人間の中の最も力となるこころとは、己なき力です。
この心身は元々自由だったのです。
ある頃から急に自分の何かが失われるような感覚を恐れるようになったのではないでしょうか。
いつの頃からか、この心身を過剰に自分だ自分だと思い込むようになったのです。
人間は本来が無自覚、無我、無エゴ、無自己です。
ところが、私は私は私はという人間界の洗脳教育によってこの自身はもちろん自身ではあるのですが、過剰に自分を認める事でマイルール、マイワールド、マイストーリー、マイビジョンが色濃くなっていくのです。
その結果、自分のルールに反する事や自分の世界観からズレたことが起こると感情的になったり、喪失感に縛られたり、ガッカリ感に支配されるようになる。
自分の想い通りにならなかったということにいらだちや悲しみを持つようになるのです。
だから、仏道においてはリセットという訳ではないですが、自己の本来の様子に立ち返るためにも、私を用いない。
ここであなたがお話しなさっている事は、みな、上記のような「マイワールド」越しに眺めた世界であるという事に気づいていただきたいと思います。
だれでも、自分の想い通りになってほしいものです。
ところが現実はそうではありません。
他人様も思い通りにならない。
自分の体ですら想い通りにならない。
それがこの世の根本。大前提。
大きな川の流れは自分の力でかえる事はできません。
改めてみませんか？
新たに改めてみませんか？
過去の自分も自分の思い方も全部捨ててしまいましょう。
改めるのです。
すべては全自動更新な世界です。
この自己とて全自動更新。
その更新されている世界こそがこの世の本当の姿なのに、人間はわたくしエネルギーの強さによって執着が生まれるのです。
あなたの執着は「自分の」という想いを一度、完全になくする事で改められます。
人間のするべき事は多くは決まっています。
生まれて、成長して、よき伴侶をみつけて、子供をそだてて…
ある程度人間の王道的なあり方があります。
あなたがだれかのかけがえのないよき伴侶となるべく女性としての高めるべきことを高めてみましょう。
難しいことはしなくてよいのです。
一度自分に完全敗北してみましょう。
再スタートは自分の不完全を完全肯定する事からです。
自分の非を責める事よりこのままでは駄目だと認める力。向き合う力を持ちましょう。

丹下　覚元（たんげ　かくげん）

安穏寺 （天岑寺）

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