十三佛真言について
真言宗で唱えられる十三佛真言は、他宗派の信者が唱えても差支えないのでしょうか。
曹洞宗の経典を見たところ、真言宗の
発菩提心真言 おん ぼうじしったぼだはだやみ
三摩耶戒 おん さんまやさとばん
光明真言 おん あぼきゃべいろしゃのう まかぼだらまにはんどまじんばらはらばりたや うん
上記3点の真言が~陀羅尼という別の呼称で掲載されておりました。
曹洞宗でも仏壇や墓石に向かって十三佛真言をお唱えてしても構わないのでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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問題はありません
曹洞宗の側から回答します。
そちらの3つの陀羅尼は甘露門というお経に『収録された陀羅尼』としてお唱えします。特にお寺では夕方のお勤めのお経としてお唱えしますので、お仏壇やお墓でお唱えなさっても何ら問題はありません。
ただ、真言宗さんの十三佛真言というのがどういった意味合いなのか存じ上げませんので、何とも言い難いのですが、曹洞宗でご家庭のお仏壇やお墓にお唱えするというのはいささか意図の見えないお唱えとは言えるでしょう。
曹洞宗では菩提心に関するお唱えごとでしたら四弘誓願文(しぐせいがんもん)や三帰礼文(さんきらいもん)が適当でしょうし、曹洞宗のご先祖さまは全員、三摩耶戒ではなく三帰・三聚浄戒(さんじゅじょうかい)、十重禁戒のあわせて十六条戒を受けています。灌頂もたびたび行われるものではありません。
また、曹洞宗では長年、お仏壇やお墓へのお唱えには「南無釈迦牟尼佛」とお唱えしましょうという形になっていますし、近年では「南無釈迦牟尼佛、南無高祖承陽大師(なむこうそじょうようだいし)、南無太祖常済大師(なむたいそじょうさいだいし)」という一仏両祖のお唱えをお願いするようになっております。真言そのものもおすすめしているというわけではありません。むしろ禅は無言を好むと言ってもいいかもしれません。決して真言をお唱えしない訳ではありませんが。
「他宗派の信者が唱えても差支えないのでしょうか」の背景の事情が分かりかねますのでハッキリとした回答はできませんが、「問題はないが推奨もしない」という回答に留めさせていただきます。
お仏壇やお墓を継いだ方が質問者さまとは別にいらっしゃる場合は、その方が他宗派の作法を快く思われないこともありますので一言お断りを入れてからになさると良いでしょう。
十三仏真言について
hannnyasinngyou様
川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えでございます。
基本的に真言や陀羅尼というものは、宗派はあまり関係なく、適宜必要に応じて用いられて唱えられるものではないかと存じております。(但し、浄土真宗さんは例外になるかもしれません。)
拙生も朝の梵鐘勤行の中においては、十三仏真言をお唱えさせて頂いておりますし、各中陰法要・回忌法要においては、十三仏供養として、塔婆に梵字で真言を書かせて頂くこと、法要にて真言を唱えさせて頂くこともございます。
真言は、呪やマントラと言われますように、少し神秘的な呪文として、密教的要素が強くあるものと思われてしまうこともございますが、サンスクリット語(梵語)を原典とするものとして、その意味内容もある程度訳出することができるものとなっております。
その内容は、如来・菩薩様の叡智や加持力を讃えて救済を冀うもの、ただ、お名前を尊くお呼びさせて頂いて帰依を深めるためのものなど、それぞれに意味内容がございます。
ある意味では、南無釈迦牟尼仏、南無阿弥陀仏とお唱えすることと同様に、仏様への帰依信心を表すことに近いものがございます。
仏壇や墓石に向かって十三佛真言をお唱えすることについてですが、ご仏壇が曹洞宗の場合でしたら、ご本尊様はお釈迦様となりますので、やはり、ご仏壇のご本尊様へと向けましては、「ナウマク・サウマンダ・ボダナン・バク」とお釈迦様のご真言を唱えられるのが良いのではないかとは存じます。お墓でも十三仏供養としてならば各真言をお唱えするのも良いでしょうが、基本的には、お釈迦様のご真言で良いのではないかと存じます。
ただ、「ナウマク・サウマンダ・ボダナン・バク」には、「帰依します。三千大千世界の諸仏とお釈迦様に。」となりますように、「サウマンダ・ボダナン」で、諸仏の中に全ての仏様(と菩薩様も)が含まれることになり、それだけで他の真言もカバーされてしまうと言えば、そうなってしまうのではありますが・・
また、二年半前となり拙い内容ではございますが、十三仏について扱わせて頂きました拙考がございますので、もし宜しければご参考にして頂けましたらと存じます。
「十三仏 追善供養を司る如来・菩薩たち」
http://oujyouin.com/13butu.html
川口英俊 合掌
質問者からのお礼
岩瀧山往生院六萬寺・副住職 川口 英俊様
この度は、十三佛真言について詳しく丁寧に説明して下さいまして、誠にありがとうございました。
「十三仏 追善供養を司る如来・菩薩たち」 も拝読させていただきましたが、尊格の名前は聞いたことがあっても、初七日から三十三回忌までの追善供養において、仏道に導いて行く役割が各尊格に与えられていることも初めて知り、大変興味深く拝読させていただきました。
今回十三仏真言について質問させていただいた理由ですが、真言宗様に宗旨替えするつもりで、
十三仏真言を読めるように練習したわけですが、墓地が見つからない為、墓地の空いている曹洞宗様にお世話になることになりまして、曹洞宗の在家勤行の練習をしておりました所、経典に
発菩提心真言、三摩耶戒、光明真言が掲載されておりましたので、せっかく練習した十三仏真言も
お唱えして構わないものか疑問に思い質問させていただきました。
単にお唱えして良いか否かという枠を超えて、各尊格の役割を知り、仏道に帰依する心がけこそ大事なのだと、私なりに解釈することが出来ましたので、おおいに質問させていただいた甲斐がございました。お忙しい中、大変詳しくご回答いただき誠にありがとうございました。
大慈様
この度は、お忙しい中ご回答下さいまして誠にありがとうございました。
「他宗派の信者が唱えても差支えないのでしょうか」の背景ですが、当初、わけあって真言宗様に
宗旨替えするつもりでおりましたが、墓地が見つからないため、曹洞宗様の墓地に移ることになり、
曹洞宗様の在家勤行の練習をしておりました所、3つの陀羅尼が真言宗様の真言と同じでしたので、
せっかく練習した十三仏真言もお唱えして構わないものか、疑問に思い質問させて頂きました。
ご回答を拝見させていただき、やはり曹洞宗では曹洞宗の作法に則ったお唱え方をするべきだと、
納得致しました。お墓や仏壇を継ぐのも私ですので、他者に気兼ねすることは無いのですが、
作法を正しく守り、気持ちを込めて供養していく所存でございます。
お忙しい中ご回答していただき、重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。