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寺を継ぐとは。私で本当によいのか

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こんにちは。初めて質問させていただく者です。拙文、長文ご容赦ください。

私は現在、実家の寺を継ぐために仏教系の大学で宗教の勉強をしています。将来的には僧侶となり、ゆくゆくは行政書士等の資格も取り、檀家様方のお手伝いをさせていただく心構えでした。
しかしながら、軽いうつを患い休学中、色々と思考を巡らせてゆく中で、本当に自分は寺を継ぐべきなのか、継いでもよいのかという不安が沸き起こりました。

恥ずかしながら、私は生まれながらに発達障害を持っています。そういう訳ですから(無論、全てが障害のせいであるというつもりはありません)、小学校時代から課題が出せない、時間、約束が守れない等、人が社会で生きていく上で基本的な事を上手くすることが出来ませんでした。幾度か改善を試み、精神科の先生にもお世話になっておりますが、完全に解決したとはまだ言えません。

元々いい加減な性分ですので、大学に進学するまでも、なんとなく漠然としか将来を考えていませんでした。それ故に、自分の思い描く目標が絵に描いた餅そのものではないかと気づいたときにはもう一回生の終わりに近づいていました。

私の実家は県下でもかなり大きな寺です。檀家様の件数は千を超えます。学業も碌にこなせない人間が、そのような環境下で期待に応えられるほどの働きができるか甚だ疑問です。

仮に私が継がなくても、そのまま無人となることはまずあり得ないでしょう。私より仕事の出来る方、業界に精通する方、人として素晴らしい方はいくらでもいます。そういった方々に代わりに寺をお任せすることが、実家に関わる者全てにとって幸せになるのでは。そういった想いが頭を離れません。

昨今の宗教離れが叫ばれる中で、こうした多くの檀家様方に支えられていることは大変ありがたいことです。そのことは重々承知の上で、私が継いだ時に皆様を失望させてしまう事が一番怖いのです。

無論、仮に私が継がなければ、現住職が亡くなった時に我々は寺を出て行かねばならないこともわかっています。両親は無理して継ぐ必要はないと言ってくれていますが、実際の本心は私には分かりかねます。

私の疑問はどうすれば晴れるのでしょうか。

また、このような経験を、回答者の皆様でお持ちの方はいらっしゃいますか。いらしゃれば、そのときの体験をお聞かせ願えませんでしょうか。

回答お待ちしております。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

あなただからこそ

こんにちは。

最初に結論から言いますと、あなたのように自己に厳しく僧侶、住職という立場に相応しいか煩悶する人こそお寺を継ぐ人になってほしいと思っています。

「発達障害」故に「時間、約束が守れない等、人が社会で生きていく上で基本的な事を上手く」できない。ただ、お医者さんと相談しながら「改善を試み」ているのでしょう。

「完全に解決」というのは、厳しいですね。

私は、時々ポカをします。
殆どは出来るつもりですが、事前の準備不足や読みの甘さで失敗したり、ご迷惑をかけることも時にはあります。それは、後から考えれば「人が社会で生きていく上で基本的な事」なのでしょうが、人間は失敗するものだと言えば言い訳になるでしょうか。

ただ、ミスをした場合、肝心なのはアフターフォローをきちんと出来るか、です。若くしてその道に習熟していない段階では、多かれ少なかれ慌てたりして、冷静になれず思わぬ失敗をするものです。しかし、そんな時はきちんと非を認めたり、次には同じ失敗をしないなどをしていくことで、相手への信頼は段々と回復していきます。

「仕事の出来る方、業界に精通する方、人として素晴らしい方はいくらでもいます」と書いています。住職は、僧侶としての人格や知識に裏付けられてこそ成り立つ面は確かにあります。しかし、その「素晴らしい方」達にも真似できない要素があなたにはあります。それは、現住職の息子さんというあなたそのものの存在です。

「千を超え」る「檀家」さんは、お寺の坊っちゃんとして育ってきたあなたを見ていたでしょう。その息子さんが継いでくれるということ自体を楽しみにしている人も多いと思います。これは、小さなことのようで、実はとても大きな要素です。

あなたは、自分ができないことに注目しているかもしれません。
しかし、あなたはきちんと大学に入れた。将来資格も取ろうと思っている。

実家がお寺だから、僧侶住職になると単純に考えていない。
むしろ、その役割の重さを理解している。
自分に悩み、悲しむ人ほどお檀家さんたちの心の機微にも通じていけるでしょう。

若いくて経験不足のうちは「失望させ」ることもあります。
でも、あなたは素質十分なのだから磨けば必ず光ります。
磨く主体は自己であるけれども、お檀家さんや現住職、そして周囲の人達があなたを磨いてくれます。安心して邁進してください。

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有り難し
おきもち

浄土真宗本願寺派報恩寺住職(兵庫県三木市) 本願寺派布教使 元本願寺布教研究専従職員 元龍谷大学講師 元篤志面接委員(法務省管轄) 真宗学修士、心理学学士 Fmみっきい(地元ラジオ局)出演中 趣味:サックス 2019年末頃から回答しています
応談できる時間帯は、その日によって違いますのでお確かめ下さい。 月曜日〜金曜日(祝日除く)13時〜21時 土曜、日曜、祝日 18時〜21時 お盆(8月1日〜15日)、お彼岸は対応できません。

そこまで分かっていて、なおそこまで謙虚であれば、

お寺を継ぐ資格は
もう充分にお持ちだと思います。
住職に最も必要な能力は
人の悲しみに寄り添うことだからです。

私は在家から入寺し住職を継ぎましたが
前住職が決めようと
自分は決めようと
お檀家さんが支持してくださらない限り
住職は勤まりません。

あなたが住職を継ぐのを
檀家さんが反対しないなら
あなたで良いのです。

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有り難し
おきもち

 浄土真宗(大谷派)/広島県広島市/17世住職。  1967年京都市生まれ。山形大学理学部卒業後、証券会社で勤務。30歳で脱サラし、親戚筋の超覚寺に入寺、45歳で住職継職。  遺族の分かち合いやお悩み相談など地道なグリーフサポート活動を続け、お寺の掲示板による法語伝道にも尽力している。カープ坊主の会会員。

質問者からのお礼

こんにちは。半年以上も期間を空けてのお礼、ご容赦ください。お二方のお言葉、大変ありがたく拝見させて頂きました。私事ではありますが、来年得度することになりました。教義を学び日々精進していく所存です。ありがとうございました。

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