先天性の心疾患でした
はじめまして。
ずっと考えてきたことがあります。
私は先天性の心疾患をもって生まれてきました。
3歳半で入院・手術をし、今では普通の人と同じように生活ができています。
ですが、よく考えるのです。
私が病気を持って生まれてきたことで、両親、特に母には辛い思いをたくさんさせてしまったこと。
もし手術をしなかったら、どうなってたんだろう。
お金もかかって、たくさんの方に大切な血液をわけていただきました。
本当に大変な思いをして、私に生きる道を拓いてくれました。
ですが、私はそんな両親にたいして、何かを返せてるんだろうか。
親に背いてばかりで、おそらく望むような娘にはなれてません。
両親は、私には早く結婚して子どもを産んでほしいと望んでいたと思うんです。
けれども、いまだに独身で子どももいません。
40代後半になると、もう子どもを産んで育てようという気力も体力もないです。
それ以前に、メンタルの病気で投薬治療中です。
今は、心の状態を一定に保つように生活することを第一としています。
私はそれでもいいのですが、両親に対しては、申し訳ない・ごめんなさいという思いでいっぱいです。
一度だけ母に
「私なんか生まれてこなければよかったのに」
と言ったことがあります。
その時の母の表情は覚えていませんが、相当傷ついたに違いないです。
ここまで親不孝で生きている意味ってあるんだろうか?
そもそも、手術なんてしなかったらよかったのに、と思うこともあります。
神様は乗り越えられる壁を与えているんだ
というような言葉を聞いたことがあります。
ですが、本当にそうなんでしょうか。
目の前にある壁がどうしようもなく大きくて、乗り越えられるとは思えないのです。
私が病気で生まれてきた意味はなんなのでしょうか。
そして、メンタルの病気をかかえてしまったことにも何か意味はあるのでしょうか。
長文失礼致しました。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
ご縁―全ては原因と結果の連鎖-だからこそ意味は無限
長年抱えておられた思いをお話しくださりありがとうございます。ご両親、特にお母様に対して申し訳ない気持ちを抱えておられるのですね。そしてご自身の境遇に納得できない思いを抱えておられるのですね。
それらの思いはどこからくるでしょうか。ご両親があなたに寄せる思い通りに生きられないことへの申し訳なさの前提となっている「ご両親の思い」は事実でしょうか?
それは「早く結婚して子どもを産んでほしい」とご両親が思っている(た)と「あなた自身が思っている」のではないでしょうか。
そして同じように、「神様は乗り越えられる壁を与えている」という言葉も事実ではなく解釈です。それは「そういう風に思う人もいる」ということであり、万人に当てはまる「事実」ではありません。
神の宗教ではそのように考えるかもしれませんが、仏教ではそのように考えません。仏教ではあらゆる物事は絶対的な支配者による運命ではなく、数数えきれないご縁(原因・条件・環境・対象)の相互作用による結果であると見ます。
つまり、あなたが「病気で生まれてきたこと」も「メンタルの病気をかかえてしまったこと」も、神など何らかの大いなる存在が意味を持たせてそのような境遇を与えたわけではなく、「そうなる原因が調ったからそうなった」と考えます。そこには固定実体的な意味はありません。
意味があってそうなったのではなく、そうなる原因があったからそうなった。なぜそうなる原因がととのったかはご縁によるとしか言えない。そしてそうなった以上はそこからいただく意味は「私の解釈次第」ということです。
「私なんか生まれてこなければよかったのに」
その一言にはお母様も傷ついたことでしょう。お母様もまた健康で生んであげられなかったとご自身を責めたかもしれません。
でもあなたもお母様も誰も悪くはないのです。そうなろうと思ってなったわけでも、そうしようと思ってそうしたわけでもありません。ただそうなるご縁がととのってそうなったのです。
だからといって、私たちは「ご縁に生きる他ないのだからどうしたってしょうがない」と人生から意味を失う必要はありません。
ご縁次第でどうとでも未来は変わり、そのいただくご縁の解釈も無限だからこそ、ご縁に対する私の態度選択に大きな意味があるのです。
「生まれてよかった、ありがとう」
とあなたが思えることを願います。
大切な生命だから
拝読させて頂きました。
あなたがご両親様の元で生まれていらっしゃったことをご両親様はきっと心からお喜びなさったのではないでしょうか?そしてあなたが幼いして病いにかかり手術を受けて助かったことを何よりご両親様はお喜びなさったのではないでしょうか?
そしてあなたが一命を取り留めて病いから回復なさり成長なさって生き抜かれてることを何よりご両親様は有り難いこととお喜びになられていらっしゃるのではないでしょうか?
おそらくご両親様はあなたが病いにかかった時あなたがもう生きられないと思われ深い悲しみや絶望なさったのではないでしょうか?
人の生命は存在するだけで尊いものです。そして生きる力を与えてくれるものです。
どうかゆっくりとあなたの生命やご両親様とのご縁や今までのことを思い返しなさってみて下さいね。
あなたがこれからもご両親様とのご縁を大切になさりながら、心身ともにお健やかに生きていかれますようにと心からお祈り申し上げます。
質問者からのお礼
ご丁寧なお答えをいただき、ありがとうございます。
すべては「ご縁」なのですね。
仏様が与えてくださった「ご縁」。病気も家族もご縁なのだと受け止め、自分自身も受け入れられるよう、心がけてみます。
ありがとうございました。