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衰退する地方で生きていくにはどうしたらいいですか

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数年前、大学を卒業しました。当初は都会の会社に就職するつもりだったのですが、一人っ子ですので、どうしてもという家族の懇願に負け(その他でも様々な理由があるのですが)、なかば強制的に地元に帰ってきました。いま思えばあのときに親を捨ててでも思い切って都会に出るべきだったと思います、タイムマシーンがあったらそう言ってあげたいです…

ですが、やはりこのまま過疎が進む地元にいて未来はあるのかな…今後死ぬまでこの土地に住むのかな…地元と心中するのかな…と思うとお先が真っ暗に思えて、なにもかもが嫌だなと暗くなってしまうのです。地元を好きになろうとがんばりたいのですが、新聞やニュースでそういう地方の暗い内容を見るともうウワーーッとなってしまって…。県外に出た、もしくは都会に生まれた他人や同級生を羨んでばかりです。

最終的に地元に帰る決断をしたのは自分ですが、後悔が消えないです…。一人っ子に生まれたことやこんな過疎化が進む地元に生まれたことって…理不尽だと思います…せめてきょうだいがたくさんいたらなぁ…地元がもっと未来ある土地だったらなぁ…たらればばかりですね…親のバカ!!!という気持ちです、八つ当たりだ…私もういい年なのに…

とりとめのない文章になってしまいました。
お坊さんにお聞きしたいのは、①どんな心構えでいたら衰退する地元を悲観せず暮らしていけるようになるか②自分の希望に反して地元に戻ってきてしまったのも縁なのか③他人を羨まないためにはどうしたらいいか ということです。三つ全部でなくてももちろん構いません、ぜひ、お答えいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。


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お坊さんからの回答 4件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

悲観はしても厭わない

私の出身地も過疎過疎アンド過疎なド田舎です。

学生の頃は一般職に就き、自分がどこまで通用するか試したいという野心もありました。
ぶっちゃけお金儲けを目指すなら、相場の高い東京・名古屋の中心部に車で通える『程よい田舎』に拠点を移し、葬儀社さんと提携して仕事もらった方がはるかに儲かるでしょう。

でも、私には私が生まれるより何百年も前から一緒にお寺を護持してきたお檀家さんがいます。幸か不幸か私はそのお檀家さんを裏切れる人間に育ちませんでしたし、そんな自分にプライドを持っています。地元という船が沈んだら昔の艦長よろしく最後の1人として退艦するか、その時の年齢によっては運命を共にするかです。

だから私も半分強制で半分自分の意志でしょうね。

その上でどうするか?
①悲観しなされ。悲観するからこそ、何とか解決しようと動けるものです。いや、動くというのはなかなか難しいことではありますが、少なくとも動く人の邪魔をせずにはいられます。ハッキリ言って、何とかしようとしている人の足を引っ張る人は決まって、現実から目を背け、危機意識が欠落している人です。そんな人の割合が多ければ多いほど過疎地は悪循環になり、若者に負債をブン投げるだけです。悲観できる人の方が健全です。

②そりゃあ縁でしょう。私だって生まれたくてお寺に生まれたわけではありません。高校生の時なんか進路指導の時間が大っ嫌いで、将来の夢を書けという紙に「私に職業選択の自由はありません」と書いて提出しました。
でも結局、『自分の思い通りに出来ないと確実に不幸になるという先入観』でしかありませんでしたよ。お釈迦さまはこう言っています。「この世界は思い通りにならないものです。思い通りにならないということ自体を受け入れた人は、苦を離れるでしょう。でも、思い通りにしようと思い続ける限り、苦の輪廻から抜け出すことは出来ません」

③何事にも一長一短があります。私たちはその一長一短のどこに目を付けるかという癖によって、どこで何をしても「思い通りにならない」 を生んでいると知りましょう。字数制限のためこちらの私の回答をご覧ください。
https://hasunoha.jp/questions/20169

①と②③で矛盾したことを書いているようですが、そんな逆ベクトルの思いを矛盾させず持ち合わせることで私は腹をくくっています。

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おきもち

曹洞宗副住職。タイ系上座部仏教短期出家(捨戒済み)。仮面系お坊さんYouT...
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あなたがご判断なさって

拝読させて頂きました。
あなたがそう思うのももっともかもしれません。ただあなたが選択したことであなた自身には責任もありますし、あなたがそうご判断なさったことでお喜びなさってくださった方々も沢山いらっしゃることでしょう。
ただどうしても諦めきれないならばやはり再度お考え直して都会での生活しますなさっても良いとは思います。
私は高校を卒業してすぐに東京で生活しました。約20年生活しましたが、人が多いので通勤は大変でしたし生存競争は大変でした。勝ち組負け組など愚かな表現で追い立てられて生きていましたから常に精神疾患を抱えて生きていましたね。
別に比較するわけではありませんが、田舎はのんびりしています。通勤や仕事で死ぬまで追い立てられられるようなことはあまりありません。そして生活費が安いですし、食べ物も安くて美味しいです。東京では食べられないものも沢山あります。
確かに一流の食材や品物は東京に行くでしょうが、一般庶民には無縁ですからね。

一度都会に行けば嫌でもわかります。
都会の良さや悪さ。
田舎の良さも。

あなたがこれからの未来ご自分でしっかりとご判断なさって羽ばたいていかれますようにと、そしてお健やかな毎日を過ごして頂きますようにと切にお祈り申し上げます。

どうか頑張ってくださいね。あなたを応援しておりますね。

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おきもち

Kousyo Kuuyo Azuma
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラ...
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本気でやりたいのなら、きっと親は反対しません。

 あなたの悩みのポイントは、「田舎に居続ける」という選択を行っているのに、その選択を、自分以外の意志であったかのように書いていることです。
 どこかに、本当は都会に出てみたかった、という思いが残ったままでは、この悩みは解決しません。

 それでいて、最後の、3つの聞きたいことの中に、「もう一度都会へ行く」という決断が出てこないのが、少し不思議です。本当は、その場にとどまっていたいという思いもあるのでは?

 たとえば、「数年間」という区切りをつけるなり、いろいろな理由をつけて、一度都会へ出てしまえばいいのだと思います。そうしないと、過疎化の地元をどうしたらよいか、という点も、見えてきません。
 「希望を通せなかった」という点も、「他人をうらやましがらないように」という点も、一度自分で経験すれば、あっという間に解決するのではないでしょうか。

 都会の水が合うかどうか、行ってみないとわかりませんが、どちらにしても行ってみないことには何も始まりません。
 親御さんも、子供に、どうしてもやりたい、という意思があるのなら、きっと応援してくださるはずです。それが愛情というものです。

 離れていても、親孝行はできます。もし、都会に行くという大きな決断をなさるのなら、その点だけは忘れないでください。 

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おきもち

佐山拓郎
浄土宗の佐山と申します。 浄土宗教師の資格を得たあと、10年間のサラリー...
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そもそもなぜ人類が世界の隅々まで来たのか?

そもそも、なぜ田舎にまで人類がやって来たのか?
やはり、食べ物や安全を求めてでしょう。
大河ドラマ「女城主直虎」では、戦国時代に住む主人公達が、「隠し里」に避難していました。怖いお殿様である今川氏などにみつかっていない秘境で田畑を密かに作り、税金逃れをして、自分たちの食べ物や身の安全を確保したのです。

日本の田舎というのは、自然豊かで、農業インフラも整備されています。
都会でも田舎でも、日本に暮らしいてれば飢え死にの心配はないし、清潔な水もたっぷりあります。

一方、海外では、飢餓で亡くなる人達がたくさんいるし、清潔な水にありつけず、渇きや感染症で苦しむ子ども達がたくさんいます。
地球全体では、何秒に1人のスピードで飢え死にしているのです。

おかしいですよね。日本では、お米を作りすぎても利益が出ないからと、用水路なんかもりっぱに整備された田んぼを、たくさん休耕させている。
なのに地球規模では、食べ物も水も足りない。

日本の田舎は宝の山。
海外の人達から見たら喉から手が出るほど欲しいエリアなのです。
また、日本は人口が減っていますが、地球全体では人類が増えて食べ物が足りない。
是非、人類全体、地球規模の視点を持ってください。
日本の田舎は、地球規模では豊かな都会。
人類規模でみたら、日本の田舎の価値は右肩上がりです。

で、未来はまだまだこれから選べます。
田舎が嫌なら自分で決断し、都会に出ることもできます。
他人のせいというのは自分のプライドの煩悩を守るいいわけかもしれません。
結局は自分で選んだんだから。

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おきもち

がんよじょうし。浄土宗教師。「○誉」は浄土宗の戒名に特有の「誉号」です。四...
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質問者からのお礼

お礼が遅れて申し訳ありません。みなさま、こんな甘えた質問にお答えくださりありがとうございます。とくに悲観はしても厭わないというお言葉になるほどと考えさせていただきました。地元をよくするのか?東京に出て不安定でもしたいようにやるのか?自分と折り合いをつけて将来を考えたいと思います。

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