目の上のたんこぶに回答受付中
今日も過去の質問からの続きで、今働いている福祉の仕事の話です。聞いてください。
ここ最近、新しく入所した利用者を一人任されました。
任されて実際に関わっていく中で、関係性が築かれていく過程がふと過去の仕事を思い出し、「そうそう!私がやりたかったのはこれなんだ!」とその利用者の関りを通して、今の職場へ出勤するモチベーションが上がりました。
ところが、最初の2週間だけで、その後はその利用者とほとんど関われなくなりました。理由は「施設全体をみていくのが我々の仕事」「人員が深刻に足りない状況」「新人は色んな部屋に入るべき」向こうの言い分です。ですが、心のケアが必要な利用者ばかりで、じっくり向き合う大切さはこの業界では当たり前ですし、他施設では一日の大半を共に過ごすのが全国のほとんどの施設での当たり前のやり方です。正直びっくりしました。あれだけ「利用者の最善の利益」を前面に押し出し、機関紙や社会福祉協議会などにも推している施設で、実際にその利用者と関われるのが一日0時間~長くて1時間半。あとの時間は他の集団の利用者の対応、雑務など穴埋め要員です。新人はまず業務を覚えろ!がここのスタンスなのに、いきなり利用者を任されました。この業界では利用者を任せる=1人前になった契約、みたいなものです。やっている事が矛盾しています。
その利用者に「なんで居るのに〇〇さんはこないんだよ!」と言われてしまいました。同じ空間にいるのに声もかけられない。そして熱が出て咳をしていたら「病人だから新人は関わってはいけない」とんでもないルールです。
そして色々溜まって、名誉施設長に「利用者の最善の利益というが、言っている事と実際の現場が矛盾している」と伝えました。それが管理者の耳に入り、
「なんか知らんけど(怒 ブツブツ」その後フル無視。目の上のたんこぶになってしまいました。私が伝えたかった事は伝わってません。何度か数人に自身の大切にしたい事を伝えましたが、「利用者一人だけみていればいいってもんじゃない」取り付く島もありません。 最近は正直、その利用者に目を合わせるのも申し訳なく感じます。友達に相談したら「もう利用者への心は忘れて割り切って仕事したほうがあなたのため」と言われました。大人に裏切られてここに来たのに、また私が裏切ってしまうかたちになってもいいのか。お坊様ならどう行動されますか?
お坊さんからの回答 2件
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
正しさと現実の狭間で
あなたの文面からは、深い誠実さと「人と心で関わる」福祉の原点を守りたいという強い願いが伝わってきます。
その思いが現場で通じず、むしろ浮いてしまう
それは魂の痛みに近い苦しみでしょう。
けれど、どうか覚えていてください。あなたの優しさは間違っていません。
1. 理想と現実がぶつかる場所に、学びがある
仏教では「正見(しょうけん)」
ものを正しく見ることを智慧の始まりと説きます。
あなたは今、理想と現実の“ずれ”を正しく見てしまった。
「利用者の最善」と「組織の効率」のあいだで揺れる苦しみは、
仏教でいう“二重の苦”
現実の痛みに加え、「こうあるべきなのに」という理想との落差から生まれる苦しみです。
見える人ほど、苦しみも深くなるのです。
2. 「心を忘れる」ことは、自分を失うこと
友人の「割り切ったほうがいい」という言葉も、あなたを守るための優しさでしょう。
けれど、あなたの仕事観は「人を支える祈り」そのものです。
その心を手放せば、確かに“楽”にはなりますが、“幸せ”にはなれません。
だからこそ、心を忘れず、壊れない工夫をすることが大切です。
3. 怒りの奥にある、悲しみを見つめて
あなたの怒りは、見捨てられる人への悲しみから生まれています。
釈迦はこう説きました。
「怒りの火は、まず自分を焼く」
怒りを否定せず、祈りに変えてみてください。
たとえば、「今日も一人の人を大切にできますように」と朝に唱えるだけで、
その怒りは“願いの灯”に変わります。
4. 僧侶ならどう行動するか
私が同じ立場なら、こう考えます。
現場に一人でも理解者を探す。 小さな共感が支えになります。
「正す」より「照らす」。 言葉ではなく、行動で“丁寧な関わり”を見せる。
「苦しむ自分」も救う対象とする。 あなた自身を責めず、労わってください。
5. 最後に
あなたが抱いた矛盾は、福祉だけでなく多くの組織にもあります。
それでも「一人を大切にしたい」と願うあなたの姿は、すでに“菩薩の道”そのものです。
どうか壊れることなく、「正しさ」と「優しさ」を両手に抱いて歩いてください。
その生き方こそ、あなたの中に宿る“仏”の働きです。
合掌
あくまで組織の従業員
日本全体が人手不足の時代なので、理想通りの仕事のやり方ができない時代なのです。
また、あなたは組織の中で仕事をしている従業員なので、意見を言ったり議論することは有意義ですが、最終的には上司の決断に従うべきです。
あなたが理想の仕事をしたいなら。そのような決断ができる立場まで出世するか、自分で事業所を開業するしかないのです。
また、上司はあなたの性格を見た上で、新人の段階で、あえて特定の利用者とベッタリになることを避けさせているのかもしれません。
組織としては、まずはあなたの可能性を評価するめに、色んなポジションであなたを試してみたいのかもしれません。
とにかく、組織の従業員である以上、上司の決断に従うのが仕事です。
あなたは労働力を組織に売ってお金をもらっているのだから、あなたの労働力を買ってくれている直接のお客様はその組織なのです。
あなたの高い志はとても素晴らしいと思います。
でも、プライド(こだわり)や怒りはストレスにつながるので、下手をするとプライドや怒りのストレスで心身の健康を害する恐れもあります。
あなたの理想を実現するためには、健康で長く勤めることが必要なのです。
2600年前にお釈迦様が真理を悟ったのは35歳。
鎌倉時代に法然上人が浄土宗を開いたのは43歳。
今は実現困難ても、修行を続けることでたどり着ける境地があるかもしれませんね。



職業柄、人生相談はこれまで多数受けてきました。
ぜひご自身の本音を出してください。向き合ってください。
私は伴走させていただきます。
理学療法士でありますので、これまで急性期から終末期まで患者さんを担当。
町の診療所から在宅までキャリアを築く。
2歳から108歳まで患者さん担当。
カウンセラー、コーチ、コンサルタントでもありますので
メンタルヘルスから新規事業、マネジメントまで相談対応可能。
ビジョンワークはライフワーク。