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もう頑張れないと思ってしまいます

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有り難し有り難し 20

私は医療系大学の4年生です。
紆余曲折を経て今の道に至りました。
今勉強できているのは、両親が金銭的なものはもちろん様々な負担を背負ってくれたからです。それに報いるために、日々勉学に励んでいます。

朝講義前に勉強して、1日の講義が終わってから何もなければ5.6時間勉強する毎日でしたが、最近ふと、「あ、もう頑張れないかも」と思う瞬間があります。やってもやっても先の見えない勉強、オンライン授業のため誰とも会わない生活、帰省もできずずっと1人の状況、勉強以外にもやらなければならないことが山積していること、すべてに疲れ果ててしまった感じがします。例えて言うなら、自分の目の高さくらいまである水の中に、鼻と口だけ出して浮いている状態や、片足分しか幅のない吊り橋を渡っている状態、という感覚です。

側から見れば、恵まれているんだから勉強するのが当たり前だし、諦めるなんてあり得ない、と思われるでしょう。実際私もそうだと思います。しかし、その当たり前が自分の限界を迎えているような気がするのです。

こういうことを誰かに相談すると「ちょっと休んだら?」とよく言われます。しかし、仮に1日休んだとすると次の日辛さが倍になります。昨日やらなかった後悔と昨日の分の膨大なノルマに押し潰されることになる、と考えると、むしろ休む方が自分にとっては苦しいです。適度に、気分転換になるようなことも取り入れていますが、その時間にも「やらなきゃいけないのに…」という背徳感に襲われ、心休まりません。

家族のため、夢の実現のため、こんなとことで立ち止まっているわけにはいかないのに、その気持ちに身体と頭(頭脳)が追いつきません。どうすればこの状況を乗り越えられるのでしょうか。
何かお言葉をいただけましたら、幸いです。


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お坊さんからの回答 2件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

その価値観は真実か幻想か

拝見いたしました。

さて、これは私見にすぎませんが、あなたが切迫感に苦しんでいる理由の一つを提示させていただきます。
それは「同調圧力」です。
は?一人なんだけど?と思ったかもしれません。ですが、私からすると同調圧力が絡み合って生まれた悩みに見えます。

同調圧力。
悪いイメージがついている言葉ですよね。「地毛が茶色なのに同調圧力で黒に染めないといけなかった」などのように使われます。
ですが、料理にも殺人にも使われる包丁は善でも悪でもないように、同調圧力も善悪はありません。ケースによって立場は変わります。
例えば、部活で負けた責任を感じている人に対し、周囲が笑って声をかけていくうちに、その人も笑顔になった。実は、これも同調圧力です。これはチーム内の同調圧力の結果、動いています。
社会的な動物である人間は、誇りや疎外感といったものに弱いんですね。

閑話休題。
では、あなたはなぜ苦しいのか。
私が思うに、家族内の同調圧力です。
これは、家族が厳しいから同調圧力で苦しいのだ、といっているのではありません。
家族に対するあなたの思い込み・価値観があなたを苦しめているということです。

以下、あなた自身の言葉です。
「両親に金銭的な負担をかけているから、報いなければ」
「家族のため、立ち止まってはいけない」
はて、そうなんでしょうか?
家族はあなたが報いなければ「金返せ!」と追い出したりするのでしょうか。
苦しんでいるあなたが休もうとしたとき、ムチを打つのでしょうか。
成功しなければ、あなたは家族から排除されるのでしょうか。
家族が大好きなあなたには、答えがわかっているはずです。

あなたが抱く「成功しなければ嫌われる」という家族内の同調圧力は幻想です。
家族に対する価値観を、見直してみましょう。
好きだから裏切りたくない。気持ちはわかります。
でも「応援」というのは、結果を求める「期待」とは異なり、結果がどうであれ、本人を支える覚悟の現れです。
肩の力を抜いても家族は裏切ったと感じませんし、むしろ、自然なあなたの方が好きなのではないでしょうか。

P.S.
報われるかどうかは、実力や努力だけでは決まりません。
だから不確実な報われることをゴールとせず、自分らしく生きることをゴールにしてください。家族を大切にする人は、合格する人よりも立派だと思います。

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頑張りすぎないで

直接出会うと、五感全部で情報をやり取りします。それで当たり前だと思っていたのですが、オンラインだと、ほとんど目と耳からの情報のみで、他がカットされてしまい、それだけでずいぶん息苦しく感じられるはずです。しかも、それに気づかなかったり、気づいても忙しくてどうしようもなかったりして、変な疲労が変なところに溜まったりします。目が悪い人は、目から頭や肩が痛くて、能率が落ちます。
 私も週一回オンラインで授業していますが、学生さんには、大学が許可している限り、なるべく大学に行け、図書館、研究室、ただキャンパスを歩くだけでも、その場のすべてを五感で吸収しろと言っています。
 そして、良く計算してください。今は周りの状況や過去の自分の状況と現在とを正しく比較するのが困難なのですが、ちょっとやりすぎになっていませんか? 自分で課したノルマと、その達成度を、少し緩めてはいかがでしょうか。
 万一、何か目標があって、その国試に落ちたとか、落第したとかしても、それで今までの頑張りと血肉になった分がゼロになるわけではありません。成功か失敗かだけではなく、その中間の、やった分だけは身になったというところも大事なのです。
 良い能率のためには、正しい休息も必要です。今は、状況が逆ですから、休息のためにわざわざ外に出て買い物してくるとか、目、耳以外の器官を活用することが良いかもしれません。

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初期仏教というか仏教本来の教えを学びつつ、その在家信者のあり方から見た日本...
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質問者からのお礼

家族内の同調圧力、納得してしまいました。たしかに、自分の心のどこかに家族に失望されないために、という気持ちがあるなと気づきました。幻想であると思えるようになるまでは少し時間が必要そうですが、このままでは万が一自分が限界を迎えた時に、家族のせいにしてしまうように感じるので意識を変えていきたいと思います。
またそのように意識を変えていくにも落ち着いて、自分の状況を客観的に分析できるパワーがなければならないと思うので、外に出て五感を刺激する時間を増やしてみます。
客観的なお言葉をいただいたことで、「頑張らなければ頑張らなければ」と追い込みすぎて、周りが見えなくなっていたことを自覚することができました。そして、冷静に現状を受け止めて、自分らしく生きていけたらなと思えました。

お二人ともありがとうございました。

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