あなたは心の病気でいらっしゃるのですね。そして御家族もご病気を抱えておられる…。
　おつらいでしょうね。死ぬのはイヤでしょうが、生きているのもつらいですよね。
　「死んじゃダメ！　生きていくべきだ！！」…とまで強くは申しません。
　でも、ちょっとだけ力抜きませんか？　生きるとか、死ぬとか自分で決断しなくていいんですよ。いのちのことは仏様にお任せしましょう。だって自分で、自分のこの身、この心、この命を思うようになんて出来ないんですから。
　自ら命を絶てば、自分の思い通りになるじゃないか…でも、自ら「命絶とう」とまで思い詰めるのは自分の生き方が自分の思い通りになっていないからですよね。結局、生きることは自分の思い通りになんかならないのです。
　思い通りにすること、思い通りの自分になろうとすること…そういった思いを捨てましょう。いえ、それは簡単には出来ませんね。ならばそういった自分の思いから少しだけ離れましょう。「自分は自分で自分に自分を…」といった思いを離れましょう。
　そして外の世界を見て下さい。今、本当に植物の美しい時期です。青々と茂る葉、色とりどりの花…私はさっきも観葉植物の植え替えをしてきたばかりです。
　植物は植物で自然体で生きています。動物も動物で自然体で生きています。
　なるようになることは何とかしますし、何ともならないことはそのまま受け入れます。それが自然界に生きるものの当たり前のルールです。人間だけは偉そうに、そういったルールを破って自分の思うように人生を生きるんだ…と息巻いていますね。偉大なる自然界から言わせれば、大きな勘違いなんですけどね。
　どうか、あなたのその思いを外に向けて下さい。美しいもの、素敵なものを見て下さい。探して下さい。
　充分外の世界を見たその後で、あなた御自身をご覧になって下さい。
　そして、あなた御自身に向き合うときはどうか仏様がご一緒下さっておられることに思いを致して下さい。決してあなたは独りではない。仏というあなたを心配し続ける尊い存在がいらっしゃることをしっかりと受け止めてください。
　だから、どうか死のうなんて言わないで下さい。仏様が悲しまれます。御家族も、縁あってこうして回答させて頂いた私も悲しいですから…。
　

小林　覚城

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