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自分も含め、人が怖いです。

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こんにちは。前にも質問させて頂いて回答を読んだ際に大変心が楽になりました。ありがとうございます。1つ心の中で大きな葛藤がここ数年あるのでどのような心構えでいたらいいか教えて頂けたらありがたいです。

現在アメリカに留学中です。現地の人と結婚し、多分このままアメリカに住むことになると思います。もちろん、この世に「絶対」ということはないので本当にそうなるかはわかりません。コロナ禍もあり、もう1年ほど日本に帰っていません。

ほとんどの人は私がアジア人だという理由で差別してきませんが、たまに不愉快になったりすることもあります。これは現地に住む前にはわかりませんでした。BLMが去年大きな問題になったり、日常の小さな差別を見たりするとやはり差別はアメリカでは切っても切れない問題なんだということを毎日感じます。留学したてのころはまだおだやかだったと思いますが、コロナ禍の影響でアジア人が理不尽に暴力を受けたりしているのを見て怖くなりました。

日本で住んでいるときは「人種」を考えたことはほとんどありませんでした。でもアメリカでは「あの『白人』の態度悪かった」「あの『黒人』、ほんとムカつく」など、「人種」ベースでまず他人を評価するのが普通だと感じます。色々な人がいるのでそれが一番簡単なのでしょうか。

そういうのを見るとどうしてもげんなりしてしまいます。私の夫もごく自然にやるので、私もしてしまっているかと思います。外に出て他の人を見るたびに「私がアジア人だから」というだけで内心悪口やヘイトを向けられているのではないかな、と思うと怖いです。

なんというか、なぜ人間というのはこんなに愚かなことをするのでしょうか?自分もそんな人間の一部なんだと考えると落ち込みます。私も含め他の人間(もちろん全員ではありませんが、ほとんどの人は)は自分勝手だし、平気で人を傷つけるし、他人のことなんか自分が良ければいい。私は他の人になるべく優しくしたいと思っていますが、それも結局昔傷ついたからというエゴにすぎない。たまに人間として生きていて申し訳ないという思いが拭えなかったりします。

それでも、他人がいなければ今住んでいる場所も、服も、命もなかったわけです。なのでどういう心構えで生きていけばいいのかわからなくなります。仏教の教えではどうしたらいいのでしょうか。

読んで頂きありがとうございます。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

自分で見る自分から、仏様から見た自分へ

こんにちは。

「人種」についての極端な見方は、外国にお住まいの方だからこそ肌身で感じることなのでしょう。移民によってできた国だからこその多種多様性で、社会が活性化する一面もあり複雑な問題を抱えているのだと想像します。

「仏教の教えではどうしたらいいのでしょうか」、「どういう心構えで」とのお尋ねです。私は、もう既にあなたは大切な「心構え」をお持ちだと思います。それは、表題の通り、「自分も含め、人が怖い」と、自分を除外していないという点です。

時々、質問者の中で自分を除いて他者が、社会が問題だという人が居ます。その点、あなたは他者だけでなく自分にも、「そんな人間の一部」という他者と共通するなにかがあるのだと考えている前提は大切な「心構え」、前提だと感じます。

仏教で人間は、煩悩という自己中心性を満たそうとして生きています。要するに自分は正しい、ということです。その自分の姿に客観的に気づけないほど「愚か」になり、「悪口やヘイト」を表に出すことが抵抗がなくなります。だから、そういう人の姿を見れば、ああ、この人は自分のことが見えていないんだな、と冷静にみる視点は大切でしょう。

仏教では、お経は鏡である、と教えられます。

そもそも、鏡があってこそ人間は自分の顔の有様を知ることができます。
逆に言えば、鏡がなければ自分の姿は分かりません。
自分で思う自分は、どこまでいっても自分からという視点から自由になれません。お経から見て、仏様から見て自分はどう見えているんだろうという視点の転換が仏教だと思います。

その仏様から見えた自分に気が付き顧みつつ、「エゴ」、煩悩から自由になれないけれども、たとえ仏様の真似事でも人の立場に立って、人の喜ぶことを自分のできる範囲でしたいな、と思えたら良いと思います。仏様には今なれないけれど、仏様を基準に考えて生きたい、これが仏教的な「心構え」だと思います。

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釋 悠水(しゃくゆうすい)
浄土真宗本願寺派報恩寺住職(兵庫県三木市) 本願寺派布教使 元本願寺布...
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改めて見直してみましょう

拝読させて頂きました。
あなたの実体験に基づく貴重なお話を聞かせて頂き有難うございます。
人の心の中で人をさげすんだり見下したりおとしめたり、平気で傷つけたりすることが何より愚かで最低なものです。自分のことを守るとはいえそのように人を差別するような考えや言動をすることは自分自身をおとしめてしまうことです。
とはいえそのような自分もあること、ふとした瞬間にもそのような愚かな考えが入り込んでしまうような自分自身をしっかりと認め、戒めていくことが日々大切ですし、自分を大切にしながら周りの人や共にこの世界で生きる人々を大切にしていくことが大事だと思います。
今世界は分断へと進んでいると思います。改めて過去の歴史にしっかりと向き合いどのように生きることが大事なのかを私達それぞれが見つめ直していくことをおこたらないようにしたいですね。

共に助け合いお互いを大切にできる平和な世界や社会に生きていきたいですね。

あなたがこれからも皆さんと一緒にお互いを心から尊重し合い仲良くお健やかに生きていかれますよう心よりお祈りしていますね。またあなたなお話しお聞かせ下さいね。

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Kousyo Kuuyo Azuma
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラ...
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