるな、自分をそのままの自分として救ってくれる宗派を選びなさい、と申し上げておきます。
(安穏寺(天岑寺)丹下覚元 )
こちらのお坊さんは、離檀するとか、お墓を移すという問題はいったん後回しに。自分を救う信仰に対し、主体性をもって正しく理解をすることが大切だとおっしゃいます。そして、仏教は、学びぬいた先にあるゴール、つまり最終的に自身が救われるためにあることを忘れてはなりません。
宗旨宗派にとらわれなくてもよい
どうかせっかくの仏様とのご縁としての「仏縁」「法縁」だけは、これからも決して切らすことなく、仏教への帰依と共に修学・実践を継続して頂いて、共に頑張って仏道を歩めて悟りを目指せるようであっていただきたいと僭越ながらにも存じております。
(岩瀧山 往生院六萬寺 川口英俊)
宗派を変えることや宗旨にあまりとらわれ過ぎず、もし別の宗派を選ぶことになったとしても、わたしたちは仏の道を歩み、悟りを目指すことが大切だと教えていただきました。
今の浄土真宗との縁をもう一度深く考えみては
宗教は、生きている私のためにあるものですから、私自身の拠り所となっていただきたい。もちろん、服を替えるようにコロコロ気分で変えていくものではありませんので、よくよくお考えいただきたいと思いますが、他の宗旨の教えを大切に生きていかれるのもよいでしょう◎
また、代々に渡り、受け継がれてきた先祖の願いも大事にしていただきたいと思います。
(教善寺 中田三恵)
こちらのお坊さんは、浄土真宗であるという今の縁を大切に、今一度、浄土真宗の教えを深く味わってみてもいいのではとおっしゃっています。宗旨替えについては、それから考えてみても遅くはありませんね。
同じ宗派でも僧侶によって受け取りが違うので、まずはその浄土真宗のいろいろな僧侶のお話を聴聞されてはどうでしょうか?
(林鴬山 憶西院 超覚寺 和田隆恩)
こちらのお坊さんも、宗旨替えについては個人の意思で選んでもよいとした上で、もう一度今の教えを学ぶ大切さを教えてくださいました。たしかに、同じ宗派のお話でもお坊さんによってわたしたちが抱く印象は変わりそうです。
次のお坊さんは、家単位でお寺の檀家になっている方、離檀がむずかしい方、また、家を継がない立場でも地域や状況によって宗旨替えがむずかしい方への回答をくださいました。
まずは諸宗派に触れては
そこまでするのは(宗旨替え・離檀など)…ということであれば、家の宗派とはそれなりのお付き合いをして、そして自分自身の考えに合う宗派を探し、学んでいけばいいのではないでしょうか。
なごみ庵では毎月法話会を開いていますが、違う宗派のお坊さんや「家の菩提寺は他宗派なんですが」という方も多くいらっしゃいます。
(なごみ庵 浦上哲也)
また、次のお坊さんは、本来、信仰を持つというのは、考えだけで変えるのではなく、恐るべき覚悟と尊重が必要なのではとおっしゃいます。その上で、次のような回答をくださいました。
いろいろな宗教に出会うなら
キラキラと感動を覚えて改宗するまで浄土真宗の門徒でいることをおすすめします。色々な宗教に出会うなら、本は図書館や本屋にあり、勉強会は各お寺やセミナー、学校で行っています。色々な宗派の僧侶に会いたいなら、坊主バーがおすすめです。
わしも名古屋の坊主バーにたまに手伝いに行っていますので、もし縁があったら会いましょう。
(観音寺 大鐵 )
さまざまな宗派のお坊さん方から回答をいただいた相談者のmochivationさん。「せっかくの仏様とのご縁」を大事にし、「まずは自分の宗派浄土真宗をもっと勉強したほうがいいのかもしれませんね」とお話してくださいました。
元の問答:宗派は変えられますか?
今回、宗旨替えに対するお坊さん方からの回答はとても柔軟な印象を受けました。わたしたちは信教の自由が認められているので、自分に合った宗教を選ぶことができます。ただし、家族や親族とのつながり、離檀の複雑さから簡単に変えることはできません。しかし、学ぶことは自由です。もう一度自分の宗派やその他の宗派について深く理解をし、仏教が目指すゴールに向かって歩んで行くことの大切さを教えてくださいました。ありがとうございました。