父の苦しむ姿が耐えられない
お坊様初めてお便り致します。どうぞよろしくお願いいたします。
父が病気で苦しむ姿がつらく、まるで自分の身を切るように苦しく、おかしくなりそうです。
肺炎で入院し2週間で退院すると聞いていたのですが、入院2日後、呼吸困難、容態急変の電話が。駆けつけると息も絶え絶えに白眼を向いて苦しむ父が……
集まった家族は動揺しパニックに。当直医はそんな状況下でこう言い放ちました。「肺炎は死因の3位ですし。80歳なら平均寿命以上生きてるわけですし。人工呼吸器はつけますかつけませんか」
父は苦しみながらも意識があったため、とにかく苦しみから解放してあげたい一心で人工呼吸器をお願いしました。その後心肺停止に。主治医到着後電気ショックで蘇生し、5日経過した今日も何とか命は保てています。
今は、急変と助かる可能性は両方あると医師から言われています。その後も父は意識がはっきりあり、喉に挿入されている太い管に苦しんでいます。通常は苦しみを和らげるため軽い麻酔をかけるそうですが、血圧が不安定なのでできないとのこと。
今日は筆談で「あと何日で取れる」「あと何日」と聞いてきました。こんなに苦しい思いをして耐えているのにもし助からなかったら……
父の前では明るく振る舞っていますが、本当に文字どおり、身を切られるように辛く苦しく、全身の力がぬけるようになり身の置き所がないようになってしまいます。
長年福祉の仕事をし、人の終末はたくさんみてきたのに 、いざ自分となると全く現実を受け止めらません。なんて傲慢な仕事ぶりだったのかと、これまで担当させていただいた方々に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
子供が親を見送ることは当たり前で誰もが通るみち。高齢な両親、そう遠くないはず、と平素から言い聞かせていたつもりなのに……こんなに、本当にこんなにも辛いなんて……もっと父は辛いんだ、もっと強くなれ!と、何度も繰り返し自分に言い聞かせていますが本当にどうしようもなく、コントロールできません。
こんなに弱く情けない自分に腹が立って仕方ないです。
何かお言葉をいただけないでしょうか
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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祈り
苦しんでいる父の姿を見ていること、本当にお辛いですね。
文章だけでも胸が引き裂かれる想いが伝わります。
どんな方でも、そんな時には冷静になれません。
お釈迦さまでも、自分の父親が亡くなった時にはその棺を担ごうとしたという話もあるくらいですから。
両親の生き死にに関わる感情はコントロールができるようなものじゃないと思います。
外国で「祈りの力」を研究された方がおられます。
全く関係のない第三者が病気の回復を祈っただけでも、対象者に改善が見られたという実験です(かなりザックリな説明ですが、実際は何度も比較実験されたちゃんとした研究です)
病状が少しでも楽になるように祈ることは決して無駄なことではありません。
引き続き何度も会いに行き、励まし、身をさすってあげてください。
そして少しでもお父さんの苦しみが解かれることを神仏にも祈りましょう。
私は「親の臨終する姿が子供に伝え残す最大の教え」であると教わりました。
もしかしたらお父さんは歯を食いしばりながら教えを残そうとしているのかもしれません。
すでに教わったこともいくつかあるでしょう。
その教えは受け取り手の身内からすれば、とても辛いものです。
ですが、深く、よさむしさんの人生に影響を与える教えです。
後生大切にして下さい。
少しでも、めぐさんのお父さんの苦しみがなくなりますように。
私も願ってやみません。
南無妙法蓮華経
質問者からのお礼
お坊様からのお言葉を何度も何度も、何度もくりかえしくりかえし読んでいます。
何回読んでも涙でにじんで読めなくなてしまうのてす
おかげさまで昨日父は人工呼吸器から鼻からの酸素チューブになり、自発呼吸ができるまでに回復しました!あの苦しかった太い管が抜け
、声を聞けた時の喜びは、言い表せそうにないほどです!
まだまだ予断を許さない状態で、いつ急変するかもわからないのですが、とりあえず最初の大きな山は越えてくれたような気がしております。
今、お礼などというようなおこがましいことは何も言えません。お言葉を繰り返し読んでいるうちに、何かがつっかえるように苦しかった胸が少しずつ楽になり、そしてあたたくくなっていることに気づきました。
父が何かを教えてくれている、その姿を通して私たちに何かを……そう思うと、命の尊厳をあらためて感じることができます。そして、祈ることの大切さを説いてくださり、本当にありがとうございます。
これからも自分に出来る限りのことを、心いっぱい精一杯やっていきたいと思います。神様仏様ご先祖様に祈り続けます。そして、自分の後生が父に恥ずかしくないものになるよう、努めることができればと思います。
こんな風に穏やかに言葉を繋ぐことができるなんて……自分でも驚いています。お坊様、尊いお言葉を本当に本当にありがとうございました!