父親の罪で息子が破談になるかもしれない
50代の会社員です。数年前に、恥ずかしい犯罪で逮捕、罰金刑となりました。
幸い再就職は出来ましたが、家族との関係は元のようにはいかず、皆それぞれを苦しませています。子供が結婚適齢期になって来たこともあり、ドラマなどで、結婚にまつわる様々なシーン(親への挨拶や、親同士の顔合わせ等)があると身につまされます事が増えて来ました。
最近、長男と話す機会があったのですが、私の知らなかった心の傷を負っている事にショックを受けました。父親の遺伝子を引き継いでいるのではないかとの思いから女性恐怖症になったと言うのです。
それでも、彼女は出来たみたいで、その部分では安心したのですが、隠し事をしているような後ろめたさから父親の犯した罪も彼女に告げたとの事でした。子供に負わせてしまった後ろめたさを彼女にまで負わせてしまい、申し訳なく思っています。
何でも正直に話すのはどうかなどと言えた義理ではない事は充分に承知しているのですが、彼女が自分の親に伝えてしまうと破談になるのではと心配になります。こんな状態でかけてあげる言葉や私自身のなすべき事についてご助言頂けないでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
どうか、あなたは人生を真剣に生きて下さい
あなたがご長男に対して出来ることはありません…。
ご長男も社会人…もう立派な一人前の人格です。既にあなたの手を離れているのです。
そんなあなたが、ご長男とそのお付き合いをされている女性のことを心配する必要はありません。いえ、出来ないのです。
もしあなたの過去の罪が原因で、彼女のご両親の反対により結婚が破談になりかけたら、あなたは相手方に乗り込みますか。私と長男は別人だからと説得しようとしますか。…もうそのとき、既にあなたは「私と長男は(口ではそうは言っていても)別人格ではない」と表明していることになります。
あなたには、ご長男そしてお相手に対してもう何も出来ないのです。
ただ静かに見守りましょう。
そして、あなたはあなたの人生を「しっかりと」歩んで下さい。
そう申しましたのは、あなたのご相談最初の『…恥ずかしい犯罪』という言葉にもの凄く違和感を感じたからです。
そこにあなたの御心の根っこにある自尊心…「自分は本来、そういった犯罪をする人間ではない」というお気持ちが「はっきり」と現れているように思ったからです。
「罰金払ったんだからもう終わり」「こんなしょ~もないことで自分や家族がエライ迷惑してるよ」「ある意味自分こそが被害者だ」…どこかにそんなお気持ちがありませんか。
あなたのお心の何倍も何倍も、いえ全く比べものにならないほど心に傷を負った被害者がいらっしゃること、その御心の傷は一生消えること無く、今まで通りの社会生活を営むことが出来なくなってしまったかも知れないことに思いを致して下さい。
ご長男を思いやるお気持ちのせめて100分の一でも、その被害者のことを思いつつ生きていって下さい。
あなたのなさるべき贖罪とは「罰金を払った後から始まる」のだと受け止めて下さい。
「人生には取り返しのつかないこと」があります。たくさんあります。それらの多くは自分が気付かぬうちに犯してしまっています。
でも、「じゃあどうすればいいんだ。それでは生きていけない」と叫びたくなる私という存在のために仏様がいらっしゃいます。
「あなたの罪、そしてそこから生まれる苦しみを私も一緒に背負っていこう」…そこまでおっしゃる仏様は、「私にそうお誓い下さらなければ到底生きていけない」私の為に存在して下さっています。
どうぞ、今後の人生を真剣に生きて下さいませ…。
質問者からのお礼
ご助言ありがとうございます。
息子はすでに一人の人格であること、自分の心の奥底にある自尊心…自分の狭い了見からは気づかない視点で、ハッとさせられました。私は、まだ贖罪らしい贖罪は何も出来ていません。これからだと思っています。ありがとうございました。