自分の寺と他の寺の後継者問題について
私は現在、40代独身で、地方の田舎寺で住職をしております。
親の跡を継ぎ、20代で仕事をやめ、本山での修行を終え、僧籍を取得後、何もわからない状態でお寺の世界に入りました。
元々父方の祖父母が寺をやってまして、その後は父が継承し一人でやってましたが、その父も途中病気にかかり、頼むからそろそろ継いでほしいと頼まれたのがきっかけでした。
母は檀家の紹介の見合いで寺に嫁いできて、私と姉が産まれ、結婚後は祖父母と同居しながら檀家の対応までやってましたが、慣れない子育て、田舎暮らしや檀家の突然の訪問などが重なりうつ病にかかってしまい、見かねた父が寺からかなり離れた場所に家を建ててそこで暮らしてました。
私も姉もそちらの一般住宅育ちで寺とは全くの無縁な生活をしてました。
そちらで就職してしばらく働いたのち、寺を継ぐことになったため、姉も仕事をやめ、現在一緒に寺を手伝ってもらってます。
実をいうと、私も寺を継いだものの、人付き合いが元々好きではなく、葬式での檀家との付き合いなどが毎回大変で、精神的に参ってます。
私も姉も独身で、今後結婚は難しく、60ぐらいで還俗し、他人への継承を考えてます。
幸いなことに檀家数は400件前後(近所の住職無住寺を複数兼務でやってます)いて、経済面での苦労は全くありません。
実は、ほかに懸念していることがありまして、私がほうるいになっている近所の住職のお寺の跡継ぎがいません。結婚してても子供がいない寺と独身の高齢住職の寺があり、両者檀家数は150件前後なのですが、そのあとを私にやってほしいみたいなことを言われてます。
書類上、私がその寺のほうるいになってるのですが、私自身の寺の檀家の対応だけでもう精一杯で精神的に参っており、これ以上はとてもじゃないができません。
近所の独身の高齢住職がそろそろあぶなく、一番若い私がその寺の檀家の対応をまた兼務で押し付けられるような感じになってしまうのではないかと心配でなりません。
本来ならその住職が跡継ぎをなんとかしておきべきなのですが、もう高齢化で仕事もできなくなりつつあります。
私の寺は、あと10年くらいしたら本山か宗務所に声をかけて次の跡継ぎ候補を探してもらい、60前には住職を辞めて、姉と寺を出ていこうと思ってます。
高齢住職の寺とはもう関わりたくないのですが、どうしたらいいのでしょうか?
お坊さんからの回答 4件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
人生なるようにしかならない。ご自身の務めと生き方を大切に。
一人で全ての寺の護持や法務をしていくのは、大変なことだろうと思います。私も代務寺を抱えていますが、田舎は継職問題もありますよね…。
肉体的にも限界がありますから、自坊が抱えていることだけで精一杯であることは先方に伝えていかないとですよね。
お寺のことは、住職だけの判断では決められないと思いますよ。総代など寺役がいますでしょうし、宗教法人は住職(代表役員)と責任役員がいるはずですので、協議して決めていかねばならないことだと思います。
老僧さまのお寺の問題は、あちらの住職と責任役員でお決めになられること。老僧であっても住職なら、その責務があるかと思います。早めにこちらの事情を理解いただいて、あちらの問題は手放される方がいいでしょうね。
ご自坊の問題も、日々の勤め以外に、心休まる時間をしっかり持ってくださいね。お寺は休日もないような務めですから、心と体のバランスを保たないと心身が疲弊してしまいます。住職は重責でありますが、プライベートも大切になさってくださいね。若い頃は、突っ走ってこられても、これから回復力も落ちてきますからね。私も実感してしていますよ。
人生なるようにしかなりません。ですから、ご自身の務めと生き方を大切になさって、次の世代の意欲ある方へ引き継いでいきたいですよね。私のお寺も、そのようにするしかないだろうなと考えているのですよ。
お坊さんになりたい人は意外といる
このハスノハにも、お坊さんになりたいという人からの質問がたまにあります。
しかしその多くは、師僧探しに苦労していると思われます。
ですから、後継者を求めているお寺、しかも経済的に食べていけるお寺であれば、「住所候補を募集します」という内容で求人等を出せば応募はあると思います。
もちろん、所属宗派を通じてご同業を紹介してもらうのも効率的です。
人付き合いが苦手なのは理解できますが、後継者(弟子)を育てることはいずれはやらなきゃならないお坊さんの宿命ですし、仏教を次の世へ伝えることは僧侶の本懐でしょう。
ということで、経済的に不安がないお寺なら、本気で募集すれば何とかなると思いますよ。
速やかに宗派に相談しましょう
拝読させて頂きました。
あなたがそのお寺の対応をどうしようかとお悩みなさっておられることを読ませて頂きました。あなたのそのお気持ち心より受け止めさせて頂きます。
やはりその状況を宗務庁とう宗派の事務所に相談しましょう。合わせて県内の教務所の所長さんにも相談して対応を求めていきましょう。
あなたも今いっぱいいっぱいでしょうからできるだけ速やかに対応して頂ける方を推挙して頂き引継ぎしていきましょう。
これから一層跡継ぎが大変になっていく状況があると思います。ですから速やかに宗派自体に相談して対応してもらっていきましょう。
宗派から推挙して頂いた方がおてらにいしゃっるろことできますように、その方を檀信徒の方々が迎え入れて安心して寺院運営なさって頂けますように、あなたも安心してご自坊のお勤めに専念することできますように心からお祈りさせて頂きます。至心合掌
あなたは「よく、ここまで歩いてこられました」
20代での突然の継承。ご家族の複雑な背景。自らも寺育ちではなく、人付き合いも得意ではないなか、今や400軒の檀家を支えておられる。しかも複数寺院を兼務しつつ、姉君と二人三脚で歩まれている。
並大抵のことではありません。
多くの僧侶が辞めたくなる中、今日まで地道に務めてこられた。
その姿は、まぎれもなく仏法の実践者そのものです。
あなたの心が「もう無理だ」と感じているなら、それは尊重すべき“智慧”です
「これ以上はとてもじゃないができません」
「関わりたくない」
その言葉は逃げではなく、自分の限界を正直に見つめている証です。
仏教においても「自未得度 先度他(自らが岸にたどり着いていないうちは、人を渡すこともできない)」という教えがあります。
あなたが潰れてしまっては、結局、檀家も、寺も、誰も守れません。
「もうできない」という気持ちを慈しみの心でご自身に許してあげてください。
今のうちに、以下のような手を打っておくとよいでしょう。
宗務所へ正式に相談。
「これ以上の兼務は精神的・実務的に限界である」旨を、記録として残る形で伝えておく。
(口頭より文書やメールが望ましい)
「誰かが負担を背負い続ける構造を見直さなければ、寺全体が立ち行かなくなる」という共通認識を持つ。
あと10年で引退する旨を宗務所に伝えておくことで、「それ以降任せるのは無理」という空気を先に作っておく。
「あなたの寺」と「あなた自身」は同じではありません
今の日本仏教において、よくある誤解が「僧侶は寺を支えなければならない」という義務感です。
しかし本来、仏教は“個人の目覚め”と“共に生きる道”を探すものであり、
寺を支えることと、あなた自身の人生を大切にすることは、決して相反しません。
「私は60で還俗する」というご決意は、立派な仏道の一形態であり、誇るべき選択です。
最後に
姉君と共にこの道を、姉君とともに歩んでこられたということは、何よりの仏縁です。
寺を出た後の人生も、お二人で穏やかに、誰にもしばられず生きていかれることを、心から願っております。
もし今後、制度や立場でお困りのことがあれば、宗派外でも構いません。
どうか、一人で抱え込まずにお声をあげてください。
人生を穏やかな光に包まれて歩まれますよう、
心から祈念申し上げます。
合掌