ご利益とかバチとかいう言葉が苦しい回答受付中
いつもありがとうございます。
長年、実家の宗教について悩んできて、思い切ってこちらでご相談させていただきます。
父母、そして母方の一族(母方の祖父母や伯父、叔母たち)は、ある仏教の熱心な信者として生きてきて、私も幼い頃から信仰するのが当たり前という環境でした。真面目な宗派だとは思いますし、基本的に一族は情が深い方なのではないかと思います。親や親戚からは、祖先や親を大事にしなさい、信仰すればご利益がある、信仰心が薄かったり感謝の気持ちがないとバチが当たる、本物の宗教はこれだけである、などと毎日のように言われて育ちました。しかしながら、周囲の大人たちは、私にとってはあまり信頼感の持てる人たちではありませんでした。なぜなら、当時同居していた母の妹が機嫌を損ねると手が付けられないほどの暴言をはいて暴れる人で、それを目の当たりにしながらも、父母や親戚は何も改善しようとしなかったからです。あの人は変わっているから仕方がない、静かになるまで我慢しているのが一番だ、ご信仰をしていれば徐々に状況は良くなる、と言っていましたが、小さかった私や兄弟には苦しい時間でした。信仰しているのに何でこんな目に合うのかと時々母に文句を言っても、「感謝の気持ちが足りない」と言って怒られるだけでした。祖先だけでなく、子どもももっと大事にしてほしかった。
結局叔母は変わることはなく、私は結婚して実家を出てからも、ずっと父母や親戚に対しては複雑な思いがありました。でも、皆にかわいがってもらったという記憶もたくさんあるので、父母には尽くしてきた方だと思うし、叔母の老後のケアもしています。
自分も60代になった今、若い頃には考えられなかった悩みや不安をかかえ、何かにすがりたいという思いが強くなってきました。でも、小さい頃の心の傷から、母の一族と同じ信仰は持ちたくないという気持ちになってしまいます。その一方で、母の一族を批判したり、他の宗教を心の支えにしたいなどと言ったら、バチが当たるのではないかという恐怖感もあります。これからどのような心構えで生きて行けばいいのか、お坊様にご指南をいただけたらと思います。
不安になりやすい
お坊さんからの回答 1件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
ご相談をいただき、誠にありがとうございます。
長年にわたる心の葛藤と、深く揺れるお気持ちが、行間から静かに、しかし力強く伝わってきました。
まず、あなたの人生における痛み、混乱、そして親族に対する複雑な思い、それでもなお誰かのために尽くしてこられたそのお姿に、深く頭が下がる思いです。
子どもの頃に味わった理不尽な体験。
信仰を大切にしていた大人たちが、身近な苦しみに向き合おうとせず、「感謝が足りない」「バチが当たる」と返してきた――
その中で、「宗教って何のためにあるのか?」という疑問を抱かれたのは、当然のことです。
宗教は、人の心を縛るためではなく、救うために存在していると私は思っています。
あなたが経験されたような「信仰の名のもとに苦しみを我慢させられる」という在り方は、本来の宗教の目的からは遠いものです。
「他の宗教を求めたらバチが当たるのでは…」そのお気持ちはよくわかります。
けれど、それは"恐れ”をベースにした信仰観であって、仏教の教えの本質ではありません。
仏教は、私たちが生きることの苦しみを見つめ、その中でどう心穏やかに生きるかを示す道です。
「この宗教だけが正しい」と他を排し、恐怖で人を支配するような在り方は、仏教の教えとは異なるものです。
今あなたが、「何かにすがりたい」と感じておられるならば、それは心が本当に安らげる教え、本当に寄り添ってくれる宗教を求めている証拠。
決して、「今さら信仰を持ちかえるのは裏切りだ」などと思う必要はありません。
むしろ、人生の歩みの中で出会い直す、修正とのご縁こそ、あなたにとって最も意味のある道になるかもしれません。
これからの人生で大切なのは、「自分を縛る信仰」ではなく、「自分を受け入れてくれる信仰」と出会うことです。
どうか、過去の信仰との距離を無理に否定せず、「それもあった」「でも、今の自分には合わない」と受け止めながら、あなた自身の心を大切にできる道を、ゆっくり探していただければと思います。
最後にもう一度、申し上げます。
宗教は人の心を救うために存在している。
あなたが「もう一度、救われたい」と願うことは、何も間違っていません。
どうか、あなたがあなたらしく、穏やかにこれからの日々を歩まれますように。
心からお祈りいたします。
質問者からのお礼
釋兼高様、こんなに早くご回答をいただき、ありがとうございます。1000字では書ききれない私の思いをくみ取ってくださり、涙が溢れました。いただいたお言葉、大切にしていきます。思い切ってご相談してみて、本当に良かったです。