祖母に説明したいです
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有り難し 19いつも有難い回答の数々を拝見しております、この度初めて質問をさせて頂きます。
半年ほど前、私の祖父が亡くなりました。豊山派の檀信徒であり、幼い私が泣くと仏教の教えを噛み砕いて教えてくれる優しい祖父でした。しかし晩年には認知症を患っていた事もあり、特に祖母には暴力を振るうなどしていたので家族からは次第に疎まれていました…。
そんな祖父でしたが、亡くなった後も祖母は仏壇に毎日お供えをして手を合わせています。しかし｢お爺さんは死ぬまで有難うと言ってくれなかった｣と少し悔しそうです。
そんな祖母に｢お爺ちゃんはお浄土に行って、偉い仏様の教えを聞いて仏様になったよ。今までごめんね有難うって言ってるよ｣と諭しましたが、｢死んでも皆浄土に行けるなら、生前どれだけ悪い事をしても良い事になる｣と不思議そうに言われました。
前置きが長くなってしまいましたが、祖父の生前の行いに罰があって欲しくも、浄土に居て欲しいと願う祖母に私は何と説明すれば良かったのでしょうか…
お坊さんからの回答 2件
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仏に成るとはどういうことか
ご相談拝読しました。とても大切な疑問であると思います。
ですが、いたずらな説明を重ねて無理に納得させずとも、お祖母様自身が既にきちんと大切なものに出遇っていらっしゃるようにもお見受けします。
人間としてその人を許せないという気持ちと、その人が成仏したという受け止めは矛盾しないというか、矛盾するままに存在していいのでしょう。
お祖母様が言うとおり、死んで帳消しになるならばどんに自分勝手に生きてもいいことになる。それを肯定する仏教の教えはないと思います。
でも、どんな生き様・死に様を経ようと、命終後にその人とどう出会い直していくのか、それはもう故人本人ではなく、残された人の問題です。
お祖母様が毎日手を合わせている、そこに大事なものがあるのでしょう。
仏様とは真理を事実として伝えてくれる存在です。なんかよくわからないけど天国的な素晴らしい世界があって、そこに行くことが成仏ではありません。
お祖母様が様々な思いを抱えたままに手を合わせ自問自答する。そこに人間としての在り方を超えたお祖父さまが仏様としてはたらいているという事実があるように私には感じます。
成仏とは
ご相談読ませていただきました。私は浄土真宗の僧侶ですから浄土真宗の考えをもとにお答えします。私たちは亡くなればお成仏してお浄土の世界に行きます。従って「往生」という言葉は極楽浄土に仏様として生まれるという意味です。（他宗さんの考えは少し違うかも知れません）ですから誰も死んで地獄に行く人など居ないのです。人間の世界感から言うと例えば殺人などを犯したひとが往生するのは何か違うと言うか許せないと思うかも知れませんね。しかし、この世の罪は亡くなる事で帳消しになると考えてください。人間は生老病死と言う四苦を背負って生きているからです。
そして成仏と言うことは文字通り仏様に成ると言うことです。仏様は全て煩悩から解放されて悟りを得た人ですから、この世のしがらみを持ち越すと言う事はあり得ないのです。成仏した人は仏様としてお互いを敬いあい心穏やかにお過ごしになります。
と言う事は御祖父さまは、御祖母さまにもあなたにも、全ての残された方々に対して感謝の気持ちをもって、優しく見守ってくださっているのです。
もう一度申し上げます。仏様はこの世の悪い感情から全て解脱しているのですから生前のしがらみなど皆無なのです。ただひたすら残された御祖母さまやあなたの幸せを願ってくださっています。
あなたはその事に感謝して御祖父さまに手を合わせてください。そして御祖母さまにもお伝えください。合掌
