賽銭泥棒について
あるお寺で賽銭泥棒が捕まったことがニュースで取り上げられていました。お寺が設置した防犯カメラの映像も流れ、お寺の住職もインタビューに答えていました。
レ・ミゼラブルのミリエル司教のように、とは言いません。警察に通報し、引き渡すのも当然だと思います。もちろん、私が物を盗まれれば同じように対応します。
しかし、それをマスコミに取り上げてもらい、防犯カメラの映像を提供し、インタビューに答えることは、人の心の拠り所となる宗教家として正しいのでしょうか?
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
盗人に三分の利
私が東光寺の住職としてやって来た頃、東光寺にも常連の賽銭集金係りみたいな人が来ていた時期が有りました。本堂の前の欅作りの重い賽銭箱ですが、引き出しには鍵がかかっていてそれを開けるキーはそいつが持っていて、住職の私には開ける術がなかったのです。もとより一ヶ月たっても僅かしか入っていないのは分かってるので、そいつが来ても知らん顔していました。私の姿を見るとあわてて合掌して御参りに来てる振りをします。ある日その男が賽銭の集金にきて鍵をかけ忘れて帰っちゃたのです。可笑しくなって引き出しに細工して秘密のキーレス鍵を取り付けました。何処をどうやれば開けられるのか素人にはまずわからない仕掛けです。私はベテランの指物師ですからわけはありません。その次に集金にきた時、開けられなくて頭にきたのか賽銭箱が消えてしまいました。警察もきて探してくれましたが、賽銭箱の盗難ということになりました。数日後ペテロ神父さんがやって来て推理して東光寺山の斜面を探して見つけてくれました。重い箱を一人でどうやって持ち運んだのか。その後その男は見かけなくなりましたが、警察も常習犯の男として知ってる様子でした。回答になってませんが、泥棒さんとも楽しめることも有りますね。その賽銭箱は本堂前に今も鎮座していますが、以後泥棒にはやられません。
宗教家は泥棒さんの生活状況なども勘案して、痛めつけるようなことをしない方がお坊さんの精神衛生にも良いだろうと私は思います。
まつ子の知らないお賽銭箱の世界
んー…まず、観光寺でもない限り世間で思われているほどお賽銭箱の中は入っていません。ほとんどのお寺では『中身を全額持っていかれるよりも監視カメラをつける方が赤字』になります。最近の監視カメラは安い?それでも赤字になるレベルです。ひろさまも初詣や旅行先の寺社でお賽銭を投げることはあっても、地方寺院にお賽銭を投げることはほとんど無いのではないでしょうか?
ではなぜ監視カメラをつけるのでしょうか?実は賽銭泥棒で一番困るのは『箱を壊されること』です。今日日、木製の箱って高いんですよね…まして仏具関係は量産しないのでなおさらなのです…変に安っぽいものを本堂に置くわけにもいきませんしね。お坊さん目線でご質問を拝見すると、とんでもなく悪質な常習犯だったのだろうと考えざるを得ません。
敵意や恨み心は自分に返ってくるというのが仏教の考え方ですので、犯罪者はとにかく叩けという風潮には苦言を呈したいところですが、果たしてそれで言い切れる範囲のことだったのかなとも考えてしまいます。事情が分からない限りなんとも言えませんね。私はそのニュースを見ていませんが、お賽銭が多いお寺だったかもしれませんし。
さて、私の師匠が賽銭泥棒を捕まえたことがあります。後から警察から聞いた話、自動販売機荒らし常習犯の中年サラリーマンだったそうです。
よく賽銭泥棒は必要に迫られてやっているのだからやらせておけば良いという論調を耳にしますが、私は違うと私は思っています。なぜなら本当に困窮している公園住まいの方々は、堂々と玄関から「恵んでくれ」といらっしゃるからです。
情けないことに賽銭泥棒は子供の万引きと同じく、スリルもしくは遊ぶ金目当てにやっているのが現実です。余談といいますか、ボヤきです。
とらえ方は様々でしょう
はじめまして、ご質問拝見しました。賽銭(浄財)を盗むなどひどい人ですね。
ニュースを見ておりませんのでどんなインタビューかわかりませんが、そのご住職は賽銭泥棒をすると逮捕されると世間に知らしてくださいました。
ニュースに取り上げられる事で様々な意見は承知の上であった事でしょう。
またこれから賽銭泥棒など安易に考えはいけませんと言うメッセージも込められているように思いました。
寺の人間からすれば、皆さまからお預かりしている大切な浄財を盗まれるわけにはいかない、防犯対策をしっかりしなくてはとも思います。
宗教家はは犯罪者を見せしめのようにマスコミを使うべきではないとお感じになったかもしれませんが、それはひとそれぞれのとらえ方でしょうね。
私個人としては、防犯対策向上を考えさせられる質問を投げていただいた、ひろさんへ感謝申し上げます。
逮捕されても念仏すれば往生できます
仮に犯罪者が逮捕されても、南無阿弥陀仏と念仏すれば極楽に往生できます。
ですから、国の法律に反して犯罪者を見逃す必要はありません。
刑務所に入っても幸せに暮らせる心の持ち方を教えるのが仏教だと思います。
インタビューについては、自分からマスコミに売り込んだのか、インタビューを頼まれたのかはわかりませんが、頼まれたら断る必要はないでしょう。
ただし、お坊さんには、他人の罪を言いふらしてはいけないという戒めがあります。(宗派によって違うかも)
ですから、通報して、その人が法的に罪を償う手助けをするのはよいですが、おもしろがってむやみやたらに罪を言いふらすのは良くないでしょう。
犯罪のニュースを公表するのは社会的ルールとして仕方ないですが、
うれしがって言いふらすのではなく、法律だから仕方ないという心持ちが良いかも。
また、法的に処罰を与えたとしても、犯罪者に憎しみは持ってはいけません。
法的には見逃さないが、心では赦し慈しむべき。
お坊さんには、謝っている人には怒らず赦さないといけないという戒めもあります。
逮捕されても、一緒に極楽浄土へ向かうのです。