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怒りについて

回答数回答 2
有り難し有り難し 21

宜しくお願い致します。
今回怒りについての質問があります。

仏教では怒りはいけないものであると定義されていますが。

そもそも現世を生きる人間全て(仏教を修行する者ではなく、望まぬ仕事をしてでも生活費を稼ぎ何としても自分や子供達を生かしておきたいと思う)が人生で怒りを持たずに生きて行く事は可能なのでしょうか?。

怒りを抑える〜我慢する事は可能なのかもしれないと思うのですが、怒らない事はかなり難しいのではと考えてしまいます。

なんと言うか、それが出来た時点でその辺で必死にもがき生きている(私の事です)凡俗?では無いのでは...と考えます。

元来怒りっぽい性格なので、怒りを外に出さずに抑えよう、表さない様我慢しよう、怒っても声を荒げたり手を振り上げたりは絶対しない等の思いは強く持っていますが、そもそも怒らない事が可能かと考えると...無理では無いかと思っています。

先日家庭の中で、怒りを我慢する事が大切なのか、そもそも怒る事が間違いであるから一切怒らない様にしなければならないのかと言った話合いをした事もあって、お坊様のお考えを教えて頂きたくなり質問させて頂きました。

アドバイスを宜しくお願い致します。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

怒りはストレスの原因になる「煩悩」

怒りは煩悩の一種です。
煩悩は、ストレスの原因になる悪い心です。
もしも怒り・悲しみ・嫉妬・恨み・ケチなどの煩悩がなければ、明るく穏やかな毎日を過ごせるはずです。
とはいえ、怒りが完全に無くなるのはかなり修行を積んだ聖者です。
たとえば、お釈迦様の側近の弟子であるアーナンダ尊者は、お釈迦様の晩年に、お釈迦様の死期が近いと知って悲しみました。悲しみも怒りの仲間(現実を嫌だ!と拒否する煩悩)ですね。
お釈迦様は、アーナンダ尊者に無常を説き(誰でも死ぬのが普通だから)悲しむなと諭しましたが、アーナンダ尊者が完全に悟って怒りの煩悩を滅ぼしたのは、お釈迦様が亡くなった後です。
毎日お釈迦様の説法を聞いていたお弟子さんでも悟る(煩悩を滅する)のは難しいので、我々が怒りの煩悩を無くすのは難しいですね。
ただ、おっしゃるように、怒りを制御すること(怒りを素早く冷ますこと)は比較的簡単です。
仏教には、怒りを制御するテクニックが多々あります。
慈悲の心(他人を可愛いやつだと慈しみ幸せを願う)をイメージしたり、念仏等に集中して感情を素早くリセットしたりすれば、怒りをマネジメントしやすいですね。

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怒りを分析してみよう

 怒りを何とかしなければいけないと思えているのですから、けっこう楽に上達すると思います。
 一番すごいのは、怒りが心に沸いた瞬間に、これは怒りだと素早く気づいて、やめようと決めて、怒りが静まるまでは何もしない、何も言わないでおいて、落ち着いて怒りがなくなってから、「あなた、あれはこうすべきだったんじゃないかな?」などと、怒りなく物事に対応することでしょう。もぐらたたきゲームみたいに、負の感情が起きるたびに、ぴたっと止まるのです。これができると大したものです。
 いきなりそういうことにならないでしょうから、怒りをそれが沸き起こるたびに分析してみると、落ち着くと思います。
 まずは、自分に対する怒りか、相手に、あるいは周りの不特定多数に対する怒りか。自分に対する場合は、自分で何とかすべきで、相手や周りにまき散らすのはやめる。不特定多数に対するものも聞かされる相手は堪らないので我慢する。相手に対するものだけ、しかし怒りが収まるまでは何もしないで、後から、「あれはどうなの?」と怒りなく対話する。これも、ソーティングゲームみたいに、まずは素早く仕分けをして、せめて正当?な怒りだけまき散らすように工夫するのです。
 そのうち、怒りが抑えられるようになると、そもそも、怒らなくても問題対処できる、怒らない方が問題対処が素早く的確にできると気づいたら、ばかばかしくなって怒らなくなってくると思います。
 怒りがあると自分の仕事がうまくいかなくて、怒りがないと、うまく社会活動できます。世俗の生き方を活性化させているのは、怒りではなく欲です。怒りは聖なる世界だけでなく世俗でも、ただ、捨てる方が得です。欲は、聖なる世界ではそれさえも消そうとしますが、世俗ではそれが活動のエネルギーの一つです。
 怒りに、まず気を付けるのが正解だと思います。
 お坊さんがいろいろ怒りについても書いていますが、その最初にして最高の内容が、スマナサーラ長老の『怒らないこと』シリーズです。これは読む価値があると思います。他のものはみな、後からのパクリなので、二番煎じです。

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初期仏教というか仏教本来の教えを学びつつ、その在家信者のあり方から見た日本...
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質問者からのお礼

アドバイスありがとうございました。

怒りは何も良い事をもたらさない、コントロールは必須と再認識できました。
本当は“怒らない”がベストなんですが、凡俗な自分には中々難しいなと。

スマナサーラ師の書籍を注文してみたので届き次第じっくり読んでみます。

本当にありがとうございました。

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