虫などの殺生をどうやって子供に説明したらよいですか?
むやみに命あるものを殺すことは良くないというのはわかっているつもりですが、ゴキブリや蟻などの虫に関しては、もし家の中に巣があれば、巣ごと無くなってほしいので、薬などを撒いてしまいます。
ただ、子供に、人間たちが不快だという理由で虫を殺してしまっている現実と、その一方で人や動物を殺してはいけないことを教えるのにはどのように伝えればよいのかなと考えました。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。
私ならこう説明します
この内容で悩んだことがありました。
キリスト教的な視点では、人間以外の命は人間のための命。
つまりは「割り切って殺していい」のです。
ですが仏教では「一切衆生 悉有仏性」
すべての生き物には仏性が備わっている。
草木成仏の教えになると植物も成仏の対象です。
生けるものはすべて平等なんです。
割り切って殺していいわけがありません。
ですが、私も寝る前には蚊のいなくなるスプレープシュ!ってしますし、ゴキブリが苦手なのでブ●ックキャップにはお世話になっています。
そんな現実の中で「子どもにどう説明したらいいのか」
私なら子どもにはこう説明します。
「むやみに命を奪っちゃダメです。これは絶対です。なぜならすべての存在は命を奪われたくないからです。なので命を奪うことは罪なこと。ですが、命を食べないと生きていけませんし、命を奪わないと快適に暮らしていけません。だから、自分のために命を頂くときは"いただきます"と感謝とおことわりをします。自分のために命を奪う時は"ごめんなさい、殺させてください"と謝ります。でも、そうはいっても罪は罪だから、その場合は他に善い行いをしましょうね。」
すべての命は仏さまの世界からの一時的な「預かり物」
自分のこの命はたくさんの命からの「授かり物」…
別々のものじゃない、だからこそ大切にしなきゃいけません。
子どもさんにはこう教えて頂けたら幸いです(^^)
映画「ブタがいた教室」
「ブタがいた教室」という映画をご存じでしょうか?
実話をもとにした映画で、賛否両論あるものです。
原作者である教師が、実話をもとに書いたものです。
原作者をモデルにした主人公を演じるのは、妻夫木聡さんです。
妻夫木くん(星先生)が、小学校で自分が担任するクラスの児童達に、ブタを育させる話です。ただし、「育てて食べる」という約束で。
しかし、児童達は、次第にブタをペットのように可愛がるようになり、年度末(ブタを食べる期限)が近づいた頃には、児童の間でも食べる食べないの大論争になります。
結末は、ご覧になってください。
お子さんと一緒にこの映画を見てもよいと思います。
仏教的には、相手の立場になって考えてみることが基本です。
虫の立場で考えてみれば、殺されたくないはずですからね。
しかし、生き物を殺さずに生活できないことも現実。
私達は、このジレンマを抱えて生きていくしかないのです。
ただし、悟って、輪廻転生から解脱したら(日本語でいう成仏したら)、殺すことも殺されることもなくなります。
だから仏教では、自分も悟り(成仏)を目指すし、他者の成仏も願うのです。
殺してしまった虫達が、せめて成仏して、殺し殺される輪廻転生から解放されるように、手を合わせ願いましょう。
質問者からのお礼
返信をいただきありがとうございます。
実は、質問を書き込んだ後で、こんなことを聞いてもよかったものかとちょっと心配でしたが、お坊さんも薬を使ったりすることがあるのだなと、とても興味深く読ませていただきました。
日顕さんの
「”割り切って”殺してはいけない」
というお言葉と、
願誉浄史さんの、
「他者の成仏を願う」
というお言葉が特に大変勉強になりました。
ありがとうございます。ブタがいた教室、見てみようと思います。