死人に口なしで嘘をついてしまった
数年前、知人の男性が交通事故で亡くなった。思春期の私にとっては友人とも兄ともつかぬ、唯一の存在だった。彼は少し変わり者だったのか、周囲があまり彼を認めていない事を私は知っていた。
彼が亡くなってすぐ、私は彼の実家を探して「婚約者です」と訪問してしまった。その後も彼の遺影の置かれた部屋で、彼の死に涙する遺族を前に、私達は結婚するつもりだったなどと真っ赤な嘘を吐き続けた。何故こんな事をしたか、本当の理由は2つある。1つは、「親しい人を亡くした哀れさ」という眼差しで周囲に見られる事によって、人生の歩みを止めて休憩する理由が出来ると思ったからという極悪非道な理由。もう1つは、遺族に、亡くなった彼をこんなに想う人間も居たのだとわかって欲しかったからだ。
許されない嘘を吐き、遺品や写真まで頂戴して、部屋に花を供えたりもしていた。そして49日法要の朝を迎えた。私は不思議な夢を見た。いつも待ち合わせした場所に私が息を切らして向かうと、彼が車を停めて座り込み、煙草を吸っていた。いつもの光景だった。しかし彼と目が合った途端に夥しいサイレンが鳴り響き、彼は悟ったような表情になった。そして私に、「ありがとう」「もう行かないと」「上から見てるから」と空を指差した。
嘘を吐き続けて来た私だが、この朝の事は嘘では無い。幻想、妄想だと言われればそれまでだが、私の記憶は鮮明だ。血の涙を流して私を殺しに来てもおかしくない事を私はしたのに、彼と私は本当にあの朝、あの場所で会ったような気がしている。
あの朝彼はこんな私に会いに来てくれたのでしょうか。
私の嘘は許されるものではありません。それは十分に分かっています。どんな凶悪犯よりもどんな悪行よりも許されない。私はどう償えば良いのでしょうか。
回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
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あなたが「どう償えば良いの」かがわからない原因
こんにちは
「友人とも兄ともつかぬ、唯一の存在だった」人を亡くしたその悲しみを察します。そして、当時「思春期」だったあなたが自分の選択で「嘘」をついたのにも、あなたなりの理屈があったことは一先ず理解します。
あなたは「どう償えば良いの」かを問うています。
それは「償」い方が分からないから尋ねているのでしょう。
ただ、自分の「悪行」がどういう意味で「悪行」なのかを本当に「十分に分かって」いるのなら、「どう償えば良いの」かは自ずと分かると思います。換言すれば、あなたは「悪行」が誰に対して、どういう意味で「悪行」だったかが分からないから「どう償えば良いの」か見当がつかないのです。
あなたは、自分が婚約者だと遺族(先方の家族)に「嘘」をついた。それは、あなたの理屈ではその人の家族に「亡くなった彼をこんなに想う人間も居た」ことを示す手段であったようですね。
ただ、そもそも自分が婚約者と名乗らないでも、葬儀の参列者として涙を流すだけで「亡くなった彼をこんなに想う」ということは十分示せたはずです。それをあなたは「婚約者」であるという自分の立場を偽作することで、事実として「婚約者」の関係になっていない親密度にも関わらず、遺族に対し発言権を得ようと思ったからでしょう。それは、「周囲があまり彼を認めていない」という不当(だとあなたが思う)な評価に一撃を与えたかったからでは。
それは、自らの評価が正当で、「周囲」の評価は不当である決めつけだったのではないですか。しかも、その人と一番人生を長く過ごしてきた家族に対して、自分のほうが分かっているという傲慢さがあったのではないですか。発言する立場にない、不当な手段で自らを偽装した者が正当なことを言わんとする、何という酷い矛盾でしょう。
また、あなたは自覚しているように「嘘」によってあなたは「親しい人を亡くした哀れさ」という「眼差しで周囲」から得ようと思った。完全に利己的動機です。
つまり、あなたの行った「嘘」は先方の遺族の心情や悲しみを第一に考えたものではなく、自分を誇示するため、自分の利得のために行ったものであった。さすれば、せめてあなたに出来ることは先方の遺族に「嘘」を謝罪することです。その人の本当の生涯(あなたという婚約者は居なかった)を遺族は知るべきです。それが自分の「悪行」のせめてもの「償い」です(字数制限)
その方に誠心誠意懺悔し謝りましょう
拝読させて頂きました。
大切な方を亡くされたことを心よりお察しします。
あなたがその様に思われるのであるならば、あなたのその思いを素直の心からその方にお伝えなさってみてはいかがでしょうか。
今その方は仏様やご先祖様方と一緒に心から安らかに穏やかにあなたや皆さんを優しくお見守りなさっておられることでしょう。
どうかその方が心安らかになります様にと心を込めてご供養なさって下さい。そしてあなたがなさってしまったこと・言ってしまったことを素直にうそいつわりなくありのまま心の中でお伝えなさってみて下さい。
あなたがその様なうそいつわりを言ってしまったことを素直にお伝えし、心から反省なさり懺悔なさり、誠心誠意謝りましょう。
その方はきっとあなたのその懺悔つまり告白を優しく受けとめて下さるでしょう。あなたに寄り添いあなたの思いをしっかりとお聞き届けて下さるでしょう。
あなたとその方とのご縁はこれからもずっと続いていくのです。ですからどうかこれからはその様なうそいつわりを言わないようにとその方にもお誓いなさって下さいね。
あなたがこれからもその方とのご縁を大切になさって下さいます様に、あなたが決してその様なうそいつわりを言わずに自分の都合や利害を優先するような愚かな悪意や悪言や悪業をなさらないように、あなたがこれからの未来を正直に清らかに心豊かに生きていかれます様切にその方にお祈りさせて頂きます。
お返事ありがとうございます。
あなたのことを仏様もその方も優しく受け止めて受け入れて下さいます。どうか心を込めて懺悔なさり謝罪なさって下さいね。至心合掌 南無阿弥陀仏
質問者からのお礼
貴重な時間を割いてご回答くださり本当にありがとう御座います。私のした事はこの世のどんな事より許されない事です。その当時もその選択は間違っていると心の何処かで分かりながらも、利己的に生きる事しかしませんでした。生涯で一番の後悔です。これから心を落ち着け、供養と謝罪に参りたいと思います。