暴力、暴言を吐く父親が死んで欲しいほど嫌い。女子高生にお坊さんがアドバイス
残念なことに、血のつながった親子であっても愛情をもって育てられず、精神的・肉体的暴力に悩まされるという事例があります。そのような環境にいる方は、身近な人にも相談しづらく、真の苦しみも理解してもらいにくく、どうしようもない気持ちに苛まれることも多いかと思います。
お坊さんから生きる知恵(アドバイス)をいただけるhasunohaでは、親子関係に関する悩み相談がたくさん寄せられています。今回はその中から、父親との関係に悩む女性からの相談を紹介します。
父親の暴言や理不尽な行動が許せない
父親に話しかけても無視され、一方的に暴言を吐かれることに怒りを覚えているという高校生の質問者、真綾さん。
暴力こそふるわれないものの、「お前が臭いからだ」「男だったら殴ってるからな」などと言葉の暴力を受ける毎日。ある時は荷物を蹴り飛ばされたり、友だちとのLINEを勝手に返信されたこともあり、親だからといってここまで身勝手な行動が許されるのかと怒りを覚えているそうです。
また、なぜか妹だけには優しく接するという父親。それでも親だから感謝しないといけないのか。真綾さんは深刻な悩みを抱えています。
私は父の言葉の暴力に耐えられませんし、これからもずっと好きになれる気がしません。どうしたら良いでしょうか。
引用:父親を好きになれない
前に一度、なぜ私と妹では接し方が違うのか母が聞いてくれたことがあります。それに対し父が言った「別に(私)とは関わりないし。」の一言にはとても傷つき、一生忘れない、一生恨み続けるんだなぁと思いました。
私はそういうところが嫌いで、父に良い態度で接することができません。
関わりがないと自分で断言しておいて進路関係の話になると余計な一言を挟んできたり、「金を出してやってるんだから感謝しろよ」という態度が許せません。
母もパートをしていますが、確かに父の言う通り父が働いて家族の生活費や私と妹の教育費を出してくれています。まだ未成年で親元に生活させてもらっていますし親に感謝すべきだ、というのはわかります。ですが、まともな接し方をしてくれない、ましてや「関わりのない」父になぜ感謝しなくてはならないのでしょうか。
一刻も早く家を出て、親との縁を切りたいと思うまで心が追い詰められている状況です。嫌いな父親にも感謝しなければならないのかという深刻な悩みに、お坊さんは次のような言葉を送りました。
好きにならなくてもいい。刺激しないように距離を保って
お父さんと話が出来なければ、気持ちを伝えることも出来ないもの。一方的に言われるまま。これでは息がつまるし、嫌いになるはずよね。
(中略)これからの未来。あなたを、ちゃんと認めてくれる人は、たくさんいるよ。そんな人たちと出会っていけるよ。だから、今は辛いだろうけれど、お父さんは好きじゃないでいいよ◎
それでいい。刺激しないように、距離を保とうね。
(教善寺 中田 三恵)
引用:父親を好きになれない
親から虐待や理不尽な扱いを受けていれば、嫌いになるのは当たり前のことです。
反抗すれば、暴力が悪化してしまうこともあるかもしれません。
お坊さんのおっしゃる通り、自分の気持ちを偽って無理に好きになろうとしなくてもいい。学校や社会で認めてくれる人と出会えるように、頑張ることが大切なのかもしれません。
感謝の気持ちは、愛情を実感して自然と芽生えるもの
これだけ父親から傷つけられれば、嫌いになるのも感謝できないのも当然のことだ、と別のお坊さん。
親への感謝は、親だから感謝するのではなく。
親からの愛情を実感して自然と芽生えるものだと思います。
(中略)
真綾さんが父親に良い態度で接せず、感謝できないのは、父親の真綾さんへの関わり方が、理不尽で、傷つけるものだったからではないでしょうか。
(中略)
ただ、今は未成年で親元に生活させてもらっているということなので、将来的に自立するプランを練っておきましょう。
(明福寺 中根信雄)
親だから無条件に感謝するのではなく、愛情を実感することで感謝の気持ちが芽生えるもの、というのはとても腑に落ちるアドバイスですよね。経済的支援はあるものの、愛情を受けていないのに「ありがとう」と思わなければならないなんて、酷な話です。
お坊さんのおっしゃる通り、親だから感謝しなくてはいけないという常識や先入観に悩まされず、自分の心から自然に芽生える気持ちに正直になった方がいいのかもしれません。
このお坊さんからの回答は質問者さんの心にも深く刺さったようで、「感謝の気持ちは、愛情を実感して自然と芽生えるもの。という言葉に救われた気がします」と返信されていました。
親子関係の悩みは外から見えづらく、理解もしてもらいにくいものです。親子だから必ず好きになったり感謝しなければならないという訳ではなく、世間の常識は一旦置いておいて、自分の気持ちに素直になってもいいのかもしれません。
お坊さんのアドバイスにある通り、親子関係に悩む方は将来的には自立できるようプランを練り、一定の距離を置くことで、苦しみから救われることになりそうです。