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仏教·真言宗においての「信じる」とは

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有り難し有り難し 11

私の祖母は真言宗の檀家でとても敬虔な人でした。

そんな祖母が亡くなった際、私に残した手紙にこんなことが書いてありました。

「貴方にとって信じるという行為は命を投げ出す様な恐怖があることでしょう。でも貴方により善く生きて欲しいから、私は信じることをして欲しいと思っています。臆病にならず勇気を持って何か一つを信じてみなさい。それが難しいというのなら、真心を持ちなさい。真心を持って大切な人と接しなさい。そうすれば多少マシには生きれるでしょうから」

2ヶ月後祖母の一周忌になります。毎週末未、近くの真言宗のお寺に行って形だけかもしれませんが、感謝を伝えてみたり、祖母がしていたことのマネをしています。ですが未だに私はこの信じると言うことがわかりません。正直、仏様の存在もあまりよくわからない状態です。

仏教や真言宗において信じることはどのようなことをもたらすのでしょうか。また真心を持つと言うことでなぜ大切なのでしょうか。祖母の言葉の意味がわかれば少しは変われるような気がします。

ご回答よろしくお願いいたします。

2024年7月1日 14:17

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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

信じるとは他人を信じることではない。

祖母様のお手紙は深遠です。
おそらくお孫さまの珠沙さんへの人生の迷い道が生じたときに振り帰ることができる初心を忘れない大切な心の支えとなるでしょう。
真言宗かぎらずですが、他力も必要な世の常ですが、頼ってばかりの人生では自身に意味を見出せないことでしょう。
仏教の開祖である釈迦は亡くなる前に、弟子たちから、「お釈迦さまが亡き後、わたしたち弟子は何を頼りに生きていけばいいのですか?」と聞きました。
釈迦は「わたしの今まで教えた真理の教え(法)と、学んできた自分を拠り所にしなさい(灯)」
といいました。
これは、有名な
・自燈明(じとうみょう)
・法灯明(ほうとうみょう)
というものです。ネットでたくさん出てきます。

自分を信じることは、とにかく難しいです。それは煩悩と欲によって本来もっている種子(仏に成る可能性)を覆い隠しているからと説くのです。
日々、人は迷い、選択の連続を生きています。
迷いは仏教では苦しみの根本と説きます。この迷いを(無明)といい、心に明るさが無いことをいいます。心を灯す光があれば、心を照し続けるので、迷わないです。
悲しいとき、苦しいとき、大好きな人との別れ、嫌悪感、憎しみ、辛さなどなど、そんな時は心がどうしていいのか彷徨っています。それを心が暗いと例えます。
その心に光を持つことを「智慧」といいます。本来、知恵とは頭ですが、仏教は心のチエとなるので、この智慧を使います。

『大日経』という真言宗が根本にしている経典(お経)に、【如実知自心】(にょじつちじしん)と説きます。弘法大師(空海)もこちらを根本に説いていきます。
この如実知自心とは、字の如く
・如実=ありのまま
・知=知る
・自心=自分の心の相(すがた)
ということです。
自分のことは、自分がよく知っているともいいますが、可能性は無限であり、学べば学ぶほど知恵・知識は高まり自分は高まっていき、自分を超えた自分が見つかります。
文字数に限りがあるので、簡単には説けない理ですが、自分を信じることは人を救い、人から信頼を得られる人に成っていきます。
鏡を通じて、自身を見ると「先祖から祖父母、父母のDNAから成る」顔には面影が出てきます。先祖たちは仏さまです。その仏の親族である珠沙さんは仏の子です。
祖母の深い人生を珠沙さんがこれから歩む人生経験によって手紙の重みを感じていくこととなります。

2024年7月1日 16:02
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質問者からのお礼

お返事遅くなってしまいすみません。

丁寧に回答して頂きありがとうございます。言葉にするのは難しいですか、祖母が亡くなってから私自身の人生を歩むというものがわからなくなっていました。ですがお言葉を頂き、なんと言いますか視界が明瞭になった様に感じます。これからは自分の人生を見つめ、今より幸せに生きていけるかもしれません。

「仏の子」という言葉は肩の荷を軽くしました。きっと頂いたお言葉はまだそれぞれ解釈の余地がありそうですが、少しづつ考えていこうと思います。

本当にありがとうございました。

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