職場の人間関係がめんどうくさいときは、仏様の目「半眼」で見る
人間関係がめんどくさい…。とくに職場の人間関係には、悩まされる人も多いですよね。職場は1日の大半を過ごす場所。その人間関係が上手くいかなければ、日常のほとんどがつらく、苦しい日々に思えてしまいます。
hasunohaにも、人間関係の相談は多く寄せられます。誰もが同じように、面倒な人間関係の悩みを抱えているのです。今回はその中から、「人間関係がめんどくさすぎる」と悩む方からの相談をご紹介します。
お坊さんとの問答は、ストンと腹落ちすることばかり。自分では気付けなかった視点に気持ちが楽になり、大切なことに気付かせてくれる言葉にハッとする。お坊さんならではの回答は必見です!
部下との人間関係がめんどくさい…。
職場の部下との人間関係が「めんどくさい」と感じている中間管理職さん。相談内容からは、部下を理解しようとする気持ちも伝わってきます。しかし立場上、目に余る部下の態度は注意しなければなりません。ところが、自分勝手な論理で反発をする面倒な部下…。そんな人間関係に、ちょっと疲れてしまったとの相談でした。
どこの会社でもそうでしょうが、めんどうな部下が必ずいます。 自分の仕事を優先したいために他部署の人にスケジュールを強要したり、(中略)社会人とは思えないような口調で相手のミスを責め立てたり。 注意しても、「自分はちゃんとやっている、相手が遅くて足をひっぱるから」とか…(中略)。とても勝手な論理に思えるのですが、私に人事権もなく、上司の本部長などに相談しても「話し合ってください」とばかり。(中略)
仕事を離れると楽しく話せる人がほとんどなのでしょうが、利害関係が入ると人間ってほんとにめんどうになりますね。
中間管理職は、仕事が円滑に進むよう、部下と上司の間で上手く立ち回らなければなりません。30~40代の人が多く経験する立場であり、同世代で同じ悩みを抱えている人も多いのでは?
この相談に対するお坊さんたちの回答をご紹介します。
良いところはよく見て、悪いところはほどほどに
仏様の目をじっくりとごらんになったことがありますか?
仏様の目は「半眼」といって、半分開いて、半分閉じています。 つまり、必要以上に全部見ようとはしておられないということです。(中略)
全部のことに完璧に対処できるということは、ほとんどの人にとって不可能です。欠点もあれば、力の及ばないこともある。そういう人間の姿を、仏様は半分だけ見ておられる。(中略)良いところはよく見て、悪いところはほどほどに。
利害が入ると、気持ちとして余裕がなくなってしまいます。しかし、仏様のような目で見れば、少しは見方に余裕ができるのではないでしょうか。
(正善寺 藤堂尚夫)
こちらのお坊さんは、仏様の目が『半眼』である意味を説き、『見方』を変えてみることを提案されています。他人を自分の理想通りにすることはほぼ不可能。それならば、見方を変えてみませんか?とおっしゃっています。
人のどの側面を見るかという『見方』は、相手の印象を大きく変えますよね。良いところを見るようにすれば、相手に対する感情も変わってくるでしょう。
しかし、ここでひとつ問題が起こります。悪い所ばかりが目につく人に対し、無理に良いところだけを見ようとすると反発心が生まれるのです。
仏様の『半眼』は、そんな厄介な心も見透かしているのでしょう。お坊さんがおっしゃるように「悪い所はほどほどに」と、人を半分だけ見るという意識なら、無理な偏りがありません。楽な気持ちで、見方を変えることができそうですよね。
面倒な部下の立場が悪くなったとき、あなたはどうしますか?
私たちは、よく思わない相手に悪いことが起こると「いい気味」と、つい嬉しく思ったりします。ここぞとばかりに、日頃の鬱憤を晴らしたくもなりますよね。しかしこうした負の感情は、結局自分を苦しめるのです。
人は怒りや欲望に囚われると、正しい判断ができなくなります。こちらのお坊さんはそれを案じ、判断を誤って他者を傷つけないよう戒めてくださいます。
部下の方が他の人から報復にあったとき、あなたは「いい気味。」と思って、「日頃の行いが悪い。」と言って、注意するのでしょうか。それとも味方に立って「気にするな。」なんて言えるのでしょうか。
徳のある人は褒めるが、徳のない人は憐れむのが、仏の教えです。
(観音寺 大鐵)
こちらでは別の視点の回答で、大切なことに気付かせてくれます。
お坊さんの問いかけは、戒めであり、相談者を苦しみから守るための優しさでもあります。部下も相談者も、誰も苦しまないようにというお坊さんの言葉は、すんなり心に染み入りますね。
人間関係は本当にめんどくさいものです。それをどう対処するかの答えは、実は自分の中にあるのですね。
hasunohaでは、お坊さんたちが時に寄り添い、時に人の複雑な心をシンプルに解き明かしてくれます。あなたも人間関係がめんどくさいと思った時は、お坊さんに知恵を借りてみませんか?
元の問答:人間関係がめんどくさすぎる