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相談を受ける際の心構えについて

回答数回答 1
有り難し有り難し 18

いつも心に沁みるご回答をありがとうございます。

今日、私の所属している団体の活動でボランティアで相談員を務めたのです。
相談者様のご質問に法律的なアドバイスをすることが求められるのですが、お一人の相談者様がご自分の抱えている状況についてかなり詳しくお話してくださったのです。

それは、伺っている私にも相談者様の苦しさが伝わってくるようなお話でした。法律的なアドバイスは的確にできたのではないかと思いますし、その方も納得してお帰り頂いた様子に見えました。

ただ、こういった経験が今まであまりなっかたので、お話を伺う上で自分の態度は十分だったろうかと反省しています。

できるだけ、自分の感情を動かされずお話されることをありのまま伺うように心がけてはいたのですが、つい結論を急ぐようなところがあったかも知れないと思うのです。

というのは、相談者様は法律的なアドバイスを受けるという以外に、ご自分の状況を秘密の保たれる誰かに聞いて欲しくて、相談会に足を運ばれたのかなと思えるからです。

普段、傾聴のスキルを磨く機会がないので、相談を受ける(人のお話を伺う)場合に、どのような気持ちで接したらよいのかお教えください。


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お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

相手がその人生の専門家であることを忘れない(編集追記済)

普段相談を受けている立場から、発言させていただきます。
(お礼文の内容を受け、回答を編集・追記させていただきました)

大切なことは、すでに葡萄茶さん自身が気付かれています。
相手の立場に立って、その気持ちに寄り添ってお話を聞くことはとても大切な基本的態度ですので、そのお気持ちはそのまま持ち続けていただければと思います。

*ここから先は、もう少し専門家向けの話かもしれませんので、肩の力を抜いてお読みください。
私は葡萄茶さんの実際の態度も言葉も見聞きしていませんので、「これでよかった」なんて無責任な発言はできません。少し厳しいかもしれませんが、それはご自身で振り返り、常に精進し続ける必要のあるもので、誰かに太鼓判を押してもらって終わるものではないからです。それが『多少なりとも人の人生に影響を与えてしまう立場に立った者の責任』だと、私は思っています。
継続的に誰かの相談を受け続けると、専門家であっても「自分が辛くなる」ことがあります。
これからも相談を受ける機会が多いようならば、真摯に振り返り、助言をしてくれる存在を探すことをお勧めします。
(相談を受けるのが今回限りなら聞き流してください)

また、どのような気持ちで臨めばよいか、という質問に直接的に答えるならば「相手が、その人生の専門家であることを忘れない」ということに尽きます。
法律であったり、我々であれば仏教であったり、心理学であったり、何かの専門家として頼られると、ついつい「相手の人生」にもアドバイスできると勘違いしがちです。そうではなく、「自らの専門性と、相手の人生を分けて考える」ことが大切だと思います。
難しい話ですが、「相手の人生にアドバイスできない」と思いながらも「無意識に影響を与えてしまう」ことに注意を払うことも、相談を受ける際の心構えの一つ(上級向け)です。

*ここで言っていることは『相談業に関する私の私見』です。葡萄茶さんの「今の」態度に対する評価ではありません。ご理解ください。

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有り難し
おきもち

本立寺の住職をしながら、臨床心理士として医療・教育現場で活動しております。...
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質問者からのお礼

高野光拡 様

ご回答を寄せていただきましてありがとうございました。
臨床心理士をされていらっしゃるんですね。専門家の方から回答をいただいて恐縮でございます。

もとより、誰かの人生にアドバイスするなどという厚かましい気持ちは持っておりません。
ただ、相談者の方のお話を伺って、私が動揺してしまったのです。
私も決して順調な日々を送ってきたわけではありません。
人並みにいろいろな「まさか」を経験してきたつもりでした。
けれど、その方のお話を伺って、自分は恵まれている、幸せだなと思いました。

この世は、思うようにならないことが多いですよね。
どうして自分が、こんな目に合うのだろうと人を恨んだり、嘆いたりすることがたくさんあります。
昨日は、その方のお話を伺いながら、身につまされたというか、もし自分がその立場だったらどんなに辛いだろうかと想像して苦しくなってしまったのです。
けれど、そういうことは一切申していません。業務の範囲のことしかお話はしておりません。

私が伺いたかったのは、それでよかったのかなということだったのですが。

高野光拡 様

重ねて丁寧なご回答を賜りまして、ありがとうございました。
いただいたお言葉は、折に触れ噛みしめていくことにいたします。

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