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仏教の教えー親孝行について

回答数回答 2
有り難し有り難し 32

はじめまして。最近仏教に興味を持ちまして学び始めた者です。
仏教に出会ってから少し生きやすくなりまして、今後も一層学んでいきたいと考えておりますが、どうしても1つ附に落ちない点があります。

『親孝行』についてです。

恥ずかしながら、親から逃れたくて海外へ飛び出てきました。
自分としては頑張ってきたつもりでしたが、正直なところ毒親二人にギブアップしてしまいました。

産んでもらったことには感謝していますが、現在は連絡をとっておりませんし、今後も実家に立ち寄ることはないと思います。

それでも親孝行すべきで、孝行していない私は親不孝ものですか?

仏教の基本的な考えに救われてはいるものの、”親孝行せよ”ーこのような記載を本やコラム等で見かける度に胸が苦しくなってしまいます。時折夢の中でも今だにうなされます。

今後どのような心持ちで過ごしていけば良いのか、生きる知恵をご教授願えませんでしょうか。宜しくお願いいたします。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

仏教と儒教

ご相談拝読しました。

毒親とおっしゃられることから推察するに、生まれの境遇においては大変なご苦労をなされたのでしょうね。そうした縁によって親孝行という教えについて引っかかりを持たれるのですね。

仏教本来の教えにおいては、生んでくれたというだけで感謝しなさい的な親孝行については説かないのではないかと思います。

親孝行とはもろに儒教の教えです。仏教が中国に伝播してそこで儒教の影響を多大に受けるわけですが、日本にもこの中国を通して仏教が伝わりますので儒教的なニュアンスが混じることは多々あるでしょう。

しかしながら、では仏教的には親孝行なんかしなくてよいかというとそうでもないでしょう。仏教はそうした囚われや偏りを離れる教えです。「親孝行しなければいけない」も「親孝行なんかしなくてよい」というのも囚われや偏りであって執着に他なりません。

では仏教的な親孝行とは何でしょうか。孝行、つまり仏教で言うならば善行とはすなわち覚りに近付くものを指します。

ですから、親が覚りからほど遠い存在であるならば近づけさせることこそが親孝行になりますし、親への感謝というのも、ただ生んでくれたからというものでなく、生を受ける事で仏教と出会う縁をいただけたからこその感謝という点を外さないものでしょう。

出家教団においては皆平等ですから親子という関係を超えて、同じく覚りを目指す一人の人間同士として出会い直していくこととなります。

在家の仏教徒としてもそこに親子関係のヒントがありそうです。感謝は無理にするものではありません。感謝とは生じるものでしょう。あなたがあなたの生を喜べた時、毒親でしかなかった存在があなたを織り成す縁の一つであったとして新たに見出されてくるのかもしれません。

これはあなたがご縁からいただいた課題なのでしょう。仏教を学びながらあなた自身を通してゆっくりと考えていきましょう。

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おきもち

はじめまして。北海道の片田舎の農村のお寺で住職をしております。 人生...
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あなたが生きることが親孝行です

拝読させて頂きました。
あなたが今お健やかに毎日を大切な方々と仲良く幸せに生きていらっしゃることが何より大切なことですし、何よりの親孝行ですよね。
人間誰しもが未成熟で問題も沢山あるものです。人間なくて七癖です。そしてそれぞれ生まれや育ち方により悪しき考えや価値観や行いをしてしまいます。
自分にとって悪縁は離れることが望ましいです。
ですからあなたにとって悪縁であるご両親様と離れることは善いことと思います。

あなたがこれから善き考えや言葉や行いをなさっていかれ、素晴らしい善きご縁の中で心豊かに安らかに、そして皆さんと幸せに生きることで充分かと思います。

あなたのこれからの幸せを心よりお祈りさせて頂きます。

そして宜しければぜひ合間に仏教を学んで下さいね。

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有り難し
おきもち

Kousyo Kuuyo Azuma
脱サラして10年が経ちました。栃木県佐野市の一向寺に勤めています。(佐野ラ...
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質問者からのお礼

早々にご回答いただきましてありがとうございました。

親孝行は儒教の考えーこちらについて頭の中で整理がついておりませんでした。儒教と仏教それぞれの観点からの考え方について、わかりやすく教えていただき勉強になりました。

”親との関係を学ぶことが今世の縁であり課題”だと考えれば、これから仏教を学んでいく中での楽しみの一つに変わりそうです。

時間をかけて書いて下さったことが伝わる心のこもった文章に感謝いたします。ありがとうございました。

>Kousyo Kuuyo Azuma様

ご回答いただきありがとうございました。

いただいたお言葉が胸にスッと入ってきて、何度も反芻しております。
もしかすると、”あなたにとって悪縁であるご両親様と離れることは善い”ーこのようにどなたかに言っていただきたくて投稿したのかもしれないだなんて思いました。
アドバイスいただきましたように、少しずつ善行をしていけるように努めてまいります。
優しいお言葉をかけてくださりありがとうございました。

追記:
仏教について学び始めたばかりですが、わからないことの方が多く今後もまたこちらで質問してしまうかもしれません。もしよろしければその折はまた御指南くださいますと幸いです。気のむかれた時にでも^^

こちらのサイトは実は数日前に知ったばかりですが、こちらで素敵なお坊様方とQ&Aを読んでくださる他の読者の方々、皆様とご縁があり嬉しいです。

「仏教全般」問答一覧

良い人・優しい人が損する理由

YouTubeのオススメに「良い人・優しい人が損する理由はこれです」みたいな動画があったので、とりあえず観てみました。その動画には「ブッダの教え」というサブタイトルが付けられていました。 優しさと思いやりが、いいように利用され苦しむ主人公の話でした。 その後、主人公が見つけた答えは、 ①「自己尊重と他者への尊重のバランス(自分自身と他人の間に健全な境界線を引く)」 ②「自分の気持ちや考えを尊重してもらえない関係は健康的ではないと理解しそのような関係とは距離を置く」 ③「支援や協力が真に価値を持つ場合にのみそれらを提供するようにする」 というものでした。 私にはとても良い話に感じましたが「我を無くす」から遠のいてるようにも見えて、この話をどこまで鵜呑みにしていいのか迷っています。 「ブッダの教え」とありますが、この動画に出てくる登場人物名や逸話をネットで検索してもそれらしいソースが見つかりませんでした。 (生きにくさを抱えた現代人向けの創作?) ここでお坊様方にお聞きしたいのは①②③は仏教的に見て、実行しても大丈夫な内容でしょうか。 またお坊様方の考えなどもお聞かせ頂けたらと思います。 よろしくお願いします。 補足です。 私は優しさ・善良さとは程遠い人間ですが、周りではよく聞く話だったので、このテーマに関心がありました。

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温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ