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私は盗人です回答受付中

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15年ほど前の中高時代の友達(卒業以来疎遠)の気持ちを無下にしてしまいました。
彼女とは、中高の時共同でお話を作って楽しんでいました。この創作自体は2人だけのもので、SNSもほとんどない世の中。どこにも公開されなかった思い出。ここ最近になって、私自身病気を患いあまり将来長くない事を前にして、あの時の創作を形に残したいと思ったのです。
彼女へオマージュとしてオリジナルを作っていいか、と尋ねたところ、長らく返事がなく…私は熱を上げてしまい既に大量に描き出し公開してしまった。そしてようやく返信が来たと思ったら、元にして別のものを作らないでほしい。それは自分が持ちかけた話で自分だけのものだから。と言われてしまったのです。
でも、私はもう走り出してしまった。凄く楽しい気持ちでいたところに胸に刃物をさされたような心持ちの反面、私は彼女の気持ちを無下にしてしまった、過ちをおかしたという罪悪感でいっぱいです。私のものも含まれている、そしてオマージュなど似ている部分はあれど今私のオリジナルでやっているのに、どうして止められなければいけないのか。
世間体でいえば私が悪いのは一目瞭然です。
別の何かを作らなければ、この話は丸く治らない。でも、私はこれが、描きたいんです。
このまま過去の友人を押しのけて進み、この先それが発端で燃えあがって私は火だるまになるかもしれません。
私はこの悔恨のこる作品を抱えて進もうとしています。止めますか。世間から非難されて、しかるべきですか。

2025年9月16日 12:40

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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

二つの力がせめぎあい

あなたの胸の内には、二つの力がせめぎ合っているように感じます。
ひとつは「生きているあいだに、自分の心を表現し、作品を残したい」という切実な願い。もうひとつは「友人の気持ちを踏みにじってはいけない」という誠実さ。その狭間で苦しんでおられますね。

仏教の教えには「二種の真理(世俗諦と勝義諦)」があります。世俗の世界においては、人との約束や権利・秩序を大切にする必要があります。それを軽んじると、確かに非難や争いを招くでしょう。ですから、友人の意向に一定の配慮をすることは世俗的な道理として必要です。

一方で、勝義の真理から見れば、この世界のすべては縁起によって生じ、刻一刻と流れてゆく無常の現れです。あなたの中に湧き上がる「描きたい」という力もまた、かけがえのない縁の現れです。命の限りが見えていると感じる今、それを抑えつけることは、あなたの“仏性”=生きる力そのものを否定することにつながりかねません。

・どう折り合いをつけるか
ではどうすればよいか。僧侶としておすすめするのは「描くことは止めずに、執着を変容させる」ことです。

非公開で描く:仏道では修行者が経を写すように、誰に見せるためでもなく、自らの心を浄めるために描き続ける道もあります。

オリジナルに転生させる:友人との作品は「前世」であり、今生のあなたはそこから縁をいただいて、まったく新しい作品に“再誕”させることができます。形を変えれば、それはもう別の命です。

償いを込める:描いたものを供養のように扱い、「友人との縁に感謝して、この作品を世に送り出します」と心で祈る。これによって、罪悪感を浄化することができます。

・結び
あなたは「描きたい」と「友を大切にしたい」という二つの願いに苦しんでいますが、どちらも慈悲の心から生まれています。その心があるかぎり、たとえ世間から一時非難されても、仏の眼から見れば「誠実に生きようとする人」です。

どうか自分を責めすぎず、「創作は修行」と捉えてください。筆を取る一瞬一瞬が、あなたの命の証であり、友への供養であり、仏への礼拝でもあるのです。

合掌

2025年9月16日 12:52
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有り難し
おきもち

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仏教×対話×ビジネス。僧侶・理学療法士・プロファシリテーター。整うコンサルタント。仏教と対話で導く、リーダーのための内省と再構築。ビジネスという営みを通じて、人が本音と出会い、本来の個性で生きる場をひらいています。 ※お坊さん回答の中に「鈴木光浄」がおりますが当初諸事情がございまして私が回答したものでございます。そちらもあわせてご参照ください
職業柄、人生相談はこれまで多数受けてきました。 ぜひご自身の本音を出してください。向き合ってください。 私は伴走させていただきます。 理学療法士でありますので、これまで急性期から終末期まで患者さんを担当。 町の診療所から在宅までキャリアを築く。 2歳から108歳まで患者さん担当。 カウンセラー、コーチ、コンサルタントでもありますので メンタルヘルスから新規事業、マネジメントまで相談対応可能。 ビジョンワークはライフワーク。

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