hasunoha お坊さんが必ず答えてくれるお悩み相談サイト

お坊さんに質問する
メニュー
メニューを閉じる

祈りの効果は自分の力か神仏や霊魂の力か

回答数回答 1
有り難し有り難し 21

祈りの効果ってあると思いますか?
あるとしたらそれは祈った人の力によるものか
あるいはそれを見ていた神仏や霊魂のものか
お聞きしたと思います。

参考
https://diamond.jp/articles/-/98488
これは病気の人に対して
患者を2つのグループに分けて、一方のグループだけに他の人から祈りを送ってもらい
祈ってもらったグループの方が病状が改善するという大学の研究結果があるという話です
ネットで検索するとこの大学だけでなく 複数の大学でこんな研究結果が出たという話があります
霊能力があると詐称する霊能者が出てきてあることないことを言って人から金をまきあげる霊感商法の宣伝の類ではないようです

ここで話は脱線しますが
医学や薬学の話をすると
やはり患者を2つのグループに分けて、一方のグループだけに薬を投与して 
薬の効果を見定める ランダム化比較試験 と言うものがあり効果があれば、
医学的なエビデンスが得られているとして日本では正式に認可され保険適用の治療が受けられます。
現実は 研究開発を始めてから いくつかの過程を通過した後 ランダム化比較試験を経て保険適用になる薬は1万分の1と言われています
https://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~amod/kenkyu/rinsho.html

話を戻して
祈りの効果も このランダム化比較試験と同じ方法を取っていると思われ 科学的に効果があると証明されたと 研究した大学は主張しています

このような研究結果が事実だとしたら それは 全ての人に祈りの力が僅かながらあると考えるべきなのか
(例えば万有引力の法則も、天体だけでなくあらゆる物体や生命体に引力があるが微々たるものなので人はそれに気が付いていない)
それとも 神仏もしくは 守護霊などの霊魂の力によるものか
どう解釈すれば良いのでしょうか?

2022年10月30日 23:00

この問答を娑婆にも伝える
facebookTwitterLine

お坊さんからの回答 1件

回答は各僧侶の個人的な意見で、仏教教義や宗派見解と異なることがあります。
多くの回答からあなたの人生を探してみてください。

祈りはもちろん、信じています。
しかしそれとは別に、この質問に対してお話をしようと思います。

「情けは人の為ならず」という言葉があります。
「人に情けをかけると、巡り巡って自分に返ってくるよ」ということわざですね。
そして、
「だから人に優しくした方がいいよ」と人の言葉は続くわけです。

さて、この言葉は真実でしょうか?
本当に、人に施した情けは自分に返ってくるのでしょうか?

何らかの形で実験をすれば、いつか分かるのかもしれません。
『情けは人の為ならず』は全く虚偽であると証明されるかもしれません。

しかし、私は必ずしも真実がわかる必要はないと考えています。

この言葉は『本当なのかもしれない』とみんなが思うことで、みんなが少し優しくなれるでしょう。
その時点で大きな力を有しています。
人を優しくする力です。
『情けは人の為ならず』が実験されず、なんとなく信じられている世界と、
『情けは人の為ならず』が科学的に否定され、みんなが信じていない世界では、
その様相は大きく変わるのではないでしょうか?

祈りも同様です
困難に直面する家族に、友達に、恩人に『出来ることはない』と立ち尽くすのが良い世界でしょうか?

『薬は、それを薬と知らずに飲んでも病を治す』と法華経にあります。
もし『祈りに効果がある』なら、証明などせずとも祈ればよろしい。
もし『祈りに効果がない』なら、証明してしまうことによって失われるものは巨大です。

そんなものは『わからない』のです。
『わからない』を、わからないまま置いておく。

死後の世界、神仏の存在、霊的能力

こういう扱いが人間の多くの利益を守っていることがあるのですよ。

2022年10月31日 10:15
{{count}}
有り難し
おきもち

けいじょう
日蓮宗の僧侶、啓誠(けいじょう)と申します。 修行に失敗し、一度は腐...
このお坊さんを応援する

質問者からのお礼

けいじょうさま
回答ありがとうございました。

『薬は、それを薬と知らずに飲んでも病を治す』と法華経にあります。
について。

実はこれと正反対に 『薬であると騙して偽の薬を飲ませて病を治す』
 ブラゼボ効果と言われるものがあります。

プラセボ(偽薬)と言う、効き目ある成分が何も入っていないくすりを服用しても、患者さん自身が、自分が飲んでいるくすりは効き目があると思い込むことで、病気の症状が改善することがあります。 これをプラセボ効果と呼んでいます。

ランダム化比較試験ですが、先日の質問は言葉不足で
薬と投与するグループとまったく投与しないグループを比較するのではなく
本物の薬と投与するグループ 偽薬を薬であると偽って投与するグループに分けて
比較試験をします。被験者には本物の薬なのか偽薬なのかどちらなのか知らされていません。皆本物の薬と信じ込まされての比較試験です。
その結果ブラゼボ効果も含めた偽薬と比べて本物の薬の方が効果が出た場合に保険対象の薬として認可されるという話です。

薬を そうとは知らずに飲むのと、 知っていて飲むのと 比較した結果があると(実際そのような研究はあまり聞かないのですが)
新しいことがわかるのかもしれません

温かい気持ちになるお坊さん説法まとめ