過去の自分が恥ずかしい
お坊さん初めまして。
悩みを相談させてください。
私は高校生くらいから20代半ばまで、何の根拠も無く、美人でも秀才でも無いのに、自分が人より優れていて魅力的で特別な人間であると思い込んでおりました。
自分は周りの皆から好かれていて、人気者だと勘違いしており、いつも注目を浴びて話題の中心にいないと気が済まないタイプの人間でした。
自分は主役、周りは脇役という感覚でしたので、相手の気持ちを考えず軽視し、思いやりに欠けた言動を取ったり、自分勝手なことばかりしていたと思います。
しかし「皆から好かれている」というのは、完全に私の勘違い、妄想で、裸の王様状態でした。
周りがチヤホヤしてくれていると思っていたのは、ただ周りが私に合わせてくれていただけか、面白がってからかわれていたのだと思います。
その事に気づいたのは30歳手前の頃です。
全てを察したときはショックでしたが、気付けたことは良かったと思っておりす。
今は、自分は人よりも劣っており誰よりも愚かな人間であるとさえ認識があり、人への接し方も全く変わりました。
なぜあんな嫌な性格になってしまったのか、そしてあんな振る舞いや言動をしていたのか分かりません。
本当に当時の自分に腹が立ちます。
今は結婚して子供もいますが、日々の生活の中でふとしたことで当時の出来事が蘇り、自分のとった言動を思い出しては、きっとバカなやつだなと思われてたんだろうな、などと考え顔から火が出るほど恥ずかしくなり、またその時に接していた相手の方に対する申し訳無い気持ちとでいたたまれなくなります。
過去の事を悔やんでもしょうがないのですが、気持ちの整理がつかずに苦しいです。
私はどのように生きていけばよいでしょうか。
心の持ち方などを教えて頂けたら幸いです。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
夏が夏であると知ったものは移り変わる四季を生きる
『蟪蛄(けいこ)春秋を知らず、伊虫(いちゅう)あに朱陽(しゅよう)の節を知らんや』
という言葉があります。
『(夏しか生きられない)蝉(セミ)は春と秋を知らない。 ゆえにこの虫は夏が夏であるということも知らないのである。 』
という意味です。
自分の狭い世界しか知らない者は、より広い世界を知る者から見れば、その在り方は空しく寂しいものです。
狭い世界にいることは知らないで済むことを知らないでいるという意味では楽な面もあるかもしれません。しかしその楽さはやはり本当の満足ではないのでしょう。
そして、広い世界を知ることは逆に苦しく辛い事も多々あるでしょう。見たくもない物を見なければいけない時もあることでしょう。そかしその苦しさ辛さの中に実は本当の満足が見出されてくるのではないでしょうか。
>「気付けたことは良かったと思っております。」
とおっしゃる様に、あなたは気持ちの整理がつかずとも本当のことを知れたことには満足していらっしゃることと思います。しかし本当のことと向き合うのが人間また難しいものです。
なぜならば心というものはコロコロと移り変わるからです。
当時のあなたがそのような行動しかできなかったということが思いのままにはならなかった様に、今のあなたの心もまた思いのままになりません。
過去も心も何もかも私の思いを超えた縁(えん)によって条件づけられているものだからです。条件が変われば結果は変わります。様々なご縁の中で見え方も振る舞いも変わってくるでしょう。
当時そのようにしかできなかったこともいただいたご縁によるものです。いたずらに過去の自分を責める必要はありません。
同窓会などの機会があるならば過去の自分は嫌な奴だった、恥ずかしいし申し訳ないと素直に認めるのも一つの向き合い方でしょう。
すなわち、広い世界を知ったあなたが今これからどのように本当のことに向き合ってくのかということです。
向き合う中で浮かんでくる感情は秋の空の如く縁によって移り変わるものです。大事な事はどう感じるかということよりも、向き合うという行為でしょう。
いただいたご縁にケチはつけられません。いただきものは大事に扱い、活用するのが一番でしょう。
あなたはあなたのご縁を生きる。ご縁によって今がある。それだけです。
拝読させて頂きました。
あなたがそのようなお考えに至られたことは素晴らしいことかと思います。逆にあなたが今まで様々な人との交流を深めていく中で身をもって体験して自分自身を見つめ直す機会が得られて自ら考えることができたからこそそこまで至ったのではないでしょうか。
人間ですからふとある時我に返って見つめ直すとなんと自分が愚かな存在なのか、今まで愚かな考えで行動していたか気がついて、顔から火が出るほど恥ずかしい思いをすることもあるのです。
それは経験して身をもって感じなければそこまで至ることはできないかと思います。
ですからあなたは着実に人として成長なさっていらっしゃるのです。
ですので決して恥ずかしいことでもないのです。
よくよくあなたの周りの人達を見回してみるとそして観察してみるといかに自己中の裸の王様がいらっしゃるかわかりますよね。
人のふり見て我がふり直せですからね。
あなたがこれからもそのような謙虚な姿勢で人としてご成長なさっていかれますように、ご家族の皆さんや親しい方々とお互いを尊重しあいながら仲良く生きていかれますようにと心よりお祈りさせて頂きます。
質問者からのお礼
お忙しい中、ご回答頂きありがとうございました。
今まで自分を許せず、責めてばかりおりましたが、その時の自分の性格は縁により形成され、そのような行動を取ってしまっていたので、仕方の無いことだったと思うことで少し心が軽くなりました。
今頂けているご縁を大切にして、そしてこれからも良いご縁に恵まれるよう、過去の過ちを悔い改めつつ謙虚な姿勢で精進して行きたいと思います。