本来の御朱印の意味
今若い方の間で御朱印集めが流行っているようです。私の妹もそんな1人で神社の御朱印を集めに夢中のようです。今まで神社に定期的にお参りに行ったり、神棚を飾ってお祀りして特に信仰などもないようです。「次はどこの神社の御朱印をもらおうかな」と言っており、スタンプラリーかなにかと勘違いしているようで違和感を持ちます。神社仏閣などへは神様や仏様へ日頃の感謝など礼節と信仰を持って参拝する事が本来の目的ではないかと思われて不作法にも感じてしまうのです。
参拝より御朱印と考える妹のその行為に憤りを覚えます。
本来の御朱印の意味とはどのようなものなのでしょうか?お教え頂ければ有り難いです。よろしくお願いします。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
本来は「朱印帳」ではなく「納経帳」なのです。
シオンさん、こんにちは。
朱印帳、巡礼ブームに、少し違うのではないかと思われたのですね。
正解です。今のブームは業者が入っていてのビジネスの部分があるため、スタンプラリーのようになっています。私のお寺も伊勢観音10番霊場ですが、あわてて来られた方がご朱印を求められたので、「本堂に入って厨子にある御本尊様開けましょう」というと「時間がないのでご朱印だけでいいです」といわれて、呆れたことがあります。目的がスタンプ集めになっているのです。
本来は巡礼は修行です。事前にお寺に行くために精進潔斎をし家で写経の修行をして、そのお経を持ってお寺にお納めに行くのです。その納経の印として頂くのがご朱印になります。ですから一つ一つお寺にお参りするのも大変な信仰的労力が修行として科せられています。
だから、妹さんのお参りは本義ではありません。でも、そのような妹さんがお寺にお参りするきっかけを作ったのが現代のご朱印帳ブームですから、それでも良いと私は思っています。そこからいつか気づいて少しずつ本道に進めばいいのです。人生は長いのです。そういう回り道のきっかけも信仰なのです。これを仏教では方便といいます。
余り、妹の活動を気にせず捨てておいて、シオンさんはシオンさんのお寺関係を楽しんでください。妹の事を思っている暇がないほど、シオンさんの仏教の楽しみはたくさんあるのですから。
がんばって!合掌
機縁
回答としては、染川師のご回答で十分だと思います。
以前、他の質問へ回答した文ですが、参考になるかと思い、引用させていたただきます。
御朱印の起源は江戸時代の納経帳にありますが、さらに遡ると六十六部廻国聖の「納経請取状(のうきょううけとりじょう)」にたどりつきます。これは、歴史的な経過や変遷が資料として残っていることから明らかです。
六十六部廻国聖とは、日本全国六十六箇国を巡礼し、1国1カ所の霊場に法華経を1部ずつ納める宗教者です。法華経を納経するからと言って、納経する霊場がすべて寺院だったという訳ではなかったようですし、有名な神社が霊場とされ、納経された例は多いようです。
今の時代ですと、「神社に納経」と聞くと違和感を感じる方も多いかもしれません。でも、神仏習合が日本の宗教史の基本的な流れであると理解すれば、極めて当たり前のことなのです。
http://hasunoha.jp/questions/12315
スタンプラリー感覚の参拝はあまり感心できませんが、動機が少々不純だったとしても、参拝という行為自体は素晴らしいことです。仏教では、「機縁」という言葉をよく使います。御質問の事例に即して言えば、参拝という行為による縁に触発されて其の人の仏心仏性が顕現されることを言います。
仏様を参拝するという行為を繰り返す中で、仏の教えに触れ正しい信仰に帰依する可能性があるということです。
道元禅師は「ある女性が戯れで僧侶のお袈裟を身に着けてみた。この行為は褒められるべき行為ではないが、この行為が縁となってこの女性は後に出家して蓮華色比丘尼と呼ばれる優れた仏弟子となった人物」のことを『正法眼蔵』の中に著しています。
「この蓮華色、阿羅漢得道の初因、さらに他の功にあらず、ただこれ袈裟を戯笑のためにその身に著せし功徳によりて、いま得道せり。二生、迦葉仏の法にあふたてまつりて比丘尼となれり、三生に、釈迦牟尼仏にあふたてまつりて大阿羅漢となり、三明・六通を具足せり。」『袈裟功徳の巻』
いつか正しい作法に気付き、正しい作法でで参拝して御朱印をいただくようになってくれる。その可能性を信じましょう。
とっても有難い
シオンさん
初めまして
だてりゅうほうと申します。
シオンさんのおっしゃるように
>>参拝より御朱印と考える妹のその行為に憤りを覚えます。
そんな風に捉えてくださる方が
少しでもいらっしゃることに安心しました。
詳しい御朱印の内容はこちらで返信させて頂きます。
ではここで
シオンさんに少し違った角度のお話しを一つ。
伊勢神宮はご存知ですか??
三重県にある、日本有数の神社です。
数年前にメディアでも大々的に
【遷宮】のことがニュースに取り上げられ
戦後最高の拝観者数を記録したようです。
これもブームでした。
しかし、このブーム
実は江戸時代にも
明治時代にも同じようなことがあったようです。
そして・・・
そのブームがあったことで
拝観者数が増え
今の伊勢神宮が維持につながっている。
と言う考え方もあるのです。
シオンさんのように
「正しさ」を求めてくださる方の存在は
かけがえのない存在です。
シオンさんは、
シオンさんのままであり続けて頂きたい。
しかし
「ブームのお陰で存在を維持できている」
という側面もあることを知ってくだされば
多少シオンさんの「憤り」も和らぐのではないでしょうか。
願わくは
スタンプラリー感覚から興味を持たれた方が
さらに深い部分まで
正しく興味を持ってくださることを
願っている所存です。
だてりゅうほう
質問者からのお礼
丁寧にご教授頂きありがとうございます。
本来の御朱印の意味と歴史など大変興味深く勉強になりました。
最初の動機は本当の御朱印の意義とは違うスタンプラリー感覚の方でも参拝する事でそこから信仰が芽生えるきっかけになると言うことを知ることができました。これからは穏やかな気持ちで妹を見守ろうと思います。